ブログ

811.器

2023.05.04

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 器、と言っても、人間の器とか精神的なものではなくて、今回は、食器などの方です。

 先日、波佐見の陶器市に行って参りました。有田も含めて陶器市に顔を出すのは生まれて初めてでした。九州に住み着いて20余年経つのですが、未だに一度も行ったことがありませんでした。これまで行っていなかったのは混むのが怖いというのもあったのですが。
 コロナ禍明けで初めてのリアル開催復活ということで、人も多く賑わっていました。
 イベントは夜討ち朝駆けが基本ですから6時台に家を出て、自家用車で大型駐車場~シャトルバスで行って参りました。

 カレーのお皿がひびが入っていたので、カレー皿と、お皿、小鉢、蕎麦ちょこ、急須などを新調しました。

 本当に様々な釜があり、白系、黒系もありますし、モチーフも、金魚、梟、お地蔵さんや昔話、花、幾何学模様など色んな器があります。器の背の高さ、土台の幅、皿の余白や返しの有無、こだわり出すと非常に興味深いです。

 いい歳になったというのもあるのですが、器くらいは気に入ったものに囲まれて生きていきたいとも思います。

 B級品などはすこし焼きに黒い点が混じっているだけで、料理を載せてしまえばA級品とほとんど変わらないものが安く買えたりするので細かいことを気にしなければ良質の品が安価に入手出来ます。ですので、それほど大枚をはたかなくても、普段の買い物と同じ程度の出費で気に入ったものが手に入れられるのは良いことだと思いました。毎年来ようかなと思ってしまいました。

 また欲しい鉢もあるのでまた次回ですね。

 みなさんも、お金に余裕が出来た方は、気に入った器を集めてみられてはいかがでしょう。
 

810.道もの

2023.05.03

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 軸の話として前回すり足をお勧めしたのですが、もう1つ別の方法もあります。
 華道や茶道など、和室できちんと正座をして、背筋を伸ばして行うものです。これらをひとまとめにして、華「道」、茶「道」、の「道」をとり、道もの、と呼んでいます。

 茶道などは、リラックスしてお客様をもてなす、という行為の中にも、だらだらしているわけではない軸があり、お茶を提供する気遣いの中に、姿勢や作法といった簡素化した様式美があります。そういう中に身を置いていると、きちんとした雰囲気の中でも歓待を楽しむというバランスを取っていくことになります。特に女性などは着付けなども一緒に憶えますと、着物が一人で着られるようになりますし、きちんと正座したりあいさつの出来る様はとても美しいものです。そういう、芯の通った美のようなものが内から出来てくると、メイクやアクセサリーでごまかしている美とはまた違う、人間性からにじみ出る美しさのようなものが放たれていきます。お化粧を否定するわけではありませんが、適度なお化粧に加えて、美として実はとても大切な要素が内側からの美になります。

 回復期には道ものへ取り組まれることも時々お勧めしています。この記事を読んで興味をお持ちになった方は、一度、お試し頂いてはいかがでしょう。
 

809.すり足

2023.05.02

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 剣道にすり足という移動法があります。
 重心がぶれずに、隙のない動きです。

 武道の心得のある方には、治療の後半にすり足をお勧めしていることがあります。

 心が動揺していると、当然、体軸も動揺してきます。治療の初期では、いきなり軸を立てるのが難しい時がありますが、軸なり心の芯なりしっかりしてきた時期にはすり足をして頂くことにより、より、しっかりとして頂く目的があります。

 私は身体技法としてボディートークと臨床動作法を主として用いていますが、いずれの方法も軸立てはとても重視されています。特に動作法には軸立ての技法が課題としてわざわざ設けられています。

 しかし、医師や心理士が設定する課題というのも良いのですが、元々すり足の素養があればその練習をして頂くだけでも軸はしっかりしてきます。軸がしっかりすると心の置き所が安定し、多少のことではぶれず、動揺も少なくなります。

 くよくよしなくなってきたり、余暇活動にも興味が出て来るくらいの時期にはすり足をされることもお勧めです。

808.23ヶ月

2023.05.01

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 R3年6月1日より開業し、23ヶ月が経ち、今日から24ヶ月目となります。ここまでやってこられたのはひとえに皆様のご理解とご支援の賜物です。感謝申し上げます。
 スタッフにもいくらか入れ替わりもあったりして、どうにか乗り切りながら運営して参りました。
 
 引き続き、ブログの掲載、および、新患枠を設置し続け、なるべく早く新患の方の診察を執り行うことを今後も継続していきたいと考えています。これからも当院をどうぞよろしくお願い申し上げます。

807.質問する姿勢

2023.04.30

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 時折、質問してきたはずなのに、ご自身の考えを蕩蕩と述べ出す人がおられます。
 だいたい、そういう方はご家族と上手くいかないなど、何らかの緊張関係をお持ちのように思います。

 これを少し心理学的な言葉も用いて紐解いてみたいと思います。

 二重拘束(ダブルバインド)という言葉があります。
「カレー?ハンバーグ?どっちにする?でもミンチこねるの面倒だな。」

 と最後にぼそっと入ると、それは、結局ハンバーグを作るのは面倒くさいからこちらにカレーと言わせたいってことだよね?っていう感じになるんじゃないかと思います。

 っていうことはそもそも2択ではなく、択一の答えなのであって、2択で聞く意味はほぼないということになります。
 どちらもOKであるように装っているけれども、択一の答えしか選ばせないような関係の取り方を二重拘束と言います。

 これを子育てなどでやってしまうと、子どもはどうせ言っても無駄、親の言う選択肢しか選べない、と諦めたり拗ねたりし、それが親子関係に影を落とします。

 子ども相手でも、専門家相手でも、質問した以上は、相手の回答を聞き切ることが重要です。逆に、きちんと聞く覚悟がないならば、軽々に質問するのは良い姿勢とは言えないのではないでしょうか。

 何気なくしている会話でも、親だったり年上だったり、自分のポジションによって相手を二重拘束で押さえ込むことは差し控えたいものです。普段から質問と答えには、ご自身の姿勢作りも問われていると捉えておくことが必要ではないかと思っています。

806.自由連想とアネクドート

2023.04.29

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 日本で有名な精神科医が、フロイトの遺産として最後まで残るのは自由連想であろうと予言したと言います。
 精神分析の多くの概念が時代遅れになっても、確かに自由連想だけは人間の自由な発想として残っています。

 前稿でAIについて触れましたが、患者さんの相談事に対して、自分の体験や伝聞などについて返すことはアネクドートなどと申しまして、ミルトン・エリクソン以来の重要な治療技法となっています。
 AIは人生経験自体がないのでアネクドートを述べることは出来ません。

 その場で当意即妙に思いつく、聞き手の体験談などは、押しつけになってはいけないのですが、二人で行う自由連想としてのアネクドートは臨床の場を豊かにし、相談者の発想の硬さをブレイクしていきます。

 AI時代に残るのは、医師の温かみと覚悟、そして、技法的には自由連想とアネクドートではないかと、ふと思いました。

805.ELIZAエフェクト

2023.04.28

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 先日の報道で、AIのChatと話しているウチに、ELIZAから天国で私と一緒になりましょう、と誘導されて男性が自殺したなんて話がありました。
 囲碁将棋が既にトッププロよりもAIが強いことは知られていますし、ChatGPTで読書感想文を書いてくる小学生もいるそうです。カウンセリングに於いてもロジャーズのクライエント中心派を学習させたAIはプロの心理学者も驚くほどの対応をするようです。
 人間のセラピストに掛かっていても死んでしまうことはあるでしょうから、AIが全て悪いとは言いませんが、人間のカウンセラーや医師なら、一緒に天国に行こうなんて絶対に言いません。バージョンアップすれば変わるのかもしれませんが、今の時点ではAIにはプロフェッショナリズムが欠けていると言えましょう。

 既に医学の世界でも、AIにディープラーニングさせると病理医と90%以上同じ結果が出るようですから、質の悪い病理医よりはAIの方が良いでしょう。病理学や放射線医学の読影などのかなりの部分が将来的に優秀なAIに取って代わられる可能性があります。

 他方、当院で、一度は自殺をしようとした方が治癒されて卒業していく際に、死なないように諭してくれた医師の温かみを忘れないと言って頂いたこともあります。いのちの大切さに真剣に向き合う熱量のようなものは、AIにはないものです。

 AI時代に、人間同士がなせることを改めて考え直す必要があります。

 それでも、私は人間がサービスに関わることは重要なのではないかと思っています。

804.心根を太くする

2023.04.27

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 過去に被害を被った相手を許すというのは、度量が必要なものです。心的外傷が残っている状態では、なかなか加害者を許すことは難しいと思います。
 どんな理不尽な目に遭っても最終的には許すことになると思うのですが、準備が出来ていないウチから結論を言ってしまっても、むしろ無理と思われたり、反発を生んでしまいますから、相手を許すテーマというのは最終段階だと考えています。

 そこまでして、加害者を許さないといけないのかということになるわけですが、相手に対して、陰性感情が強いと、許すのはなかなか困難です。どうしても処罰感情が出てしまいます。

 そういう場合は、一旦、相手との関係性は棚に上げておいて、まずは自分の心根を太くするのが良いのではないかと思っています。自分で自分を認める、自分で自分にOKを出す。これも広い意味で自己管理の一つだと考えています。

 自分が充実していけば、それらの過去のことは、済んだこととして処理出来るようになり、処罰感情はいつの間にか洗い流されていくかもしれません。

 美味しいものを食べて、よく寝て、自分を認めてくれている相手と交流しながら、自分の心根が太い大木のようになれば、相手がどうこうと言うことはだんだん関係なくなってきますから、少し時間が掛かってもご自身の心根を太く出来るよう、心に栄養を与え、心を養育してみてはいかがでしょうか。

803.陰徳

2023.04.26

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 正法眼蔵随聞記に人は必ず陰徳を修すべしとあります。
 陰徳とは、どういうことでしょうか。

 何か人のために行うと、私共の心の中には、やってあげたからこうしてほしい、とか、やってあげたのに見返りをくれない、なんていう反応が出て来ることはないでしょうか。私はまだまだ未熟者なのでともするとこう言った考えに陥ってしまいます。承認欲求のような願望のような気持ちがあるのだと思います。

 陰徳とは、褒めてもらうとか認めてもらうことを目的としていない善行を意味しています。報酬も見返りも求めない行いです。

 見返りも報酬も求めないというのは難しいことですが、常日頃から意識しておく必要があるのかもしれません。

802.人は機械を使い、人は機械に使われない

2023.04.25

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 人は機械を使い、人は機械に使われない。
 これは私の信念でもあり当院の理念でもあります。

 人間が機械のフォーマット等の都合や故障の都合で振り回されることはありがちなのですが、出来る限りどんな高級な機械であっても、人間がそれを道具として使う立場なのであって、人間が機械に振り回されてはならないと考えています。

 スタッフから、方針を聞かれた時に、この理念を当て嵌めるように考えていて、看護師や心理士が機械に使われてしまわないように心がけています。もちろん医師もです。

 人間が機械の都合で使われている組織は良い組織とは言えません。システムを変えるか、何らかの改革を必要とします。人が機械を使いこなす理念で改革中ならまだ良いのですが、一向に改まらないのであれば、その職場と別れを告げるのも一つの考えです。そして、機械を使いこなすためには、アイディアやシステムの改良について人間側が常に創意工夫を考え続ける必要があります。
 そして、なんで勉強しないといけないのかという答えの一つに、どんどん高度になる機械を人間なりのアイディアで使っていくためには知識や経験をストックしていく必要があるから、ということになるでしょう。

 仕事がしんどいと感じる時に、それが人間関係や仕事の絶対量でないならば、機械に使われていないか、改めて振り返ってみられるのも、役に立つかもしれません。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分