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1317.ひっつみ

2024.09.17

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 盛岡では冷麺の他に「ひっつみ」という物も頂いて参りました。

 練った小麦粉をひっつかみ、投入する、と言うことらしいです。
 大分のだご汁に似ている気がしますが、だご汁は肉の代替がだごであるコンセプトから肉が入っていない印象でしたが、ひっつみは鶏肉も入っていました。だご汁は味噌ベースだったような気もしますが、ひっつみは醤油ベースのやさしいお味で非常に食べやすかったです。個人的な記憶なので、正式の物ではないとか、定義と違う点などがあっても、ご容赦頂ければ幸いです。

 調べてみると大分のはだんご汁らしく、だご汁は熊本だとか、ベースは味噌も醤油もありだとか、肉は入っているものもあるらしいとかで、お店や地域でも違いはありそうです。経験の少ない物から見ると、まあ似ている気がしてどっちも美味しい、といういい加減な食レポになります。

 おいしいひっつみに会えて大満足。今回はただの食レポです。

1316.第34回、ブリーフサイコセラピーシンポジウムに登壇して参りました

2024.09.16

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 週末は岩手県は盛岡市、岩手大学へ出張していました。

 9月14日、学会主催シンポジウム 中島央先生追悼企画、シンポジスト

 9月15日、自主シンポジウム、「トランス療法とは何だったのか?」指定討論者

 の2席を無事に務めて参りました。

 終わってほっとしたところです。

1315.適切な療養期間

2024.09.15

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 メンタル不調は年々増加しています。当院の8割は休職のご相談といっても過言ではありません。
 2015年に発表された西浦千尋氏による研究によりますと、複数の日本の民間企業を18ヶ月追跡し、復職率が以下の様だと言うことが判りました。

1.3ヶ月までに復帰した人:35%
2.6ヶ月までに復帰した人:58%
3.12ヶ月までに復帰した人:71%
4.18ヶ月までに復帰した人:75%

また逆に退職率は

1.3ヶ月で退職:3%
2.6ヶ月で退職:7%
3.12ヶ月で退職:11%
4.18ヶ月で退職:12%

 ざっくり言うと、メンタル不調者は、半年で6割弱が復帰、1年で7割強が復帰と言えますし、四分の一の人は、1年半経っても復帰出来ないことがあるようです。

 休職期間についても調査があります。労働政策研究・研修機構のデータによりますと2012年の調査では、

1年未満休職  42.9%
1~2年休職   29.5%
2年以上休職  19.0%

 これらのデータは絶対的なものではありませんが、当院でもこれらを参考にして、ご相談頂いたケースに個別に応じて、最も適切と思える休業指導や治療を行って参りたいと考えております。

文献:西浦千尋他「民間企業における長期疾病休業の発生率、復職率、退職率の記述疫学研究(2015年)
独立行政法人労働政策研究・研修機構「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査(2012年)

1314.メンタルヘルス治療の3本柱

2024.09.14

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 産業医で医学博士の森本英樹先生によりますと、メンタルヘルス治療の三本柱は、

①休養
②薬物療法
③精神療法

 と言います。
 
 他の専門家が書いても、大体同じことを言うと思われます。

 患者さんの中には、休養していると落ち着かないとか、休んでいることに罪悪感を感じるなんて方もおられて、多少働いてもらう方が良いケースもあるのかもしれませんが、自分はそう思っていても、上司から見たら、勤務頻度が不規則になっていたり集中力が低下してミスが増えていたりするので、自分が働きたいという意欲を持つだけでは、あるいは、休業の罪悪感を持ちたくないから働く、というのは、労働の提供を給与と交換するという計画から見れば不十分な労働を提供していることになり、フェアとは言えません。
 そういう罪悪感のようなものを減らすのに精神療法で考え方を柔軟にしたり、SSRI等を用いてセロトニンを増やし、抑うつ気分を解消して頂いたりします。

 当院では皆様の状況に応じて、心理検査を行ったり、内分泌学的な検査を行ったり、処方をしたり、抗うつ薬が飲みたくない人には漢方で対応したり、心理師によるカウンセリングを提供したりと色んな方法で対応をさせて頂いております。ご興味を持って頂いたらお問い合わせを頂けますと幸いです。

1313.期待理論

2024.09.13

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 米国の心理学者にVroom氏というか他がおられます。彼の提唱した期待理論というものがあるのですが、何かを行う時の動機付け、モチベーションを上げるためにはどうなっているのがよいかという理論です。
 その要諦は3つあります。

①どこまでやればよいのかめいかくで、
②どうしたらよいのかの戦略が立っており
③達成した時の成果が魅力的

 とい3つがそろうと何かを行うモチベーションが上がるのだそうです。

 チームで何かに突き進む時、部下に仕事をさせる時、などに、俎上に上がっているプロジェクトが、Vroomの期待理論を満たしているのか、ということを検討するのが良いようです。
 もし、何か欠けているのであればそこを改善すると、チームのメンバーのモチベーションを上げられるかもしれません。

 やりながらもやっとしていることをお抱えの方がおられたら上記の3つを見直して頂いてはいかがでしょう。

1312.勤務間インターバル

2024.09.12

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 みなさんは、勤務間インターバルという言葉をお耳にすることはありますか。勤務間インターバル制度とは、仕事の就業から次の始業までを一定の休息時間を確保するという考え方です。
 例えば21時まで残業して9時に出てくるとなると勤務間インターバルは12時間となります。

 夜遅くまで仕事をした翌日は疲労がたまり、また、睡眠不足になりやすいために、パフォーマンスが上がらないことがあり得ます。この制度は、集中して仕事をするために休息時間の確保が必要だという考えから導入されています。EUでは勤務間インターバル制度はルール化されています(∵EC労働時間指令2003)。
 2019年現在、日本において勤務間インターバル制度を導入している会社は3.7%と十分ではありません。理想論に終わらぬようにするためには、それに伴う詳細もきちんと詰める必要もあるかもしれません。

 日本は制度化が遅れていますが、ご自身の自己管理のためにも勤務間インターバルが適正かどうか考えながら、見直して頂いてはいかがでしょう。

1311.「1729」

2024.09.11

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 今は心療内科医、精神科医として微力ながらも地域医療への貢献に尽くしていますが、若い内は数学者になれたらと憧れていました。まあ、なろうとしなくて良かったなとは思いますが。

 数学の世界には、オイラー、ガウス、リーマン、アーベルととんでもない天才がきら星のようにいますが、その人となりも含めて天才中の天才といえるのはインド人のラマヌジャンではないでしょうか。
 夢を見ていたら正十七角形の作図法が思いついたなんていうガウスもたいがいな人ですが、ラマヌジャンはインドの神様~ナーマギリ女神というらしい~が公式を授けてくれるんだそうで、業績の1/3は、自分で発見したけれども既存のもの(既存の知識をオリジナルで発見していること自体が驚異的)、1/3は重要なもの、1/3は重要かどうかも含めて意味が分からないものなんだそうです。

 ラマヌジャンはあまりの天才ぶりを英国のハーディ教授に見いだされてロンドンに招かれるのですが、水が合わなかったのか短命に終わってしまいます。病床のラマヌジャンをハーディが見舞うのですが、いつも来ていると話題に事欠いてしまったらしく、その日ハーディは面白い話題を思いつきませんでした。たまたま、来る前に見たナンバープレートが1729だったので、ラマヌジャンにこう話しました。

 ねえ、今日見たナンバーが1729っていうとてもつまらない数だったよ、と。

 ラマヌジャンは即座に反応して、「とても面白い数ですよ。1729は3乗の2つの和として2通りにあらわされる一番小さい数字です。」といったのだそうです。

 1729=1の3乗+12の3乗=9の3乗+10の3乗

 これはナンバープレートをもじって、数学マニアの間ではタクシー問題と呼ばれています。

 まあ、数学者になるとこういう人に度肝を抜かれて自分の才能のなさを恥じなければならなさそうで、今は、趣味程度でこういうことが楽しめる方が良かったのかなと思っています。

1310.Tentar non nuoce.

2024.09.10

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 イタリア語の諺より。やってみても損はないと訳されていますが、諦める前にやるだけやってみろ、という意味のようです。

 病気や怪我、加齢などがあると、色々出来ないことが増えてきます。私は膝を故障しているので自転車に乗れなくなりました。乗れないので自転車を廃車にして、徒歩か公共交通機関、私的に移動する場合は自家用車にしています。バドミントンをしただけで膝が腫れてしまったので、ちょっと踏ん張る運動はもう無理かなと悲しい気持ちになりました。

 どうしても諦めなければいけないことや、健全な諦めこそが心身を健康にすることはもちろん良くあります。

 ただ、最初から諦めてしまって何もしないと知識も、人格も成長しない恐れがあることでしょう。

 どうせ外国へ行かないから外国語をやってもしょうがないというのは一つの理屈かもしれません。しかし、私もこの先一度もフランスに行かないかもしれないながら、今年からフランス語を始めて見て、脳が活性化して爽快な感じがしています。頭が悪くないはずなのに、引きこもったり酒を飲んでしまったりする人もいますが、何もしていないのであれば、あるいは、色々諦めているからこそ、その前に何か勉強するなり、出来ることがあればやってみる、というのもありかもしれないと思っています。

1309.再発の維持療法は2年

2024.09.09

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 当院ではうつの治療は国際的なうつ病治療のガイドラインCANMATに則って治療を行っています。

 良くなった後も1年間はSSRI等を維持して内服する方が、5年以内の再発率を軽減させると知られています。ですので、良くなった後にサボらず、油断せず維持療法を行うことが重要です。

 当院では開業4年目に入りましたが、1年間の維持療法を完遂した人の再発は今のところありません。

 最初の頃、診断書を書いてもらってそれで安心してしまったり、薬に偏見があったり、自分の判断でもう良いだろうと思ってしまったり、個別の深い事情があったりして中断してしまった方も、最近再度来られる方がおられます。もちろん、治療をしないよりした方が望ましいため、中断再開例もウェルカムで拝見はしています。ただ、そういう方の久しぶり初診は、「ちゃんと内服していればそろそろ卒業だったはず」の時期に0から仕切り直しなんて勿体ないこともままあります。

 過去を悔やんでも始まらないので、そこから治療を行うわけですがCANMATによれば、再発者の維持療法は24ヶ月ほど必要になるようです。ですので、自分は大丈夫と思ったり、なんとか気合いで等と考えて治療を中断した方は結局、再発時の維持療法が2年となってしまい、時間もお金も、余分に掛かってしまうことになるのです。

 再発例は2年維持療法を行うことになると思いますので、もし初診で来られたのであれば、出来るだけ1年は通院・内服をして頂ければご自身のためにもロスが少ないのではないかと考えています。

1308.心療内科だからこそ内分泌疾患に注意

2024.09.08

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 当院では、出来る限り初診時の採血をお勧めしています。
 心療内科、精神科でも採血があるの?なんてことを聞かれることがありますがもちろんあります。

 精神科でも例えば、双極性障害の治療薬である炭酸リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなどは血中濃度の定期測定が推奨されています。特にリチウムは過剰になると、腎障害等色々な遺贈障害を起こすため、内服を始めたら、3~4ヶ月連続して濃度測定を行います。バルプロ酸でも肝機能障害や汎血球減少を起こしやすいため、採血は必須になります。

 それだけではなく、初回の採血には、お酒を飲まれていればアルコール性肝障害がないかをチェックする意味もあります。また抗精神病薬は糖尿病を起こすリスクが高いため、血糖値等の測定も重要です。

 よく、健康診断を受けてきた、と主張される方もおられますが、健康診断ではだいたい、甲状腺や副腎皮質機能について測定されることはありません。鬱なんじゃないか、という風に言われても、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能低下症が見つかることもあります。
 初回の当院の採血で、家族性副腎皮質低下症を発見し、大学病院に依頼したケースもありましたし、下垂体に腫れが見つかったケースもあります。甲状腺機能低下症も割と多くて、近所の専門医を紹介させて頂いています。

 逆に他院であまり採血もなく漫然とお薬が出される場合もあるのですが、調べてみたら内科疾患だった、という落ちがたまにあります。見落としを防ぐためにも、採血を行う意義は高く、福岡徳洲会の副院長だった松林先生は、内分泌学の専門医として、この重要性を学会で何度も発表されており、私もそれを拝聴しては、きちんと検査を行って見落としを防ぐよう努力しています。

 どうぞご理解賜りますようよろしくお願いいたします。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分