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1350.WSLS方略

2026.02.02

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 Win-Stay Lose-Shift方略という行動選択があります。
 報酬が出たら次も同じ選択肢を選び、報酬が出なかったら次は異なる選択肢を選ぶというものです。

 これは環境の変化に適応するための認知の柔軟性を反映していると言われています。その適応的な側面は、WSLSを適切に運用すると報酬予測誤差を正しく処理し、行動を修正できる健康な状態を示唆します。不適応な側面は、わずかな失敗で即座に行動を変えてしまう、羮に懲りて膾を吹くというやつでしょうか。
 情緒不安定さや不安傾向と関連すると言われています。

 うつ状態になるとWin-Stayが減少が観察されるようですし、反対にLose-Shiftが極端には役なったり無気力から不適切な固定化が起こることがあります。

 依存症の方ですと、目先の報酬に強く引きずられて長期的に不利益な行動でもWin-Stayを執拗に繰り返す固執性が出てきますし、統合失調症の方ですと、環境のフィードバックと行動の因果関係を捉える能力に影響が出てWSLS方略そのものが一貫性のないランダムな物になることがあるようです。

 やった方が良いのに出来ない、とか、逆に萎縮してすぐ諦めてしまう等があれば、メンタルの弱りがあるかもしれません。ご相談頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

1349.逆温度

2026.02.01

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 統計力学において、平衡状態を記述するための物理量で、絶対温度Tとボルツマン係数kBを用いて

 β=1/kB・T

 と定義されるようです。
 熱エネルギーの逆数であり、逆温度が高いということは温度が低いと単純な理解でも良いようです。

 これは行動医学モデルでも論じられており、逆温度βが高いのは搾取を重視し、もっとも価値が高いと判断した行動を一貫して選び続けるようです。決定論的行動を取ると言われます。
 特定の行動への固執や状況変化に対応する柔軟性の欠如として解釈されます。

 逆温度βが低いとは探索を重視しており、行動に一貫性がなくアンリ目的を持たない衝動的あるいは散漫な行動と位置づけられます。

 一般に若年層ほど逆温度が低く探索的であり、加齢と共に一貫性が増します。経験に基づいて効率的に行動していると言うことでしょう。脳内のノルアドレナリンなどが関与していると言われているようです。
 筋萎縮性側索硬化症ALS患者や特定の依存症、認知症において、健康な人と比べて逆温度がどのように変化するかが研究されているようです。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分