899.原家族
2023.07.31
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
原家族(げんかぞく)とは、別に原さんちの家族ではなくて、配偶者を見つけて新しく作った家族ではなく、自分が子供として生まれた自分の両親(片親の場合もあるかもしれませんが、生まれた以上父母はいるはず)と自分やその同胞を含む家族を原家族と言います。
なかなか配偶者を作ろうとしたがらない人、自信がない人は、原家族との関係に問題を抱えている方も少なくありません。
親が過干渉であったり、支配的であったり、親の方が子供っぽい場合もあります。虐待事案もあれば、マル・トリートメントということもあります。
親に手ひどく扱われたのでおそらく自分の子もそうしてしまうだろう、とか、同じような家族は作りたくないので独りで人生を終えていきたいとか、思われるのは自由なことで、それもそれで尊重されるべきかもしれませんが、ちょっと寂しい気もします。
自分が新しい家族を持ったり子孫を作ることが、幸せのゴールデンスタンダードとは限らないので、多様な価値観の認められる今、必ずしもそうしなければならないわけではありませんが、原家族との葛藤が取れて自由に考えられる中で選択されたのであればそれで良いと思います。ただ、原家族の問題が解消されぬまま、その歪みが色んな選択に陰を落としているのであれば、そこは治療するチャンスがあるのかもしれません。
原家族の問題を越えていきたい、ということがあれば一度ご相談頂いてみてはいかがでしょう。
898.お祭り
2023.07.30
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
先日は所属しているコミュニティのお祭りがあり、行ってきました。
食事も美味しかったのと、福引きで美味しいフルーツが当たったので大満足でした。
コロナ禍でなかなか人が集まれませんでしたし、今も尚、コロナがなくなったわけではありませんが、やっぱり人が集まると、その人の家族の顔を見たり、たまたま近くにいた人と少しおしゃべりしてみたり、20年ぶりに会える人がいたりと、やっぱりリアルでの会合って良いものだなぁと思いました。
また鋭気を養ったので、皆様のお役に立てるよう務めて参ります。
897.デジタルタトゥー
2023.07.29
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
インターネットに拡散した写真等は、回収して削除することはほぼ不可能と言われており、それを以てしてデジタルタトゥーとも言われます。
私も医療関係者として、勤務医時代は顔を晒すことには慎重にしていたのですが、音楽活動をする際には拡散したい、という相矛盾する立場があり、気にしないことにはしました。
しかし、一方で、子供や孫、赤ちゃんや幼児の写真をFacebookやインスタグラムに載せる親があります。
善意で見れば可愛いのですが、誘拐のリスクや、子供のプライバシーを守っているかという点では慎重でありたいものです。フランスでは親が勝手に子供の写真をFacebookに掲載すると親が刑務所に行くリスクがあるとも言われます。米国でも児童オンラインプライバシー法(通称COPPA)という法律が1998年に制定され、子供の個人情報がインターネット上に拡散するのを防ぐ法整備が進んでいます。オーストラリアでは、女性が自分の写真の無断使用で親を訴える訴訟もあったようです。
お子さんを可愛いと思うのであればこそ、万が一のリスクも考えて、SNS等への写真や動画の投稿は、可能な限り慎重になって頂きたいと感じています。
896.近寄ってみたら、みんなおかしい
2023.07.28
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
昨日も触れた一乗寺ブリュワリーでは、「近寄ってみたら、みんなおかしい」という哲学があるようです。
同調圧力で、みんなが画一化していくノリとは真逆の、みんなおかしくてそれで良い、というような、多様性を認めていく考えが底流にあるようです。少しずつ他者とは変わっている自分を、肯定的に認めていくと言うことは、生きづらさを軽減する意味でも、とても良いのではないでしょうか。
私たちは人と比べて、誰かの方が金持ちだとか、誰かの方が仕事が早いとか、誰かの方が人気があるとか、妬んだり羨んだりしがちです。または逆に、自分はそれより劣る、と劣等感を持ったり自責の念に苦しむことも少なくありません。
近寄ってみたら、みんなおかしい、なんて思っておくと、すんなり多様性を受け容れられるかもしれません。
895.一乗寺ブリュワリー
2023.07.27
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
友人からお中元だったかに一乗寺ブルワリーのビールをもらったことがあります。
なかなか美味しく舌鼓を打ちました。
京都の精神科医高木俊介先生は、精神障害をお持ちの方も地域社会の中で暮らし続けるために医療と福祉を包括した在宅訪問支援を日本ではじめて実践なさいました。
そして、彼は、彼らのその生活に生きがいをもたらすために、障害をもっていても社会とつながっていられる場をつくとという目標を掲げて、この醸造所を立ち上げました。
デイケアやデイサービスを提供することはあってもクラフトビールの会社を作ってしまうという発想は、度肝を抜くものです。
しかも、麦から全て京都産。そのロゴマークも患者さんの作品だとか。
購入者も、生産者も、そこで働く障害を持つ人達も、全てにWin-win-winのプロジェクト。
すごいことなんだなと思い、尊敬の気持ちを持ちます。
私は、高木先生ほど飛躍した発想は持てていませんが、まずは、足元を固めてコツコツとやっていければと思います。
894.ぼーっとする効能
2023.07.26
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
将棋界では飛ぶ鳥を落とす勢いで、藤井聡太竜王名人が8冠も視野に入れながら、現在王位戦の防衛戦を戦っています。
少し前の世代だと7冠全冠制覇を成し遂げたのは羽生善治九段(十九世名人有資格者、永世七冠)が今なお第一線で活躍中です。
平成の天才、羽生九段は、試合のない日などは積極的にぼーっとするようにすると述べています。
最近ではこのぼーっとするのは時間の無駄でも内容で、脳科学的にはデフォルトモードネットワークと言って、脳が馴化していって色んな作業に慣れたりする時間に使われているかもしれないとも言われています。
いつもせかせかしている方がおられましたら、たまには敢えてぼーっとする時間を捻出してみられてはいかがでしょう。感情や、考えが落ち着いてくるかもしれません。
893.Merseburg(メルセブルグ)の三徴
2023.07.25
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
バセドウ病、この病気は、英語圏ではGraves病とも言われる自己免疫疾患で、甲状腺機能亢進症の7割を占めると言われます。1:7程度女性に多い病気です。
びまん性甲状腺腫大、眼球突出、頻脈をMerseburg(メルセブルグ)の三徴と言います。
この病気のメンタルヘルスの特徴は、感情に過敏になったり、怒りっぽくなったり、睡眠障害になったり、疲れやすいために最後までやり遂げられなかったりします。集中力低下で成績が下がることもあり、本人のやる気のなさとして責められることもあるようです。
当院では、初診の方には甲状腺機能と副腎皮質機能の障害の有無を判断するために採血させて頂くように努めています。心療内科でも採血があるのすか?と聞かれることもあるのですが、心療内科だからこそ、身体疾患の有無を最初に除外することは必要不可欠ではないかと考えています。
受診して頂く皆様には、ご理解とご協力をお願い出来ればと思っています。
892.本番を経験すること
2023.07.24
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
オカリナでアルマカフェコンサートに出て参りました。
やっぱり上手い方々と比べて、自分の準備の甘さが痛いと言いますか、反省ばかりです。
何でもない音を外したり裏返ったり、早いパッセージで転んだり。
やっぱり準備状態を更に高めていく必要があるんじゃないかなと思っています。
神は細部に宿ると言いますが、まだまだ神仏が宿るほどの精密さが足りないのだろうと思います。
事前にもっともっと自分の状態を心配性になって繰り返し練習していくことに尽きるのかなと思いますが、また、次の演奏機会に向けて、精進をするのみかと思います。
これからもよろしくお願い申し上げます。
891.聴く
2023.07.23
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
熊という字を覚えるのに、
ム
月
ヒ
ヒ
てんてんてんてん(この行は地方性諸説あり)、
なんてありますが、聴くという字の旧字体はご存じでしょうか。
聽という字になります。祖母から教えてもらったのは、大きな耳の王様が、十四の心を一心にして聴くだったでしょうか。
祖母も私もいい加減なので、通説とちょっと違うかもしれませんが。
聴政、という言葉がありますように、王が政治を行う際には大臣や将軍のアイディアや指摘を良く聴いて舵を取っていたようです。身分が上がっていって責任者になればなるほど、現場からの声をしっかり聴くことが大切になって来ます。
善意で解釈する、の項でも申し上げましたが、そういう指摘を攻撃されたと取るか、自分への助け、アシストであると取るかによって、トップの器が問われています。
どんなことも聴く姿勢で受け容れ、それから善悪や効果を判断していくことが大切かもしれません。
890.そろそろと治る
2023.07.22
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
当院にも双極性障害の方がいらっしゃっています。
躁状態は幸せなのか、やる気に溢れ、アイディアが湧き出てきて、恐怖に打ち克ち、行動力に満ちています。
あの素晴らしい日々を取り戻したい、と良く言われるのですが、その状態の時は、誇大的であり、万能感があり、観念奔逸・多弁・不眠不休・浪費・易怒性があり、周りは実は結構な迷惑をしています。ワンマン社長さんの一部は未治療のこのタイプの方ということも少なくありません。
ニュートラルな状態に保つことが最も治療的なのですが、ちょっと躁状態よりはちょっとうつ状態の方が大人しくて無害ということもあり、ニュートラルから少し大人しめを目指して治療される医師が多いように思います。しかし、それはバラ色の人生ではない、と、当事者の方からお叱りを受けることもしばしばあります。
しかし、躁状態に転ずることを躁転と言いますが、躁転は良くないと考えられているのです。気分障害に於いて最も予防すべきは自殺ですが、次に予防したいのは躁転です。お漬物に味がしみるようにそろそろと治る方が、実は安全であり、周囲の家族なども安心なさいます。
そろそろと治っていくことへの不満や不安も受け止めつつ、ということになりますが、実はそろそろと治ることはとても大切な歩みではないかと思うのです。