1021.2年半
2023.11.30
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
R3年6月1日に開業してから丁度2年半が経過致しました。
まだまだ地域の心療内科としては立ち上がったばかりではあるのですが、ここまでやってこられたのも、皆様のおかげと感謝しております。IDも1200例弱発生し、年間480名ほど新患を拝見していることになるので、よく頑張ってきたのかなとも思います。
現在は、南方は春日大野城に止まらず、八女市、宮崎市から。東は糟屋郡。北の方は岡垣・古賀・新宮。西は西区や糸島まで割と広範囲からお出で頂く印象です。七隈線が開通して、博多駅から11分と至便になったこともありますが、毎日新患枠を設けて、新患をお待たせしないで拝見する努力を続けています。これは非常に助かったと言われることも多いため、引き続き努力を重ねて参ります。
IBS,解離系の方、心的外傷(トラウマ)の方も割と来られます。
中高生のご相談もしばしばです。時に小学生もいらっしゃいます。近隣に、発達障害を診てくれるクリニックはありますが、思春期の心のケアについて全般に診察している所は少な目のようです。これらの対象の方々にも、今後も対応出来るよう務めて参ります。
認知症に関しては、1Fに脳外科(六本松通りクリニック:院長・前田充秀先生)様があることもあり、空いていればその日にMRIで海馬の堆積を体積を量るVSRADを受けることが出来ます。脳と心で上手く連携出来ていると思っています。心療内科疾患と勘違いされやすい下垂体・副腎系の内分泌疾患についても、下垂体を含めた脳MRIなどを同院でお願い出来るため、1棟で脳と心の用事が済んでしまう(おまけに3階にはやっきょくもあります)のも利用しやすい所ではないでしょうか。
これからも更に地域の皆様に愛されるクリニックを目指して職員一同、務めて参ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
1020.悪夢
2023.11.29
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
ストレスが掛かると悪夢を見ることがあります。整理夢と言って、そうしながらも考えが整理出来る場合は良いのですが、児童生徒時代の嫌な思い出まで復活してくるとちょっと問題です。
精神科や心療内科では、よく眠ることが治療の第一ということもあり、依存性の少ない薬を考慮しながら少量の睡眠薬もお勧めすることがあります。スボレキサントやレンボレキサントなど、オレキシン系の新しい睡眠薬はベンゾジアゼピン系と異なり、依存性もほとんどないため、良い薬として推奨されています。
これらの薬は悪夢を改善するという謳い文句もあるのですが、どういう原理か分かりませんが、反作用として、悪夢を増悪させることもあるようです。内科系心療内科の先生に、患者さんが悪夢をご覧になる確率を聞いたら、1~2割と仰っていましたが、先日当院のデータをまとめた所、25~28%の方が中断しており、悪夢があったのは、中断者の1~2割でした。
こういう場合は、エスゾピクロン、ゾルピデムやブロチゾラムと言った異なる薬に変更すると悪夢は見なくなったりしますから、薬をもらったのに夢見が悪い、と感じられた方は早めに再度のご相談を頂ければ、出来る限りすみやかに対応させて頂きます。
1019.イメージと腹痛
2023.11.28
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
九州大学病院の心療内科は、私が心療内科医としてのスタートを切らせて頂いた大事な所です。
芸術療法の先生からイメージと腹痛について教えて頂くことがありました。
イメージを描画で表す実習をしていた医学生さんがお腹(大腸)がイガイガ・ビリビリしている状態を絵に表現したらお腹が痛くなってきたなんてことがあったそうです。そこで安直に痛み止めを使わないのが心療内科らしい所で、絵を描いていてお腹が痛くなったのなら、お腹が楽になる絵を描いてみましょう、例えば南の島だとか、なんて教示で、南の島のビーチでゆったりしているイメージを描画した所、件の医学生の腹痛は治まってしまったそうです。不思議なこともあるものです。
もちろん全ての例がこうだとは限りませんが、このように、イメージと腹痛が密接に関連しているケースも少なくはないようです。
仕事や受験、人間関係、色んなストレスがあるわけですが、受験など時期的なものはみんなストレスに感じていますから、中にはそれがストレスになっていると気づかないケースもあるようです。
自律訓練法などは習得すると1分半から2分くらいでも十分効果がありますから、ゲームなどしているよりはよほど良い急速になります。腹部温感というイメージの訓練も入っているので、過敏性腸症候群(IBS)の方の、体調維持にも良い適用があるのではないかと思っています。
1018.評価語を避ける
2023.11.27
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
もちろん、何か成果が出た場合、その善悪や効果の有無について、正当な評価を下すことは必要なことだと思います。
ただ、セラピーの間は、私の場合は、あまりその良否などを尋ねることは控えるようにしています。
価値観は他人同士で異なるものですし、親切さやマナーについても、信ずる宗教、受けてきた教育、お国柄等の文化、地域性などによって様々です。ですので医師やセラピストの側からあまり、それは良い、これは良くないとか評価するのは避けています。もちろん、例外はあり、アルコール依存の方がお酒を飲まれた時などはちゃんとご注意を申し上げております。
ですので、良いとか悪いとか言及せずに、ご自身でやってみてどうだったのかとか、やれている自分をどう思うのかとかに関してご本人の実感を伺ってそれを大切にするようにしています。ご本人が良いと思っているのであれば、そこで良い、と言う判断を下して、どのように良いと思うのか、どんな点が良いのか等、詳しく伺うことになります。
友人などとフラットにお付き合いしていく時も、こちらから評価語を出さずに、この人はそう思っているんだ、という風に受け止めておくと良いかもしれません。前提として、その人にはその人の価値観で判断する自由があるわけですから、それを念頭に置いて、当方の価値観との合う合わないを表明するのを一旦保留しておくと、摩擦が少ないかもしれません。
1017.大丈夫?
2023.11.26
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
人が転んだりすると、大丈夫ですか?
なんて聞いてしまいます。まあ、これはありと思いますが、日常生活とかメンタルヘルスに於いて、大丈夫?という言葉はどう響いているでしょうか。
そもそも、人様から大丈夫?と聞かれた際に、帰せる言葉は、「大丈夫。」一択じゃないでしょうか。
大丈夫じゃない場合は、「・・・」という無回答などがあり、これは気を失っているなり発語が難しくなっている状態だからです。「大丈夫じゃない」と正直に言える人はよほど冷静か、本当に大丈夫じゃないです。ダイジョウバナイなんて、活用させて答える方もいます。でも、よほど信頼関係があるとか逆に空気を読まずに回答するのが平気でないと大丈夫ではないと答えることは少しハードルが高そうです。
つまり、大丈夫?と言う質問は、発すること自体、10中8,9、「大丈夫」という回答を期待していることになります。一時救命BLSでは、「どうされましたか?大丈夫ですか?」と聞くのですが、訓練のお人形さんがしゃべるわけもなく、「意識がありません」と次の指示に入ります。ここで人形から大丈夫と回答があればそれこそホラーですし、救命訓練になりません。
ミルトン・エリクソンも怪我をした子に大丈夫?とは聞かなかったと言います。
そういうこともあり、急を要する場合じゃなければ私はなるべく大丈夫?と言う質問は控えています。
どうされましたか?とかオープンクエスチョンで聞く方が、ちょっと調子悪くてとか、大事ないけどすっきりしない、とか微妙な不調も言いやすくなるからです。
家族や友人にも「大丈夫?」と聞くのがもし癖になっておられる方がありましたら、一度見直して頂いてはいかがでしょう。
1016.少し先のことを考える
2023.11.25
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
最近、中島央先生によるトランス療法を診療に取り入れて、まずまず上手く行っている印象です。
中島先生は初診から一気に治してしまう凄腕で、私も見習いたいと思っています。
私の場合はボチボチ治していますが、鬱が回復期に入ると、少し先のことを考えられるようになります。
うつ状態の時は、何を考えてもどうせダメだろう、しょうがない、やりようがない、としか思えなかったのが、何とかなるんじゃないかとか別の方法があるのではないか、などと視野が広くなったり発想が豊かになってくるものです。
回復期の方には、少し先のことについてさらっとお伺いします。明るい小未来が見えてきた人はどんどん良くなり、お薬も減っていきます。
タイミングをはかって取り入れることになりますが、少し先の未来が見えているか、お伺いしています。
1015.九年庵
2023.11.24
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
もう15~6年くらい前だかに、ある友人から、佐賀県神埼の九年庵はとても良いので一度行くと良い、と勧められたことがありました。ただ、駐車場が限定的とか色々困難さも伴っていたためか、当時は行くのをためらっていたのですが、最近は吉野ヶ里遺跡の駐車場からシャトルバスが出たり、旅行会社のバスツアーが設定されていたりして、行きやすくなっているようです。
佐賀の大実業家、伊丹弥太郎の別邸で、浄土真宗の僧、阿(ほとり)師の指導で明治25年から33年まで9年掛けて造成されたと言います。余り浄土真宗では和尚さんと言わないはずなのですが、公式のHPに阿和尚とあるのは、特別にそう呼ばれているのか、あまり宗派のルールを熟知していない方が記載したのか分かりませんが・・・。
紅葉を愛でるのは日本人くらいだという話が言われていますが、肌や目の色の違う外国の観光客の方も楽しんでおられるように見えました。
紅葉は、これから葉が散って冬に向かっていく寂しい中ですが、一瞬花のように赤くなるというわびさびのような世界じゃないかと思います。悩み相談を毎日伺っておりますと人生の波も悲喜こもごもと思うのですが、九年庵の紅葉に癒やされて、またリフレッシュして臨みます。
1014.臨床催眠学会に参加して参りました
2023.11.23
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
先日は広島経済大学で行われた、臨床催眠学会に参加して参りました。
コンパッションをテーマとしており、東京成徳大学准教授・石村郁夫先生を特別招待し、特別講演や理事長との対談を聞かせて頂きました。
石村先生は、マインドフルネスや自律訓練法の素養もあるためか、とても声がお優しく、聞きやすい雰囲気の講演でした。
その際、お目に掛かった、鹿児島大学から友人の心理士、肥後祥治先生もお越しで、記念に写真を撮らせて頂きました。肥後先生は私共が開催している研修会によくご参加下さる熱心な勉強家です。これからも学びの輪の接する所で、切磋琢磨出来ればと思っています。
1013.フレンドリーさ
2023.11.22
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
師匠の一人は、とてもフレンドリーな雰囲気で面接をされます。私の場合、身体も大きく目も細いので、ともすれば威圧感が発生しかねないのを人生経験で感じていますので、出来るだけフレンドリーな雰囲気を醸し出せるよう心がけています。
患者さんの中には、抗うつ薬は飲みたくないとか、睡眠薬も飲みたくないとか、漢方で治療を進めて欲しいとか、医学的なエビデンスとは角度の違う要望を出される方もおられます。挙児希望だったり、思い込みだったり、色々理由はあるようです。
最近は、フレンドリーさを念頭に置いているので、ご自分なりのご要望から入られる方についても、一旦それに乗ってみるのもありかなと寛容になりました。フレンドリーさを出せるようにしてからは、あまり、医学的な意見とご要望の衝突はなくなったように思います。これからも、優しい雰囲気を続けられるように務めて参ります。
1012.FBRs
2023.11.21
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
学会に出て、コンパッション・フォーカスト・セラピーについて学んできました。
コンパッションとは、強いて訳せば慈悲とか思いやりだそうです。
大乗仏教をベースにしており、セラピスト自身を助けることも出来るという良いもののようです。
傷ついた人はFBRsと言って、支援に対して抵抗することもあるようです。すなわち、Fear(恐怖)、Block(ブロック)、Resistance(抵抗)です。過酷な環境で育ってきた方の場合、親など保護者にひどい目に遭っていたりして、セラピストに対しても、また裏切られるのではないか、またひどい目に遭うのではないかと予想してしまいます。それを元にした恐怖感、ブロック、治療への抵抗などがあるというわけです。
それをコンパッションの精神で安心出来る治療環境を提供し、トラウマ等の治療を始めて行くようです。
いずれにしても、お会いする方全てに、コンパッションの気持ちを持って診療出来たらと思いました。