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1160.ポリヴェーガル理論が分かる本

2024.04.13

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 大分方面で臨床心理士として活躍を続けておられる、吉里恒昭さんは若かりし頃九大心療内科のセミナーでお会いし、その後意気投合して、私どもが主催する研修会に勉強に来て頂いたり、意欲的にたくさんのことを学んでこられた素晴らしい心理士さんです。ちゃんと研究もしていて医学博士も取得されています。
 そんな彼が、八谷隆之さんとDMWという会社を立ち上げて、現場に届く支援活動をしながら、最近流行っているポリヴェーガル理論についての本を書かれています。ポリヴェーガル理論は、今まで迷走神経が、交感神経と副交感神経の2種類だった、という考えから、副交感神経であるところの迷走神経を、腹側と背側に分け、さらにそれをわかりやすくデフォルメして、赤・青・緑の3態の状態に落とし込んで説明しているものです。
 ポリヴェーガル理論についての言語という意味で、彼らはポリ語と称しています。

 九州大学でも一度、吉里恒昭さん&八谷隆之さんで、ポリ語に関する研修を行って頂いたことがあります。

 そんな彼も著書が3冊目。3冊目の本は、なんと謹呈して下さいました。

 わかりやすい本なので皆様にもお勧めさせて頂きたいと思います。

 やる気がある状態、鬱っぽく静かな状態、中立で心穏やかな状態の3つをいかに自分に最適化して己をコントロールしていくか、そういうノウハウが得られればと思います。

本のリンクはこちら

1159.小林愛実さんリサイタルへ

2024.04.12

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 先日、ショパンコンクールで4位入賞された、小林愛実さんの福岡リサイタルへ行って参りました。
 CDも購入して、間近でサインも頂きました。

 アンコールも3回ほど弾いて下さって、滅多にしないというMCも聞けましたし、サイン会もあり、大サービスでした。

 このレベルになると息をするように流れるような旋律が指先からこぼれてくる感じで、繊細微妙な表現が自由自在で非常に高いクオリティだったと言えます。何でも15歳でデビューコンサートをしたのがアクロス福岡だったんだそうで、若い頃から天才少女の名を欲しいままにしてきた人はレベルが違うなぁと感激して参りました。

 私もささやかながら音楽活動をしている身・・・。

 比肩するには全く及ばないのですが、良い刺激を受けました。常に目標は高く持ちながら、背筋を伸ばして臨みたいと改めて思いました。

1158.CHIME

2024.04.11

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 当事者が希望する人生に向けてのプロセスを示す「リカバリー」の概念は、1980年代から当事者たちから始まったと言います。リカバリーは現在次の三つに分けて理解されているようです。

1.パーソナル・リカバリー
2.臨床的リカバリー
3.社会的リカバリー

 パーソナル・リカバリーとは、他者との関わりや将来像を含めて、本来のリカバリーの概念を引き継ぐものとされ、臨床的リカバリーは、症状の改善や認知・社会機能の工場など臨床家主導で目指すものといわれます。
 社会的リカバリーは、衣食住、就労を表すようです。

 Leamyらは、パーソナル・リカバリーを5つの要素からなると論じています。

1.Connectedness つながり
2.Hope ando optimism about the future 未来への希望と楽観
3.Identity 自分らしさ
4.Meaning in life 生きることの意味
5.Empowerment エンパワーメント

 1.Connectednessは、他者からのサポート、ピアサポート、サポートグループなどで、コミュニティの一員であることや人間関係を指します。
 2.Hope ando optimism about the future 未来への希望と楽観、は、リカバリーの可能性への確信を持つことや、変化への動機を持ち、希望に満ちた人間関係を構築すること、前向きな思考と成功の価値観を持ったり、夢や願望を持ったりすること。
 3.Identity 自分らしさ、は、アイデンティティの肯定的な感覚の再構築・再定義を行い、スティグマの克服を行うものです。
 4.Meaning in life 生きることの意味は、生活の質を高め、有意義な人生と社会的な役割を持つこと、精神疾患を経験した意味を理解し、自分の人生を再構築していき、有意義な人生と社会的目標を持ちながら、魂の充実という意味でのスピリチュアリティを持つこと。
 5.Empowerment エンパワーメント、は、強みに焦点を当て、個人の責任において、人生のコントロールをして行くこと、と言えるようです。

 回復の過程に、医師や看護師・心理師などのサポートが必要でしたら、お気軽にご相談頂ければと思います。

1157.薬物と新生児不適応症候群・糖尿病

2024.04.10

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 新生児不適応症候群とは、妊娠中に妊婦が服用した薬剤が胎盤を通って胎児に移行し、出生時の新生児に様々な症状を起こすものを言います。具体的な症状としては、振戦、嗜眠、筋緊張の低下や亢進、痙攣、易刺激性、呼吸異常、嘔吐下痢、哺乳不良などがあります。
 新生児不適応症候群は単剤より多剤を用いた場合に多いと報告されています。そもそも、精神科治療でも単剤の方が望ましいと言われていますが、妊娠期に向精神薬を用いる場合、さらに慎重にこの原則にならうべきと考えられています。

 また、糖尿病については、オランザピン・クエチアピンで妊娠糖尿病の増加が言われています。

 ベンゾジアゼピン系は抗不安薬・睡眠薬のかなりの割合を占めますが、流産の危険性が増えることが指摘されています。

 他方で、薬剤の危険性を考える場合、「薬を使用しないことによる危険性」も検討する必要がある。
 統合失調症や双極性障害、内因性うつ病に関しては、妊娠期においても原則は「治療を継続する」べきとされています。治療の中断により、統合失調症や双極性障害は高確率で再発し、再発することで育児が困難になることもあります。
 双極性障害ではバルプロ酸・カルバマゼピン・炭酸リチウムは避ける必要があるため、ラモトリギンなど比較的安全な薬をしようするか、病状に応じて他の抗精神病薬を用いることもあります。

 当院では、これらのエビデンスに基づいて、皆様から伺ったニーズに寄り添いながら薬物療法も検討して参りたいと思います。

1156.妊娠期の薬物療法

2024.04.09

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 一般的に妊娠期に最も懸念されるリスクは、薬物による催奇形性と思われます。催奇形性のある薬として知られているのは、バルプロ酸、カルバマゼピン、炭酸リチウムです。これらは、てんかんや気分障害の方には重要なお薬として知られています。
 先天異常の一般的な発生率は3%とされ、先天異常のリスクが増える割合は、バルプロ酸で3倍、カルバマゼピンが1.3倍、炭酸リチウムが2倍と言われています。
 そのため、これらのお薬は第1三半期(妊娠12週まで)には使用しない方が良いと言われています。
 また、バルプロ酸は出生後の児の認知機能の低下や自閉スペクトラム症、ADHDと関連することも指摘されています。
 これらのリスクから、妊娠可能性のある女性にはバルプロ酸は安易には処方しない姿勢が重要です。

 他方、使用しないことによるリスクもあるため、原則的に治療を継続することが重要視される場合もあります。

 他の異常も含めて次項に続けて取り上げていければと思います。

1155.留守番

2024.04.08

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 家族にもそれぞれの生活があり、旅行や遠征などでみんなが不在になってしまい、今週末は留守番をする羽目になりました。

 ところが、マンションの排水管清掃だとか、ダスキンが来たり、宅配便がしょっちゅう来たり(しかも私の荷物ではないものが)、となかなか落ち着いて勉強したり練習したりしようと思うと中断されてしまう環境でした。

 今回は私が在宅というのをみんな当てにしていたようです。

 なんだか留守番も楽じゃないなぁと思いました。
 世の中の主夫・主婦の方はそんな生活の中時間をやりくりなさっているのでしょう。

1154.散りゆく桜

2024.04.07

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 今年は、せっかく桜が咲いても雨が多くて、存分に花見に行こうにもなかなか行ききれないうちに桜が散りゆくように思います。

 桜は満開になり、散ってしまう美しさがあります。
 3月に亡くなった友人はこの桜も見られなかったのだなぁと、感傷に浸りながら、散りゆく桜を眺めています。

1153.高山の頂にして

2024.04.06

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
 
 高山の頂にして親と子の心相寄るはあはれなるかな 赤彦

 島木赤彦の拾遺より。

 赤彦が我が子と一緒に日本アルプスに登った際、その頂上で折悪しく雨に出合って、寒冷な高山の雨に濡れた身を、小舎の中へでも入って親子が直に体と体を触れあうことによって、初めてそこにこれまで感じなかった恩愛の上を、ほの温かい肉体の温かみを通して感じられたものを詠んだと思われます。

 登山などの非日常の厳しい環境、器具がないからこそお互いがとても大切に思う距離感、体温などは、山では最も確実に暖の取れる手段であり、お互いの生命の証でもあります。何気ない日常を暮らしていても、お互いの生命力などを思い至って、家族や周りの人たちを大切にしていけたらと思います。

1152.赤ちゃんがゆっくり育つのは

2024.04.05

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
 
 動物ドキュメンタリーなどを見ていると、馬の子などは、生まれてすぐに立って草原を走ります。そして、人間の赤ちゃんのように泣きません。泣いたら肉食獣に見つかって危険ですからね。哺乳類でも、産後すぐ立つものがいるのに対して、人間の赤ちゃんは立つまでに時間が掛かるようです。なぜなのでしょう?

 人類は直立二足歩行を手に入れたことで骨盤の形が変わりました。産道が通りにくいため、小さく産むことになりました。
 それがまず一点であり、その後、脳を優先して成長させる方略をとったために、頭でっかちとなり、また身体の成長より脳の成長が優先されることもあり、身体能力の成長は後回しとなりました。それでは手が掛かるため、集団の力を借りて共同育児をすることにしました。

 保育園や幼稚園に子供を預けることに罪悪感を感じる方もおられるかもしれませんが、集団による共同育児は人類であるが故にそうなっているわけです。預けっぱなしで一切面倒を見ないというと問題がありますが、手が掛かる子を保育園等に預けて稼ぎ、帰宅後の家族団らんを大事にするのは、人類の成長戦略の理にかなっているのです。

 ですので、若いお父さんお母さんは、子供を預けることには罪悪感を持たず、大変な時間を少し減らしたり、個人的な時間を持つようにしたりして良いのではないかと思います。そして、接していられる時間を大切にしてあげさえすれば、子供はよく育つと思われます。

1151.巣立ちと春

2024.04.04

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 当院でも、3月でよく勤めて下さった心理スタッフが、産休代替終了となり、無事に巣立っていきました。
 最後まで気持ちを切らさず、丁寧に患者さんの対応を心がけてくれ、とても感謝しています。

 それぞれ、新しいところでしっかりした就職先を見つけており、当院で学んだことが次の職場でも生かしてもらえたらと願っています。

 4月からは産休明けの既存のスタッフも復帰します。

 人の入れ替えはあったものの、患者さんへの丁寧な対応はどのスタッフも心がけており、常に質の向上に努力しています。
 4月からも当院をよろしくお願いいたします。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分