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1309.再発の維持療法は2年

2024.09.09

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 当院ではうつの治療は国際的なうつ病治療のガイドラインCANMATに則って治療を行っています。

 良くなった後も1年間はSSRI等を維持して内服する方が、5年以内の再発率を軽減させると知られています。ですので、良くなった後にサボらず、油断せず維持療法を行うことが重要です。

 当院では開業4年目に入りましたが、1年間の維持療法を完遂した人の再発は今のところありません。

 最初の頃、診断書を書いてもらってそれで安心してしまったり、薬に偏見があったり、自分の判断でもう良いだろうと思ってしまったり、個別の深い事情があったりして中断してしまった方も、最近再度来られる方がおられます。もちろん、治療をしないよりした方が望ましいため、中断再開例もウェルカムで拝見はしています。ただ、そういう方の久しぶり初診は、「ちゃんと内服していればそろそろ卒業だったはず」の時期に0から仕切り直しなんて勿体ないこともままあります。

 過去を悔やんでも始まらないので、そこから治療を行うわけですがCANMATによれば、再発者の維持療法は24ヶ月ほど必要になるようです。ですので、自分は大丈夫と思ったり、なんとか気合いで等と考えて治療を中断した方は結局、再発時の維持療法が2年となってしまい、時間もお金も、余分に掛かってしまうことになるのです。

 再発例は2年維持療法を行うことになると思いますので、もし初診で来られたのであれば、出来るだけ1年は通院・内服をして頂ければご自身のためにもロスが少ないのではないかと考えています。

1308.心療内科だからこそ内分泌疾患に注意

2024.09.08

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 当院では、出来る限り初診時の採血をお勧めしています。
 心療内科、精神科でも採血があるの?なんてことを聞かれることがありますがもちろんあります。

 精神科でも例えば、双極性障害の治療薬である炭酸リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなどは血中濃度の定期測定が推奨されています。特にリチウムは過剰になると、腎障害等色々な遺贈障害を起こすため、内服を始めたら、3~4ヶ月連続して濃度測定を行います。バルプロ酸でも肝機能障害や汎血球減少を起こしやすいため、採血は必須になります。

 それだけではなく、初回の採血には、お酒を飲まれていればアルコール性肝障害がないかをチェックする意味もあります。また抗精神病薬は糖尿病を起こすリスクが高いため、血糖値等の測定も重要です。

 よく、健康診断を受けてきた、と主張される方もおられますが、健康診断ではだいたい、甲状腺や副腎皮質機能について測定されることはありません。鬱なんじゃないか、という風に言われても、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能低下症が見つかることもあります。
 初回の当院の採血で、家族性副腎皮質低下症を発見し、大学病院に依頼したケースもありましたし、下垂体に腫れが見つかったケースもあります。甲状腺機能低下症も割と多くて、近所の専門医を紹介させて頂いています。

 逆に他院であまり採血もなく漫然とお薬が出される場合もあるのですが、調べてみたら内科疾患だった、という落ちがたまにあります。見落としを防ぐためにも、採血を行う意義は高く、福岡徳洲会の副院長だった松林先生は、内分泌学の専門医として、この重要性を学会で何度も発表されており、私もそれを拝聴しては、きちんと検査を行って見落としを防ぐよう努力しています。

 どうぞご理解賜りますようよろしくお願いいたします。

1307.頼まれ仕事はすぐやろう

2024.09.07

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 知り合いのところで、若い子に仕事を頼んでもすぐにやってくれないんだ、何て悩みを聞いたことがあります。
 今は忙しい、すぐは出来ない、等と言いつつ、本来やることも案外進んでいなかったりして。

 仕事が出来ない人、やる気が不十分な人は後回しにしてギリギリにやるなんてパターンは良くあります。

 出来る営業マンなどは、嫌な仕事、頼まれ仕事ほど、できるだけすぐに取りかかるようにして、相手方の信頼を得たりしているようです。

 シチュエーションの違いや、量の限度などの問題、依頼のルールが正当かなど色々な問題があるとは思いますが、それらのディティールに大きな問題がないのであれば、頼まれた仕事ほど、快く引き受けて、早く取りかかり、サッと報告すると、依頼者の信用も獲得出来るのではないかと思います。

1306.どげんかしようとせん

2024.09.06

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 うつや適応障害でもがき苦しむ方々は、その苦境をなんとか乗り越えようと、疲れた体に鞭打ってはおられないでしょうか。

 非常に臨床能力の高い先生に、躁鬱病の治療の研修をして頂いたことがあります。
 その先生曰く、何とかしようという人には、何とかしようとすることを、一旦止めて頂くのが精神療法だというのです。

 その先生は患者さんに、
「どげんかしようとせんことですなぁ」
 としょっちゅう仰っていたそうです。

 どげんかしようとすることを、一旦棚上げして、休み、たっぷり寝てみましょう。

 不思議なことに、溺れている子どもが諦めて力を抜いた時と同じように、もがくのを止めた時にふと、楽に浮かんできたりします。

 どうにかしよう、どうにかしよう、と苦しんでおられる方、一度、骨休めをして、どげんかしようとすることを、一旦お休み頂いてはいかがでしょう。
 自分一人でなかなかそこまで出来ないと仰る方は、一度ご相談頂いてはいかがでしょう。

1305.人類は保育をする

2024.09.05

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 人間の赤ちゃんはなぜ泣くのか、という問いがあります。

 同様な類人猿の、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンの赤ちゃんが、誰かを呼ぶべくワンワンと泣く様は見たことも聞いたこともありません。一体なぜなのでしょう。

 ジャングルで小猿がワンワン泣いたら、捕食の肉食動物に食べてくれと言わんばかりで、とても危険です。我々人類は、古来、ジャングルにゴリラなどから追われた、謂わば、ジャングルの敗残者と言えましょう。豊かな木の実を食べられないので直立二足歩行で餌を探している内に、直立の原理で脳が大きくなり、色々工夫が出来たようです。

 人間は外敵の入れない家を作るようになり、家の中で赤ちゃんを哺育することにしました。外敵がいないので赤ちゃんは親や大人を呼ぶことが出来ます。
 また、泣く行為は必ずしも親を呼んでいるわけではなく、世話をしてくれるなら誰でも良いということになります。ミルクを与えられるなら父親でも良いし保育士さんでも良いわけです。

 オランウータンの授乳期間が7年もあることは以前も触れましたが、人類はせいぜい1~2年。7年って、年長児や小1の子どもがおっぱいを求めてぶら下がっていたら人間の女性は狂ってしまうかもしれません。非常に未熟な状態で子宮から外に産み落とし、授乳期間も短縮し、他の大人を含めて社会で子どもを見ることにしたことで、人類は次の子どもを繁殖する能力も得ました。

 保育園に預けるのも、保育士に任せるのも、近代化してそういう職業が現れたとは言え、進化の過程で猿人、原人、旧人、新人となる間に、みんなで子どもを保育していくようにしたのが人類の種族としての決断であり特性です。

 子どもを預けることに少し後ろめたさのある親御さんは、ぜひ、気にせず堂々と預けてみて下さい。そして、会える時間にお子さんをたっぷり愛して上げましょう。

1304.プチ鬱を許容する

2024.09.04

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 双極性障害の治療で最も良い状態は、上がりすぎでも下がりすぎでもなく、ニュートラルな状態で社会適応することです。
 怒りっぽさもなく淡々と仕事が出来れば周りは安心することでしょう。

 双極性障害の患者さんとお話ししていていつも話し合いになるのは、プチ躁状態が1番乗っていて気持ちが良いのだがそこに治療目標を合わせられないかという要求なのですが、残念ながらちょっと躁状態というのは本人は気持ちよくても周りは振り回されて迷惑している状態です。ワンマン社長などに良くある話で、従業員が次々に止めていくけど、社長だからしょうがないと思われている、というような所でしょう。

 プチ鬱状態だと、買い物に行っても何かって良いか思いつかないとか夕飯のメニューを思い浮かべられないなどと仰ることがあっても怒り出したり、反論したりはせず、人との衝突はまだ起こっていません。

 ニュートラルがベストですが、プチ鬱の状態はある程度許容されて良いと思っており、気づいたら早めに職場にアサーティブに負荷軽減を申し出て、お酒などは飲まずに早くたっぷり寝ることが重要でしょう。

1303.くまもん

2024.09.03

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 熊本駅に着くと、くまモンの首が晒してあります。
 人気スポットらしく、写真を撮っている観光客が後を絶ちません。

 くまモンは行政が打ち出したゆるキャラですが、ひこにゃん等有名どころのトップの方に入ると言ってもいいでしょう。私の孝行のあった四日市市は、伊勢湾の積乱雲が大入道の伝説を生み、大入道の話からゆるキャラがこにゅうどう君というのになったのですが人気投票の職員への強要問題などがあり、あまり好印象が広まらなかったようで残念なことです。1番任期だったひこにゃんも裁判沙汰になって下火になってしまいました。
 デザイナーの権利や利益を守ることと長く愛されるキャラクターづくりの間には、綿密な計画性が必要でした。

 くまモンの成功はキャラクター使用料を取らずに、競合する商品同士でも利用可能としたところのようです。設定も綿密に行い、2体同時には出さないとか、中の人なんかいない、とか、熊ではなく男の子だ(熊本に熊はいないので)、等の設定があります。

 全県的に愛され、広まるようになったくまモンの戦略には、数多くの失敗と対比されて学ぶべきところがあると言うことでしょう。

1302.ワイルドベリーコンサート

2024.09.02

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 9月1日は糸島市末永の田園喫茶ワイルドベリー様にてオカリナとピアノによるコンサートをさせて頂きました。

 800回以上コンサートを主催して、新聞にも掲載されたワイルドベリー。オーナーの水野さんは元福大の教授で芸術や文化への造詣が深く、土蔵では絵の展示もされています。ここは古い庄屋さんの古民家などを買い取ったものらしく、石畳の喫茶店にはドイツのピアノベーゼンドルファーが鎮座しています。いつも45席の客席が足らず50名以上がコンサートに訪れて下さり、ピアニスト共々お客様には感謝しています。

 次回のご案内は11月10日となっています。その後は、1月12日、4月6日、7月20日と先々まで予約を頂戴しました。

 今後のコンサートについてもどうぞよろしくお願いいたします。

1301.成瀬悟策先生100年

2024.09.01

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 台風で臨床動作学会も開催出来なかったようですが、成瀬悟策先生生誕100年のシンポジウムは開催されました。
 私はその後、演奏の本番もあったので長居は出来なかったのですが、久しぶりの動作学会、懐かしいメンツがいたり、私は心理リハビリテーション学会には入っておらず、今回両学会の合同企画という性格上、心リハ系の方も多かったのか、なじまない顔も多々あり・・・。

 成瀬悟策先生と言えば古くは催眠の大家、後半は臨床動作法の提唱者として知られています。私も志賀島のご自宅に直接伺って動作法の指導を何度か受けさせて頂いたものです。

 今となっては懐かしい思い出です。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分