821.直接話すことで
2023.05.14
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
先日、医師会の会合に行ってきました。コロナ禍以来の懇親の場でした。顔見知り程度だった先生と少しずつお話をする機会です。
驚いたのは、九大で研修していた頃に、学生さんに催眠の体験を提供していたことがあったのですが、その学生だった子が立派なお医者さんになって、地区の医師会というとても近い所で勤務されていたのでした。うっすら憶えているかどうかの記憶を話している内にやっぱりこの人だったのかとお互い思ったようで。
偶然の力もすごいものですが、やっぱり何気ない酒席でひょんなことを思い出したりするもののようです。
昔は六本松地区は3軒ほどしかクリニックはなかったようですが、今は30軒ほどあるようです。大先輩からそう言うような昔話を伺うことも出来ました。今はこの地区自体が全科が揃っているという総合病院であるかのような地域になって来たようです。
コロナが五類となって初めての会合に行ったわけですが、改めて直接対話することの大切さを知りました。
820.ジェンダー・クォーター
2023.05.13
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
男女共同参画の考えで、職種によって優勢なジェンダーがある場合、相補的なジェンダーの人を1/4は参入させるというものです。男性ばかりの委員会などには1/4女性を入れることとか、例えば、看護師など女性が多い職種の場合はその逆に男性も1/4入れるというような考え方です。
学会の役員も務めさせて頂いているのですが、役員の選任の際などに、私からトップに積極的にこの働きかけをするように務めています。欲を言えば1:1になるのが理想なのですが、会員などの基本人口に比率差がある場合など、なかなかそうもいかない場合もあります。まあもっと突き詰めればマイノリティの人も役員にした方が良いのかもしれませんが、男女だけでもまだ基準を満たせるわけではないので、まずはそこからという所でしょう。
みなさんの勤務先はジェンダー・クォーターを促進していますか?
労組の有無や委員会の有無についても以前ご指摘申し上げたのですが、ジェンダー・クォーターを取り入れているかどうかも良い職場かどうかの指標になるかもしれません。
819.精神科指導医の更新を終えました
2023.05.12
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
先日、無事に精神科指導医の更新を終えました。
待合室に掲示させて頂いております。
指導医を持っているからと言って指導すべき若手を雇用しているわけではないのですが。勤務医時代は後輩の面倒を見ることが出来ていました。
一定水準を満たす資格を持つと言うことはそれなりの責任を要しますから、今後もご相談に来られた皆様に良い医療を提供すべく鋭意専心努力して参りたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
818.自分の穴を埋めていく
2023.05.11
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
先日、当院内にも永らく掲示していました、東京オカリナカルテットの六本松公演を拝聴して参りました。
大師匠である大沢聡氏が率い、現在師事している弓場さつき氏が1stです。2ndが国際コンクール世界一の椎名春奈氏、3rdが大沢氏の右腕でもあり、ソリストとしても活躍中の柿内美緒氏。
どんだけすごいメンバーで来るんだ・・・。
前半クラシック、後半はポップス等で、内容については圧巻でした。
オカリナで日本一から世界一のタイトルを取られた椎名さんと話す機会があったのですが、まあ、大沢師匠の演奏を聴いていると、私自身の感覚では、将棋で言えば藤井聡太竜王、野球で言えば大谷翔平選手のようなもので、眺めていても憧れていても一向に追いつける気がしないと言いますか、まあ、自分と比較してしまうと凹む要素しかないわけです。
おまけに、松原などはこれから年齢的にも指回りが速くなるよりは怪しくなってくる頃です。そういうことを嘆いていても、妨げにしかならないのですが、よく考えてみれば基本的な所に穴があるわけです。
椎名さんの演奏がどこが反省点なのか、上手に思えて私からは穴がないようにしか聞こえなかったのですが、トッププロはさすがで穴がなさそうな彼女も、勝ち将棋の藤井竜王のように謙虚にご自身の反省点を述べておられました(注:知らない人のために。藤井聡太竜王は圧勝した将棋も、次善手を指したことを反省し「最善を指せなかったのでまだまだ自分は甘いです」といった趣旨の感想を述べることが多い)。
結局、色々嘆く前に、お互い穴をきっちり埋めて行こうじゃないかということになりました。
演奏でも競技でも、ある程度分かってくると、師との差は実際には縮まっているはずなのに体感的に広がっているように錯覚することがあります。
10mの距離が1mに縮まったはずなのですが、残り1mでやらなければならないことが、進んできた9mよりも密度が濃くてやるべきことが多かったり、ハイレベルな結果を求められたりするため、そう感じるのでしょう。ハイレベルな結果につなげるためにはやるべき仕事量が増えてしまうため、それをきちんと認識出来ることが差が縮まっているのに差が広がっているように錯覚するという現象の正体です。まあ、そう感じられるのは自分の認識の能力が上がっていると言うことなのですが。
憧れの大目標を仰いで圧倒されて萎縮するよりも、とにかく目の前の自分の粗さを改善することの方が有益です。ネガティブになりがちな時は良く休み、充実した気力と体力で、自分の課題を少しずつ克服しましょう。
817.マスタークラスレッスンに行ってきました
2023.05.10
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
オカリナの世界では、師匠の大沢聡氏は世界で最も有名な奏者の一人です。
オカリナは音域が狭いという弱点を抱えています。そこで、複数のオカリナを合体させて複数管というのを作るわけです。
大沢氏は、波多野杜邦氏が発案したイカロスを改良した大沢オカリナという3連管を普及させました。複数管の発案自体は波多野氏のオリジナルでもなく古来のイタリアでもあったのですが、それを音楽的に演奏出来る奏者がいなかったと言うことのようです。
まあ、ヴァイオリンをやろうとしてパガニーニが教えてくれるってことも、ピアノを始めてショパンやリストが教えてくれるってことも、マエストロが死んでしまっている以上あり得ませんから、世界一の奏者を師匠に頂いたというのは、非常に幸運だったと言えます。普及の初期は全国でレッスンされていたのですが、ファンが多すぎて現在は縮小し、地元でしかレッスンを受けられないことになっています。しかし、稀にイベント的に、フェアなどでご教授機会を頂くことがあります。
今回、抽選で、マスタークラスレッスンが当たり、濃密なレッスンを頂きました。
数年ぶりにご指導を頂いたのですが、進歩を認めて頂いたのでほっとしています。
日中診療しながらではあるのですが、自分の課題を見出し、コツコツ克服することで、亀の歩みながらも進歩を続けていたようです。いつも叱られてばかりだった先生から、数年分の向上をお認め頂いて、内心欣喜雀躍しております。
とても良い連休だったので、また改めてしっかりと診療に向かいます。
GW明けになるとペースを崩して、出勤不能、不登校になる方がそろそろ増えてきます。今の所予約は余裕がありますが、皆様も体調の変化にはお気を付け下さい。
816.Chi si accontenta gode.
2023.05.09
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
Chi si accontenta gode.とはイタリア語の諺で、満足する者は楽しむ、ということです。
大谷翔平選手がストイックと評されたことに対して、ストイックというと辛いことを頑張ってやっているニュアンスに聞こえるがそうではない、自分は練習を楽しんでいるんだ、と答えています。
上手くなることが目標で、一つ一つを工夫してものにして行く。その作業を楽しんでいるのだというのです。
仕事となるとなかなか楽しんでばかりもいられませんが、きちんとやれる、見直しが出来る、しっかり出来た、スキルが上がった、というように自分の認知を肯定的にして行けばもう少し楽しめるのかもしれません。
もちろん、残業過多とか、評価が低いとかではやる気も出ないでしょうから、正当な評価がなされた上で、ということになると思います。バランスが取れているのであれば、楽しみながら取り組むのが良いのかもしれません。
815.デコヒーレンス
2023.05.08
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
デコヒーレンスとは量子力学で用いられる用語で、量子系の干渉性が環境との相互作用によって失われることということです。
量子がどこにいるかは確率的であり、全てがそう動いていると解釈することにより、多世界が並行して存在することを認めた場合、例えばこのブログをお読みになっている状態と、居眠りしている状態は平行世界に同時に存在しうると考えられます。パラレルワールド的に物を見た場合、明治維新があった世界となかった世界も同時にあることになるのですが、両者は干渉し得ないというのをデコヒーレンスと解釈しても、私共の現実世界ではそういう理解でも良いように思います。
そう考えると、自分が親切に対応出来た時と、上手く対応出来なかった時も。ポジティブに物を捉えた時とネガティブに捉えた時も、平行世界に同時に存在し得ます。
しかし、それらはデコヒーレンスによって相互干渉が出来ないため、結局、今生きている自分は、虫の居所のせいなのか、機嫌のせいかはともかくとして、今ある結果を引き受けていくしかありません。量子論的に物を考えたり、そういう世界観を認めるのは興味深いのですが、行動の帰結と責任、そしてこれからの対応を考えるのは、今、ここで、の自分になるわけです。そして、よりポジティブに、温かい対応を常に心がけることで、より良い平行世界を選択出来るとも言えましょう。
814.死にさえしなければどうにかなる
2023.05.07
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
イタリア語の諺より。
とは、死にさえしなければどうにかなるものだ、というものです。ちょっと、ブログの仕様でイタリア語を投稿しようとするとエラーになるので今回書けなかったのですが、直訳すると、死を除けば、全てのものには治療法がある、という意味です。
メンタルヘルスに関わっていますと死にたいと言われることがしょっちゅうあるのですが、どなた様にも申し上げさせて頂きたいのは、本当に、生きてさえいれば何とかなるということです。
希望が持てなくても、とりあえず今日を生き延びて欲しい。
生きてさえいさえすれば、徐々に回復することもあるのですから。
その一助となれるよう、鋭意治療に励みたいと思っています。
813.他人は変えられない、と思っておく
2023.05.06
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
他人というのは、通常の定義では親族は除いて考えるわけですが、本稿に限っては、自分以外の人物を、親兄弟も含めて他人と仮に定義しておこうと思います。
心療内科に来てご相談を頂く場合、家族の無理解、というものは増悪因子として割と頻繁に伺います。
さて、無理解があった時、どうしたらよいのかということになります。
もちろん、医師や心理士から詳しく説明してくれれば分かると思うので、話して下さい、という要請があれば、医療機関としてこれに応じています。聞く気がある方、理解力がある方がいらして頂く分には問題はありません。しかし、そうなることは実際問題は稀なことが多いです。
無理解ゆえに、家族が心療内科や精神科に通う行為自体を否定したり、そもそも、通院していることを家族に切り出せない状態だったりすると介入自体が大変です。
中には、そういうご家族を変える方法がないかという風にもご相談頂くことがありますが、家族や他人を変えようというのはだいたいセラピーの方略として上手く行かないものです。要は他人は変えられないと思っておくことが大事なのです。
もし、変えることが出来るのであれば、それは自分が先に変わり、相手に対する影響力の行使の仕方が変わった時です。つまり、相手を変える良い方法は自分が先に変わることなのです。そして、そうやって起こる変化は、あまり沢山の量ではないと考えられます。
ですので、他人は変えられないと常々自覚し、変えられるのは自分自身と腹を決めて頂くことが重要です。
その覚悟が決まれば、後は、状況に応じて具体的な落とし所を私共とご相談させて頂くことになるのではないかと思っています。
812.憧れと自覚
2023.05.05
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
来る5月7日に、東京オカリナカルテットと言って、私の恩師でもある世界的オカリナ奏者、大沢聡氏が、トップ弟子を3名率いて、複数管オカリナによる四重奏のコンサートに来られます。当院のすぐそばの科学館ですので、予定の空いている方はぜひぜひお勧めです。
不覚にも師匠のCDが去年出ていることに気づいておらず、この連休のオカリナフェアにて入手して参りました。最近はGoose effectというグループでオリジナル曲を演奏されています。CDを聞いた所、一音一音がとても素敵で、ノリも良く、技術も確かでため息の出る演奏とはこのことです。
ドレミファソ、と吹くだけでもとてもセクシーな演奏で、素晴らしいなぁとまた惚れ惚れと聞いていました。
影響されやすいのですぐ真似する訳なのですが、真似の出来る所と出来ない所があるわけです。
もちろん、世界一の先生ですから、私がすぐに同じにはならないわけですが、学ぶはまねぶから来ているとも良い、憧れて真似をするのは上達の基本と思います。そんな話を、応援してくれている人に話した所、松原の演奏もそれはそれで良いのだと言って頂きました。
自分の場合、ジャズはそもそも聴いている経験値が少ないし、聞けないことはないですが、普段から浴びるように聞くかと言えばそういうこともありません。優秀な人に憧れたり、自分に足りない技術は真似したり学ぶ必要はあるのですが、自分の好みは変えられないのだし、無理に、自分がどうしたいかというものがないまま単に真似をするというのも違うのかなとも思いました。
技術や感性で足りない所は、憧れつつ研鑽を積み、その上で自分はどうやりたいのか、しっかりと方向性を自覚することも大切です。後者のことを忘れず、しっかり肝に銘じておくこともまた重要なのではないかと思いました。