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75.温かさの種を増やす

2021.04.25

75.温かさの種を増やす

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 開業させて頂くに当たり、前職の上司はもとより、医局の九大心療内科の教授・医局長、入局時の当時の教授、研究室の主任、等、色んな方々にご挨拶に伺いました。
 そこで感じたのは、それぞれの箇所からの温かいお言葉やご配慮でした。
 詳細は述べませんが、急病等により人事で困った時も、すぐに救いの手を差し伸べて下さった先輩がありました。
 最終的に手を借りることになるかどうかは分かりませんが、そういう温かいお心遣いって一生覚えているものです。
 いつか、また、機会があれば、今度はその方々のお役に立てるよう恩返しをしようと、また決意を新たにしました。
 とりあえず、最近では、割り込んできたい車は、前に出来るだけ入れて上げるようにしました。
 譲って差し上げれば、相手も安心して余裕が生まれる。譲られた人は余裕が出来、次の人に譲ってあげることも出来る。
 温かさの種は幾重にも増えると思っています。

74.目標を見失っている時

2021.04.24

74.目標を見失っている時

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 先日、志はあるのに、直近の目標を見失っている人のご相談を受けました。
 メモを取りながら話をしっかりと伺いますと、目標が否定文で作られています。
「要らないことを言わないように
 無意識はとても単純なので、目標は肯定文で、単純なものが良いです。「海賊王に、俺はなる」とか。これも、「俺は海賊王になる」よりも、最初に目標となる単語がいきなり出てくるので、それも無意識に伝わりやすくてより良いでしょう。
 要らないことを言わない、だと、要らないこと、というのも否定文の上、言わない、と言う行動も否定文です。
 そうなると、何が要らないことなのか分からないために、何も言わないなど、だんだん自身の行動を縮こめてしまいます。
 その指摘をすると、ご自分も後輩には肯定文で目標を持つように言っているんだったと苦笑されていました。自分のことになるとなかなか分からないこともあるようです。
 目標を見失っているかもしれないとか、よく分からなくなっている時は、否定文が入り込んできていないか要チェックです。目標を肯定文で持つことで、目標を見失っている感じは改善出来ることがあります。当院では、お話の内容にも耳を傾けつつ、語られるパターンにも気をつけながらお話を伺わせて頂くようにしています。

73.思いやりを感じることが出来ない時

2021.04.23

73.思いやりを感じることが出来ない時

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 普段は仲が良いはずなのに、あるいは、大切な家族や仲間と思っているはずなのに、今日はその人の言葉や仕草から思いやりを感じることが出来ない、なんてことは日常生活においてままあることです。
 出掛ける直前にいさかいになるとか、後で言ってくれれば良い注意点を今言うのかとか、ちょっとはこちらの事情も考えてくれないか、などと思ってしまうと、相手に対して腹が立ったり、イライラしたり、残念だと思うことがあります。
 一体どうしてしまったのでしょう。
 出掛ける直前だとか、急いでいる時とか、他の案件を先にやりたい時などに、件の相手から介入されると、イライラするのは、こちらにも急ぐなどの事情があり、すなわち自分に余裕がないわけです。余裕がない時に、後回しでも良いと思うことを相手から挿入されるとイライラすると言うわけです。それでは、相手の方はなぜそうなってしまったのでしょう。
 普段上手く行っているとすると、その人は普段であれば、「今お時間良いですか?後が良いですか?」等聞いてくれるはずなのに、ということになります。普段出来る気遣いをしてもらえずイライラすると言うことは、相手の人にも気遣うだけの余裕がその時はなかったと言うことなのでしょう。
 腹が立った時は、自分にも余裕がなかったとか、相手のなさりようにも、相手にも配慮をするだけの余裕がなかったのだろうとか、「余裕の有無」という視点を導入するように心がけています。
 先日紹介した米長邦雄永世棋聖は、弟子に対して、本当に怒る時は3日後に来い、と言っていたそうです。その場で怒ると感情にまかせて不要なことまで罵声を浴びせてしまうため、3日おいて冷静になり、注意点だけ伝えるようにしたそうです。名人を獲る人でもそうやって気をつけていたのですから、私のような凡人はまだまだアサーティブな態度が堂に入っているとは言えません。
 しかし、私も凡人なりに日々、成長出来ると信じて、「余裕の有無」という視点で気持ちを整理するように心がけています。

72.猛烈頑張り屋さんの気づき

2021.04.22

72.猛烈頑張り屋さんの気づき

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 やさし目のお薬を処方して、長らくカウンセリングしている患者さんがいらっしゃいました。
 若い頃にはウルトラマラソンの取材に行ったなどというパワフルな方ですが、最近、休むことの重要性に気づいたとのこと。いつも頑張る頑張るの人だったのが大きな成長です。適切な休みは重要です。
 頑張る時に頑張れるように休む。
 自分が倒れたら大変な時こそ休んでおく。
 いずれも重要です。
 そして、休むことに罪悪感を持つ必要は全くありません。
 母子分離のテーマをお持ちの方などは、常に頑張って認められていないと、良い子でいないと、存在意義がないと考えて遮二無二頑張ってしまう人がいます。
 でも、人は生まれてきただけで祝福されるはずのもの。そういう環境で育たなかったり、自分の存在に自信の持てなかったりする方も、一度ご相談頂ければと思います。

71.もみじの花、そして藤

2021.04.21

71.もみじの花、そして藤

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 もみじと言えば秋の紅葉ですが、春にささやかな花を咲かせることはご存じでしょうか。
 葉っぱの合間にちょこんとのぞく双葉のような花です。
 春に花が咲くことは前から知っていましたが、今日はブログなので花言葉も調べてみました。
「大切な思い出」
 だそうです。
 見逃してしまいそうな紅葉の開花と共に、繊細なことに気づき、大切にし、それを大切な思い出としていく。
 そんなことが出来ればと思います。
 皆さんの大切な思い出はどんなものでしょうか。

70.基本に忠実に

2021.04.20

70.基本に忠実に

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 若い心理士さんの指導をさせて頂いています。
 長らく指導させて頂いた方などは、とても基本に忠実です。もう、はしょっても良いんじゃないかなと思って見ているセッションのまとめで、やっぱり基本に忠実に、体の違和感などがないかをチェックされていました。そしたら、予想外に体験者の人からは痺れ感が実はあったことが告白され、姿勢の調整を行ってそれを改善してから丁寧にセッションを閉じられました。
 教えておきながら教わることも多いのですが、やっぱり基本に忠実にやっておくと取りこぼしがないんだな、と改めて思った次第です。私自身のこととして、お話を伺う際に、若手のようにやっぱり初心に帰り、基本に忠実にやろうと戒めました。

69.自身をディスカウントするなかれ

2021.04.19

69.自身をディスカウントするなかれ

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 先日、ご相談を受けた方は、本当はとても大きな夢をお持ちでした。でも、職場の雰囲気が難しいので、白鳥のような心の羽根を小さく折りたたんで、契約更新の際に切られないようにとか、身を縮めておられました。心の大志と、縮んだ姿にとても違和感を持ちました。実際、体をほぐそうとしても違和感ばかりだと言います。
 私からは、自分をディスカウントすることを止めてみるようにお伝えしてみました。
 もう、野心を隠すのは止めようと。
 大きな志があることをしっかり胸を張って生きて行かれるようお伝えした所、立ち所に頭痛や体の違和感がなくなったのでした。
 内なる心と、それを外に表す体。そのイメージがずれていると心身としてはかなりしんどいようです。お話を伺った印象と見た目の違和感を減らすように気をつけながらアドバイスを差し上げると、短時間で驚くほど変わられることがあります。

68.カウンセリングにおけるテンポ感

2021.04.18

68.カウンセリングにおけるテンポ感

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 受容・共感・傾聴などと申しますが、相手に邪魔にならない聞き方をしているにも関わらず話し手がもやっとしてくることがあります。先日も心理士さんの面接をチェックしていてそういうことがありました。
 そのセッションの場合、テンポが速めの話し手に、聞き手がゆっくり待ちながら聞いていたのが一因でした。頭の回転の速い話し手には、ポンポンと良いテンポで返していくのも時には重要なことです。アレグロの相手にはアレグロの返し、ラルゴの相手にはラルゴの返し、と言うわけです。テンポ感を合わせるように助言した所、その後はとても面接がスムーズになりました。
 私どもはお話を伺わせて頂く際に、非言語的サインの観察はもとより、テンポ感にも注意して伺って参ります。

67.転移感情

2021.04.17

67.転移感情

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 以前、ご自身がとてもつらい状況になった方から、いきなり怒りを向けられたことがありました。
 なぜ自分が、会社で理不尽な目に遭わなければならないのか!なぜ自分が(身体疾患の)大病にならなければならないのか!などという悔しさややるせなさがあった時、それを悲しみに変化させる人、怒りに変化させる人、昇華させて社会貢献に変える人、などストレスの消化方法は人それぞれです。自分がストレスを抱えた時、それを周囲に八つ当たりしてしまうことはあり得ることです。自分が八つ当たりをしてしまった時、当たった相手は単にとばっちりで、本当に腹立たしいのは、どうしようもない理不尽な事象かもしれません。八つ当たりのようなものを非効果的コーピングと言いますが、非効果的コーピングを起こしてしまいがちな時に、当院では、何か改めてより建設的な解決を探せるよう、ご相談に寄り添いたいと考えています。
 このようなぶつけどころを変えることを現代では広い意味で転移と呼んでいるようです。
 転移とは、元々は、フロイト博士が提唱した精神分析の概念です。
 では、転移とはどういう感情か、原義と広義の両方を見てみましょう。
 まずは原義。Wikiを紐解いてみましょう。
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⇒フロイトは、面接過程において、患者が過去に自分にとって重要だった人物(多くは両親)に対して持った感情を、目前の治療者に対して向けるようになるという現象を見いだした。これを転移(Transference)という。
 転移は、患者が持っている心理的問題と深い結びつきがあることが観察されたことから、その転移の出所(幼児期の性的生活)を解釈することで、治療的に活用できるとされた。転移の解釈は、精神分析治療の根幹とされている。
--------------------------引用以上
 広義については、一般向けに平易に書かれたサイコタムも見てみます。
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⇒クライエントが、過去に重要な他者(両親など)との間で生じさせた欲求、感情、葛藤、対人関係パターンなどを、別の者(多くの場合は治療者)に対して向ける非現実的態度を転移と呼びます。
--------------------------引用以上
 幼少期の性的生活を解釈するのが妥当かは現在の実臨床では議論がある所かもしれませんが、行動パターンとして、父に取った行動を上司に対しても取りがちですし、精神分析の言葉ではありながら、その人のあり方を知る上では有用です。
 私自身、亡き父と緊張関係にあったことから、上役の男性に何となく苦手意識を持っていました。
 昨日投稿した久保千春先生はもっと大きな安心感を与える人でしたので、そのような私の転移の癖から解放して下さる方でした。
 臨床家としてのトレーニングを積んだり、歳を重ねてい行く内に成長し、私自身は自分の転移について考えたり処理が進んできたように思います。
 常に精神分析の解釈を念頭に置いているわけではありませんが、私どもプロフェッショナルは、ご相談を頂いた際に、その方に起こっている感情の流れが転移なのか、私どもの感情が逆転移なのか、等、時々落ち着いて見直しながら、カウンセリングを進めて参ります。

66.尊敬する久保千春先生

2021.04.16

66.尊敬する久保千春先生 

ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 昨日は、中村学園大学の久保千春学長のところへご挨拶に参りました。
 私が学生の頃、久保千春先生は、九大心療内科の第3代教授でした。
 若くして教授になられ、はつらつとして気鋭の先生でした。
 三重大学から見学に来た私が、当時、九大心療内科では絶滅していた、催眠をしたいと申し出ると、「今はやる人はいないが、失敗などがあれば僕がしっかり守るから、一生懸命やってみなさい」と仰いました。
 政治家が秘書のせいにして雲隠れするご時世に、どこの馬の骨とも分からない学生に、そこまで言って頂けることで、この人は一生ついていくべき先生だ、と心に決めました。
 私自身は、先祖代々三重県で、母方も東北地方で、九州には縁もゆかりもありませんでしたが、久保先生の愛情と指導力だけを頼りに、九州にやってくることに致しました。我ながら、人を見る目があったと思うのは、その後久保先生は、九大病院長、総長として管理職としての手腕も発揮されたということです。当時は誰も分からなかったと思いますが。
 現在は、九大総長を退任され、中村学園大学の学長として招聘されて指導に当たっておられます。
 久保千春先生の素晴らしい所は、私がコメントするのも僭越ながら、実績は言うまでもなく、人物の大きさと心の純真さと言えましょう。どんな込み入った話をする時も一切邪気がありません。どうしたらこんな風になれるのかと憧れている内に、私はいつの間にか白髪頭になってしまいました。
 私が、診療をする際にいつも心の中で心がけていることがあります。
「いつも心に久保千春」。
 教授室や学長室を訪れると、久保先生は「お、松原君、元気にやっとるか?」とニコニコして迎えて下さいます。  その時の安心するようなほっとするような気持ちを当院にいらっしゃる方にも持って頂きたい。
 さあ、診療を始めよう、という時には、「いつも心に久保千春」。不安を抱えて当院の門を叩く方に、少しでも安心して頂けるように、久保先生と同じ優しい気持ちで、迎え入れられるように心がけています。
※久保先生のお写真掲載はもちろんご承諾を頂戴しております。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分