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1042.DESC法

2023.12.21

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 バウアー夫妻とケリーは、会議の場、話し合いで何かを決めたり、課題を達成したりする場におけるアサーションの方法として、DESC法を提唱しました。要点を抜粋して、客主提選とも覚えることが出来ます。

D=describe:描写する(客観的な描写)
E=express,explain,empathize:表現する、説明する、共感する(主観的な気持ち)
S=specify:特定の提案をする
C=choose:選択する

 客観的な描写を行い、主観的な気持ちを表現し、説明し、共感し、特定の「提」案を行い、どういう行動をとるか「選」択する、と言うことです。

 これを用いて、会議の場では台詞を作っていきます。

 例えば、空気が籠もっているので窓を開けて換気がしたい、と思った場合、

「会議が始まってある程度時間が経ち、空気も籠もってきましたね(描写)。
 私は少し、新鮮な空気が吸えたらと思います(表現する)、みなさんもそう思う方もおられるのでは?少し寒いかもしれませんが(共感)。
 と言うわけで、5分ほど換気をしませんか(提案)。」

 と言うような進め方になるでしょうか。それらを全て自分で言う人もあるかもしれませんし。一部は誰かが発言していればそれを言ってもらった、と思いつつ乗っていくのもありかもしれません。

 アサーティブな話し合いをするのに、DESC法もご参考になさってはいかがでしょう。

1041.ネックウォーマー

2023.12.20

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 最近はとみに寒くなって参りました。

 先日、今シーズン初めてネックウォーマーを着用しました。
 首元もあまり寒いと血圧も上がりますし、大事にしておきたいものです。私が使っているのは以前100円ショップで買ったものだった気がします。マフラーよりも、人かぶりするだけで済むのが気楽で簡単に着用しています。物をなくしやすいため、不着用の時はポケットに入れておけば紛失しないのも良いと思います。

 寒くなって参りましたので、皆様もそれぞれ工夫してお風邪など召しませぬよう、お気を付けてお過ごし下さい。

1040.軽躁エピソード

2023.12.19

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 DSM-5-TRによりますと、軽躁エピソードとは次のようなものです。

A.気分が以上活持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常に活持続的に亢進した活動または活力のある、普段と異なる期間が少なくとも4日間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する。

B.気分の混乱と活力および活動が亢進した期間中、以下の症状の内3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合には4つ)が持続しており、普段の行動とは明らかに異なった変化を示しており、それらは優位の差を持つほどに示されている。

(1)自尊心の肥大、または誇大
(2)睡眠欲求の減少
(3)普段より多弁であるか、喋り続けようとする切迫感
(4)観念奔逸、または思考が疾駆しているといった主観的な体験
(5)注意転導性(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)
(6)目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加、または精神運動興奮
(7)困った結果につながる可能性が高い活動に熱中すること
 (例:制御のきかない買いあさり、性的無分別。またはばかげた地行への投資などに専念すること)

C~Fについてはどこかで調べられるでしょうから割愛します。

 最初からこうなる人もおられますし、抗うつ薬内服中に躁に転ずる方もおられます。
 双極性障害となると、抗うつ薬を中止し、気分安定薬や双極性障害に有効な別の系統の薬を使用する必要がありますので、思い当たる方はご相談頂ければと思います。

1039.メディカルトリビューンに掲載されました

2023.12.18

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 先日の心療内科学会ではポスターセッションで発表をさせて頂きましたが、メディアの方もご覧になっていたようで、メディカルトリビューンに掲載されました。
 全部読むには有料のようですが・・・。

 少しでも皆様のお役に立てますと幸いです。

1038.アンガーマネジメントのこつ

2023.12.17

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 以前、アンガーマネジメントについて書いた所(#463稿)、そういうご相談も頂くことがあります。

 前回は、一般的なアンガーマネジメントについてお書きしたのですが、私なりに工夫している助言についても開示してみたいと思います。

1.他者の考え・行動はその人の自由である

 親子兄弟を含めて、自己以外の存在を他者と認識するならば、他者の考えや振る舞いはその人の自由である、ということをまず認めること、これはアンガーマネジメントに置いて重要です。人それぞれのあり方をまず認める立場であれば、こうするべきじゃないかという考えが自分からの押しつけになっていることに気がつくからです。
 場合によりけりと言うこともあり、例えば、救命救急行為を邪魔する人がいればそれは何らかの手段で控えてもらうなり立ち去ってもらう必要があるでしょうが、そこまで緊急でなければ、他者に協力を強要出来ません。そして、その他者が、あまり適切出ない行動を取ったり、望ましくない結果につながると予測されたとしても、それはその人が引き受けて行くべきものです。自由に振る舞うには責任が伴いますから、それはその方の自己責任と考えるのです。

2.自分の支配性を省みる

 怒りの気持ちとは、その場が思い通りに運ばないことへの怒りでしょう。
 つまり、怒る人は、その場の成り行きを思い通りにしたいと思っているからです。それは、自らの支配欲なのだと反省することが必要でしょう。
 そもそも、相手には当方の言うことを聞く自由もあるけれども聞かない自由があるわけです。
 そこに腹が立つのは、言うことを聞かない自由が相手にあることを認めてない、その場を支配したい支配欲に他なりません。

3.逆走老人の法則を思い出す

 自分が正しいと思い込んでいる時ほど、相手に変わって欲しいと思い込んでしまいます。
 しかし、それは衝突を生みます。
 逆走老人の法則で書きましたが、高速道路を逆走してくる見知らぬ老人と心中したい人が居るでしょうか?
 居ませんよね。
 自分が正しい時ほど、危険から身をかわし、一旦安全を確保してから社会的な方法で改善を求めることが重要です。
 自分が正しいと思い込んでいる時ほど、その場を譲るのが困難になりがちです。しかし、先に道を一旦譲って衝突を回避することで大けがを避けることが出来ます。もちろん、安全が確保出来たら110番で逆走車の通告をする方が良いでしょう。

4.月謝を払ってくれていない相手にアドバイスは控える

 相手や組織に対して、もっと効した方が効率的、本来こうするのが筋、という言い分があることがあるでしょう。
 しかし、教えて下さいと頼んできた相手以外に、助言を与えるのは、反発や恨みを買うことがあります。

 助言は、求められてからする、高度な助言は対価を持って行う方が望ましいと思います。

 言いたいことがある時に、自分の不満のはけ口や八つ当たりで吐いていませんか?
 それはカウンセラーや友人に後で聞いてもらえば良いのであって、相手を攻撃するために助言めいたことを言うのはあまり良い結果を生みません。

 何か言いたい時は一旦保留して、この人は自分に月謝を払ってくれているかチェックしてみましょう。十中八九払っていることなんてないはずですから、徒労に終わるばかりか逆効果だと分かるはずです。

5.場で起こっていることの良い側面を信じてそこに重心を載せる

 第3者が場に割り込んできた時に、ムッとしてしまうこともあるかもしれません。
 しかし、見方を変えれば、熱くなっている時に水入りをしてくれたと考えることも出来ます。
 物事には色んな側面があります。

 良い側面を信じて、そこに重心を載せて信じてみましょう。
 不思議なことに事態は良い方に転がり始めます。

以上、松原なりのアンガーマネジメントのコツを列記してみました。ご参考になれば幸いです。

1037.ブロントサウルスの復活

2023.12.16

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 大型の草食恐竜といえば、私の子供の頃はブロントサウルスでした。でも、その後、アパトサウルスやらスーパーサウルスやらが出てきてしまいました。ブラキオサウルスとかもいましたね。

 色々発見されるうちに、ブロントサウルスはアパトサウルスの亜種であろうということになり、トリケラトプスの稿で述べましたように、シノニムといって先行して発見されたものに統一化されますから、アパトサウルスが先輩だったこともあり、ブロントサウルスはなくなり、アパトサウルスに統合されてしまいました。そう、ブロントサウルスはなくなってしまったのです。

 ところが、この2年くらいの発見により、アパトサウルスだけではどうしても説明がつかないものがある、ということが分かってきて、やっぱりこの子たちはブロントサウルスで良いんじゃないか、というのが専門家の意見となり、ブロントサウルスは復活を果たしたとのことです。これも国立科学博物館の真鍋真先生に教えていただきました。

1036.トリケラトプスはなくならない

2023.12.15

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 心療内科学会では、大会長が尊敬する恐竜博士、真鍋真先生(国立科学博物館・副館長)の講演がありました。

 以前も、ゴリラ学の講演で、非常にセラピーに役に立ちましたから、今度も何か役に立つかと思って聞いてきました。

 恐竜の世界は、何億年も前の化石でありながら、毎年のようにアップデートされており、その発展は日進月歩、油断のならないものです。
 恐竜にカラフルな色が着けられるのは、その表面の電子顕微鏡で見た時の配列によって推測が可能だということもわかりました。

 質問の時間を頂いたので、トリケラトプスはなくならないのか、ということを真鍋先生にぶつけてみました。

 結論を申しましょう。なくならないそうです。

 もともとのトリケラトプスなくなる説というのは、トリケラトプスはトロサウルスの子供じゃないかという話があり、全部トロサウルスになるのではないかという説です。シノニムということがあり、同類のものは、先に発見・命名されたものを残すそうです。そういう意味ではトリケラトプスはトロサウルスより先行しているため、トリケラトプスが残る、というご見解でした。
 やっぱりなじみのあるティラノサウルスやトリケラトプスは、そのままでいてほしいなぁという個人的な願いがあり、正当な学者さんにそれを確かめることができて安心いたしました。

 みなさんも、興味があれば、新しい恐竜の絵本や図鑑を手に取ってご覧になってみて下さい。

1035.常に学ぶ姿勢

2023.12.14

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 土日は東京まで心療内科学会へ出席して参りました。
 師匠の久保千春中村学園大学長にお声かけ頂き、いくつかのセッションを近くに置いて頂きました。
 座長をお務めの特別講演の先生の本をしっかり2冊用意され、そこのプロフィールをもう一度メモしてまとめ直しておられました。
 超一流になっても、超一流だからこそなのかもしれませんが、常に最先端のものを素直にインプットして空き時間にもどんどん相手のことを考えてまとめをしていく。一つ一つをきちんと向き合っていくことが、重要なのだろうなと思います。

 一流の人のそばに居ると学びになると言いますが、久保先生は、数時間そばに居ただけでも、居住まいを正したいと思わされる先生ですから、自分もまた磨きをかけていきたいと思いました。

1034.産業革命以来の

2023.12.13

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 ここ数十年の知的生産作業は、人類の歴史にないようなスピードで変化しています。
 私が子供の頃は、作家が本を書くのは原稿用紙でしたし、他の知的生産も紙をベースにしていました。活版印刷術が生まれたとしても、一次資料の作成は紙だったと言えるでしょう。これが第1段階。

 それが、コンピューターの出現により、黒い画面にプログラムを打ち込むようなことがあり、少し遅れてワードプロセッサーが出現しました。これが第2段階。

 それから、MacintoshやWindows95の出現により、GUI(Graphical User Interface)が出て来ました。これは画面をクリックすると何か動いてくれるというものであり、人間がコンピューターに親しみやすくなる第一歩でした。GUI出現によって、誰でもインターネットを使う時代に突入したと言えるでしょう。これが第3段階。

 そして、iPad等のデバイスの出現により、マウスもキーボードもなく、指で入力していくタブレットが出て来ました。コンピューターがどんどん人間の一部になってきたような感覚です。これが第4段階。

 現在は、アレクサ、こうして。とか言えば、声でIoTが言うことを聞いてくれる時代となりました。既に手も指も使わないで済む段階です。第5段階。最近のゴーグルは、視線や動向から、人間が何を考えて動いているか予測してお勧めしてくれるなど更に先に行っているかもしれません。

 既に将棋や囲碁では人類はAIに勝てなくなりました。
 バイクや新幹線がウサイン・ボルトより速かろうと、人間が競技をする意義というのはあるのかもしれませんが、多くの部分が人間より優れていそうなAIを人間が使いこなして行くには、フェイクを見抜く元々の教養の素地の高さであるとか、洞察力であるとかが高度に要求され、真に知的な人が機械を使いこなし、後は大多数使われる側に回る、という時代になりそうです。

 心身医学会での安宅和人先生のご講演は、非常に情報量が多かったのですが、上記のような所にも触れていました。

 産業革命も、細かく分けると2次とか4次とか分けるようですが、単純に最も有名な第1次の産業革命のみを産業革命と呼んだ場合、それ以来、人類の生産性に革命を起こす時代に入りそうです。我々は幸か不幸か、パソコンの誕生から、チャットGPT等AIの時代へという荒波の真っ只中にいるのかもしれません。

1033.非合理的思い込み

2023.12.12

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 苦しくなってしまう時、働き過ぎやハラスメントなどの圧力によることもあるでしょうが、自分自身の信念体系が非合理的であった、ということもあるのかもしれません。

 ここに、メンタルヘルスを病みがちな方が陥りやすい非合理的思い込みをいくつか挙げてみましょう

1.人は誰からも愛され、常に受け容れられるようであるべき
2.人は完全を期すべきで、失敗をしてはならない
3.思い通りに事が運ばないのは致命的なことだ
4.人を傷つけるのは良くない。だから人を傷つけるような人は責められるべきだ
5.危険で、恐怖を起こさせるようなものに向かうと、不安になり、何も出来なくなる

 真面目な人ほどこれらの非合理的思い込みを全てではありませんが、一部ご自分に適用していないでしょうか?

 論理療法などではこれを論破していくようですが、私などはトランス療法や支持的面接の中で少しささやかなヒントをお出しするなりして、少し頭を柔らかくして頂けるよう務めております。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分