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787.履き物を揃える

2023.04.10

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 履き物を揃えることは重要な躾とされています。哲学者の森信三は、三つの躾として、朝のあいさつ、きちんと返事、履き物を揃える(椅子を机の下に入れる)、を挙げています。
 女流棋士の鈴木環奈さんはお寿司屋さんの娘さんだそうですが、将棋道場に通う時、履き物をきちんと揃えて礼儀正しい所から原田泰夫九段に見出されて女流棋士になったとも言われます。原田九段は高潔な人格故に30代で連盟会長になったという優れた人物です。名伯楽や年長者は文字通り「足元を見ている」と言えます。
 私も疲れてくると履き物を揃えられなくなってしまうので自戒を込めてこのブログのテーマに致しました。

 自分の、脱いだもの(やり終えたことの象徴)を振り返り、きちんと整理することが出来るか。
 他の方も通行することへの整頓の美しさなど、周りに気配りが出来るか。

 履き物を揃えることはそれらの非言語的サインと捉えることが出来ます。

 ちょっと雑になりがちだった履き物、改めてちゃんとやってみようと思っています。
 何から直したら良いか分からない方は、まずは履き物を揃えることから始めて見られてはいかがでしょう。

786.流れを信じてみる

2023.04.09

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 人の集まりというものは、離合集散を繰り返すものです。
 何事にもタイミングというものがあり、流れが隆盛している時もあれば、細っていく時もあります。

 大事なのはその流れを恨んだり、怒ることなく、その流れにはその流れの先があることを信じることだと思っています。

 勤務医時代は北九州や佐賀でも研究会を開催していたのですが、極端な時には1名しかお出でにならない時もありました。
 人が集まらないと、何だかそっぽを向かれたような寂しいような気持ちになるものです。

 しかし、逆の発想もありだと思うのです。
 この人は来てくれた、とも言えます。
 では、出席の意欲のある人に自分の提供出来るだけの最大のものを提供しよう、と思ってベストを尽くしていくと、それはそれで少数精鋭なりの深い体験が出来ることがあります。
 また、ドタキャンする人、何らかの事情で欠席せざるを得なくなる人もいますが、その人が来なかったおかげでその人がいると話しづらいと思っていた他の人が口を開くこともあります。それらも大きな流れなのかなと思っておくと、アクシデントやキャンセルも、そういう流れなのだと思って捉えることが出来ます。
 海の波に逆らうことは出来ず押し返すのも人力では無理です。私達が出来るのはせいぜい、その波に乗って推進力にすることくらいです。そうであれば流れに逆らわず、むしろ流れを信じてそれに乗る方が、気分的にも良いし、より良い結果につながると考えています。

785.心田を耕す

2023.04.08

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 二宮金次郎こと尊徳の教えに、「心田を耕す」というものがあります。
 心療内科に来られる方は、心が荒れて、ひび割れた土のようになっている場合があります。

 どんな土地だって、耕しておかないと、荒れ果ててしまい、栄養不足でひび割れてしまいます。そのような状態で仲間やお客様に温かく対応出来るでしょうか。干からびそうな時は、他者に水を分け与えるよりも自分を潤すことを優先しがちになりますし、それはむしろ当然で仕方ないとも言えます。
 人様に優しくありたいならば、まずは自分が潤っていることが大切です。自らの心の田を耕すということです。

 私も上手く対応が出来なかった時は、自らの心田の耕しや潤いが足りなかったかもしれません。

 自己管理、という一言だと少し味気ないのですが、潤いや温かみを含めた自己管理として、心田を耕す、ということを心がけたいと思います。

783.躁的防衛

2023.04.07

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 辛いことや悲しいこと、腹立たしいことがあった時、みなさんはどのように対処されていますか?
 全ての人ではありませんが、世の中には辛い時ほど、忙しくして乗り切ろうという方がおられます。

 辛いことを考える暇がなくなるほど、あれこれ予定や業務を詰め込んで、バッタバッタとノルマをなぎ倒していく。対処法のことをコーピングとも言いますが、多忙にするコーピングで精神的な辛さから免れるというものです。
 このような多忙にして辛さと向き合うことから逃げる方法を、一般に躁的防衛と申します。躁的防衛は、一件生産的なようでも、あまり望ましい対処法とは言えません。まず、根本的な問題と向き合うことを棚上げしたり避けたりしているため、根本的な問題が解決するわけではありません。
 また、問題と向き合うことから逃げたまま多忙になっているためエネルギー切れを起こしやすくなります。
 躁的防衛に使っていたエネルギーが枯渇した時、そこに待っているのは本格的なうつ状態です。
 本格的なうつ状態に入ると、抗うつ薬の内服が長く必要になったり、職場も結局長く休まざるを得なくなったりします。つまり、躁的防衛の先には、あまりご本人が望まない長期休みであったり、薬物療法があるという状態になりやすいと言うことです。

 躁的防衛になりがちな方は、一度ご自身の手綱を緩め、飲酒を避けて十分な睡眠を取り、一つ一つを丁寧にこなしていくことが一番の解決です。専門家の援助が必要とお感じでしたら一度ご相談頂ければと思います。
 

782.一喜一憂しない

2023.04.06

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 落ち込んでいる状態や、フラッシュバックに苛まれている状態が良くなると、嬉しいものです。
 しかし、一方で、すごく喜んでしまうと、マイナスの波が来た時に、やっぱりダメなんじゃないかと、ひどくがっかりしてしまうこともあります。
 ご自身にあまりがっかりしてしまうというのは、治療にとっては望ましいことではないのではないかと思っています。

 ですので、ご自身の状態に対する受け入れの態度は、一喜一憂しない、というのがお勧めです。

 良くなってきても、欣喜雀躍して喜ぶ所まではしない。ああ、少し良くなったなぁで留める。
 悪くなった時も、がっかりして落ち込みすぎない。ああ、今日は調子が悪いなぁ、で留める。

 あまり、一喜一憂せず、淡々と自分の状態を観察していきます。そして、前稿にあったように、波打ちながら良くなることを想定して、少しでもよく寝て、少しでもしっかり食べていくのが良いのではないかと思います。

 治療を続けるためのクライエントのコツとして、一喜一憂しない、というのは頭の隅に置いて頂ければと思います。

781.波打ちながら良くなる

2023.04.05

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 鬱からの回復過程は、一体どのようなものでしょうか?

 何でもポジティブに考えられて、どんどんアイディアが出て来るのでしょうか?
 これに多弁、易怒性、浪費などが付いてくると、躁状態というやつで、むしろ危険な兆候です。

 心療内科で修行中、指導医の先生から、「波打ちながら良くなる」と教えて頂いたことがあります。
 基線としての全体はだんだん緩やかに上向きなんだけれども、体調や、周りの言葉などに左右されて、一時的に悪くなったりすることもある、ということです。
 一時的に落ち込んだり、持ち直したりはするものの、落ち込みの幅がひどくなかったり、持ち直すのが早くなったりと、悪い時よりマシな反応が観察されるというのです。

 当院に通院して頂いている方からも、なかなか良くならない、と言われる時、どんどん指数関数的に良くなる想定をされていることがあり、この、波打ちながら良くなる、ということをお伝えしています。
 波打ちながら良くなると考えて見ると、落ち込みの緩和や回復の早さを認めることが出来、そういう点からも良くなっていることを確認していくことが出来ます。

 多少の波があっても、良い時もあるのであれば、波打ちながら良くなる、と少しご自分の視野に幅を持たせて頂くと、楽に回復に迎えるのではないかと思っています。

780.帆に風

2023.04.04

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 色々と上手くいかない時は、腹が立つやらもどかしいやらという気分になりがちです。気に入らない相手がいる場合はその人のせいだと思ってしまうこともあります。

 ところが、少し気持ちが前向きになってくると、自分や他の職員が退職することになったことも、それも一つのご縁ではないかと受け容れられるようになって来ます。別れは寂しいものですが、新陳代謝していかなければ新しい出会いもありません。別れが早く来た場合は、出会いも早く来るかもしれない。
 もちろん、過去に囚われたままだとなかなか切り替わらないものですが、ふと気づくと、そのように考えることが出来る代になっていることもあります。

 こうなってくると、あまり複雑な心理療法は要さなくなります。まさに、帆船が帆に風を受けたかのように推進力が高まるのです。順風満帆になられたな、と思った時、私はあまり患者さんに沢山の助言はせずに、ご本人の歩みを温かく見守らせて頂いています。

779.オンライン資格確認

2023.04.03

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。新年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 政府が導入しているマイナンバーカードによるオンライン資格確認ですが当院はいち早く導入して対応しています。
 お若い方ですと、保険証は存在しているが実家にあるがマイナンバーカードの紐付けは出来ているという方もおられます。

 当院では、マイナンバーカードによるオンライン資格確認が出来た場合はそれで保険診療を行えます。ただし、オンライン資格確認も完璧ではなく、保険者とマイナンバーカードの方で紐付けが完了するまでにタイムラグが発生する場合もあり、手元にはあるけれどオンラインで実際には資格確認が出来ないこともあります。そういう場合は申し訳ないですが、結局元の健康保険証を確認させて頂きます。マイナンバーカードも健康保険証も両方ともエラーになった場合は、保険証が退職などによって無効になっている可能性があるため一旦自費診療で対応させて頂き、保険証の有効が確認された時点で、保険分をお返し申し上げています。

 特に、3月末から4月初めに掛けて、退職や新入職、転職が相次ぎますので、手続きが上手く完了していないこともあり得ます。当院でも鋭意確認が出来るように努めていますが保険者やオンライン資格確認の本部の問題で不具合があることもありますので、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

778.自分は自分

2023.04.02

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。新年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 隣の花は赤いという諺があるように、自分にないものを持っている人のことはうらやましいものです。相手の長所を認めて尊敬するだけなら良いのですが、それと自分の欠点を比較して、自己卑下が始まってしまうと、だんだん鬱への入り口に近づいていくことになります。

 親兄弟や親戚とて、自分と価値観を同じくする人は実は少なく、そのまま自分の価値観を受け容れてくれる近しい人がいたらむしろ貴重な存在と言えましょう。そういった人々からの批判や助言を真に受けすぎて、自己批判が重なっていくと、どうしても抑うつ気分や意欲の減退に苛まれやすくなります。

 逆に、治ってきたな、と思える時は、目力が増えていて、どうしたんですか、と伺うと、人と比較しても仕方ない、自分は自分と思うことにした、等と返ってくることがあります。そうなるともうしめたもので、治癒へのコースを歩んでいると考えて良いのだと思います。

 自分に改善点が見つかっても、素晴らしい人と知り合っても、自分は自分。そして、自分のやるべきことを一つずつこなしていくことが重要ではないでしょうか。

777.新年度

2023.04.01

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。早いもので新年度となりました。
 昨年度も皆様にはお世話になりました。今後もご愛顧、ご愛読をお願い致します。

 6月1日開業でしたので、まだ三周年ではないのですが、年度としては、3年度目が始まりました。
 年度初めが777って何か奇遇ですがとてもラッキーな気がします。
 1年10ヶ月の間に、1000人近いカルテ番号となりました。開業し、看護師や心理士の助けを得ながら、1000人弱の方々に関与させて頂けたのはありがたいことです。
 新年度、更に磨きを掛けて、よりお役に立てるよう精進して参る所存です。

 精神科指導医の更新も認められたようで、引き続き、専門性を発揮して参りたいと思います。

 当院の特色としては、ネットで予約出来ず、電話予約にしていることと、新患枠の死守です。
 ネット予約というのは便利なようでも実は不便で、朝一から話の長い方が連続すると、その後の時間帯の方が延々と待たされることになります。お話の短さや長さ、相談内容の複雑さなどを看護師や心理士など専門のスタッフが判断した上で、最適な時間帯にご案内することによって、より無駄な待ち時間を減らせています。
 新患枠も再来の方のご協力により毎日枠を取るようにしています。

 今後もこの体制は維持していきたいと考えています。

 六本松の地で、更に皆様のお役に立てますよう、鋭意、努力を継続していきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分