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783.躁的防衛

2023.04.07

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 辛いことや悲しいこと、腹立たしいことがあった時、みなさんはどのように対処されていますか?
 全ての人ではありませんが、世の中には辛い時ほど、忙しくして乗り切ろうという方がおられます。

 辛いことを考える暇がなくなるほど、あれこれ予定や業務を詰め込んで、バッタバッタとノルマをなぎ倒していく。対処法のことをコーピングとも言いますが、多忙にするコーピングで精神的な辛さから免れるというものです。
 このような多忙にして辛さと向き合うことから逃げる方法を、一般に躁的防衛と申します。躁的防衛は、一件生産的なようでも、あまり望ましい対処法とは言えません。まず、根本的な問題と向き合うことを棚上げしたり避けたりしているため、根本的な問題が解決するわけではありません。
 また、問題と向き合うことから逃げたまま多忙になっているためエネルギー切れを起こしやすくなります。
 躁的防衛に使っていたエネルギーが枯渇した時、そこに待っているのは本格的なうつ状態です。
 本格的なうつ状態に入ると、抗うつ薬の内服が長く必要になったり、職場も結局長く休まざるを得なくなったりします。つまり、躁的防衛の先には、あまりご本人が望まない長期休みであったり、薬物療法があるという状態になりやすいと言うことです。

 躁的防衛になりがちな方は、一度ご自身の手綱を緩め、飲酒を避けて十分な睡眠を取り、一つ一つを丁寧にこなしていくことが一番の解決です。専門家の援助が必要とお感じでしたら一度ご相談頂ければと思います。
 

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