ブログ

1366.うつ病診療ガイドライン2025

2026.03.29

ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。

 昨年末のクリスマスに、うつ病診療ガイドライン2025が発表されています。
300頁以上ある大作のため通読は容易ではありませんが、有名大学の先生方が担当箇所を解説してくださる機会などを利用し、テーマ別に少しずつ勉強を重ねています。
 

薬剤選択や維持期間などは、これらのガイドラインを参照しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

1365.アロプレグナノロン

2026.03.28

ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。

 医学の世界は日進月歩です。
セロトニン仮説、ノルアドレナリン仮説に基づいて、SSRIやSNRIといった抗うつ薬が開発されてきました。

 今月発売になったのは、アロプレグナノロン(GABA受容体機能に作用する薬)という、また新しい機序のお薬です。
 
神経ステロイドという新しい分野に属するものとされています。

こちらのお薬は、2週間の内服で効果が比較的持続する点が特徴とされています。

もちろん、うつの治療はアロプレグナノロンだけで完結するものではありません。

 以前の記事でも触れましたが、聴覚入力や処理速度の苦手さなどから人間関係が緊張することもあり、ご本人の特性と社会的環境とのバランスを考える必要があります。
 

そのため、一般には専門医にかかり、無呼吸などの併存症があればその治療も行い、コーピングスキルが未熟な場合にはカウンセリングや認知行動療法を併用しながら、薬物療法を進めていくことになります。

 なかなか打開策が見当たらない場合に、新しい系統の薬を試してみることは理にかなっています。
状況を見ながら導入を検討してまいりますので、ご興味を持たれた方はご相談いただければと思います。

1364.小動物幻視

2026.03.27

ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。

 近年、精神医学のエビデンスでは、依存性のあるベンゾジアゼピン系(受容体作動薬を含む)の薬を減らし、オレキシン受容体拮抗薬を処方していくような潮流が見られます。
オレキシン受容体拮抗薬は、筋弛緩作用や依存性がなく、高齢者の方にも比較的安全に使用でき、夜間転倒のリスクも比較的少ないとされています。
 

ところが、悪夢の軽減が期待される薬ですが、副作用として悪夢を見ることがあるという、なかなか難しい側面も持っています。しかし、ほとんどの方は問題なく内服されています。

先日は、オレキシン受容体拮抗薬内服中の方から、天井や壁に虫が這っているという訴えがありました。

 添付文書によると、1%未満に幻視が生じるとされています。

虫を含めて、子ウサギが見えたり、蜘蛛が見えたりするものを総じて小動物幻視と申します。
 

私も臨床実習中に、脳外科手術後のご婦人が術後の体験談を熱心に話してくださったことが忘れられません。

「かわいいうさちゃんがいるの。それでね、こんにちは、かわいいね、って言ったのよ。」

 確かこのようにおっしゃっていました。

これは典型的な術後譫妄のエピソードです。学生実習の際には譫妄状態はすでに改善しており、意思疎通も可能でしたが、よほど印象的だったのか、その体験をはっきりと語っておられました。

睡眠薬などを内服している場合、譫妄といい、上記のような小動物幻視を伴うことがあります。もともと脳に大きな問題がない方でも、副作用として起こることがあります。

譫妄を防ぐためには、寝るときは暗くする、睡眠リズムを一定にするなどの工夫に加え、新しく処方された薬で症状が出た場合には、医師に相談のうえ中止や変更を検討することも大切です。

 不安なことがございましたら、ご相談いただければと思います。

1362.聴覚入力

2026.03.26

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。

「これ、やっておいてね。」

と言われたはずなのに、
気がつくと完了しておらず、

「やってって言ったじゃない。」なんて叱られたことはないでしょうか。
 

 うっかり忘れるということは誰の身にも起こり得ることです。
 ただし、頻繁になってくると

「頼んだのにやってくれない」「依頼内容を忘れてしまう」
といった評価につながることがあります。

 発達障害とは限りませんが、一般に、聴覚からの情報入力が苦手な方がいらっしゃいます。つまり、言われた内容をメモリーに保持し、完遂することに苦手さがある方です。

 そういう場合は、上司や同僚に依頼内容を書いて渡してもらうようお願いしておくことが、双方にとって合理的な対応となります。
時に、程度の重い発達特性のある方では、受け取ったメモ自体を失くしてしまうこともありますが……。

 書面でやり取りする、メモを渡す、といった工夫によって衝突や摩擦が回避できるのであれば、生産的な対応となり得ます。
 これらの特性も知能検査で数値化し、フィードバックすることが可能です。
 

 この記事をご覧になって、ご自身やご家族にも当てはまるかもしれないと思われた方は、ご相談いただければと思います。

1361.処理速度

2026.03.25

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。
 

 語彙力が豊富でも手先が不器用であったり、口が達者でも作業が遅い、といったことに思い当たることはないでしょうか。それらは個性の一つかもしれません。
 

 当院には公認心理師が常駐しており、知能検査であるWAIS、WISCといった検査を保険で実施可能です。フィードバックとしての詳細な解説面接は別料金となりますが、ご自身の処理速度や作業スピードが平均的かどうかを知ることができます。
 もちろん、他の機能についても評価しています。

 ただし、うつ状態の時は低めに出ることがあるため、当院ではうつ状態の方にWAISを施行することは慎重に検討しています。

 もし、処理速度に自信がないなど思い当たることがあれば、当院のような専門施設で検査を受けることをお勧めしています。
 詳しくは診察の際にお尋ねいただければ幸いです。

1360.お金づかい

2026.03.24

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。

 むしゃくしゃするようなことがあると、ショッピングでもしたくなるのは人の常と申せましょう。実際、ショッピングモールやスーパーの陳列にはリラックス効果があるという報告もあります。

 自分への労いとして、役立つ、使える、大事に出来る、といった物がリーズナブルに手に入るのであれば、良いショッピングと言えるでしょう。
しかし、収入を上回るほど使ってしまったり、その後の生活が困窮したり、あるいはほとんど使わない物を買ってしまう場合には、浪費になっているかもしれません。

 どこからを浪費として線を引くのかという問題はありますが、ここでは分かりやすく、自分で後悔してしまうお金の使い方を浪費とすることにいたしましょう。
 

さて、お金づかいが荒くなるのは、何もせず経過を見ても良いのでしょうか?

もちろん、程度にもよりますが、甲斐性の範囲で単発的、ダメージがほとんどないものであれば許容できそうです。

 しかし、怒りっぽくなる、しょっちゅう周りと衝突を起こす、よく喋る、まとまりが悪い、無理な計画を立てて実行しようとするなど危なっかしくなってくると、躁状態になっていないかをチェックする必要があります。

軽躁エピソードには

・万能感・誇大感

・多弁
・不眠不休

・観念奔逸(話にまとまりがない)

・注意散漫
・目標指向性の行動の増大

・衝動的な行動(浪費・性的逸脱・無駄な投資)

などがあり、いくつか当てはまる場合には、治療が必要な双極性障害の可能性があります。

色々と行動出来てしまうと、むしろ自分は調子が良いと感じるために受診を控えてしまう方もおられます。

ご自身や周りの方がお金づかいが荒いと感じたとき、これらの症状が3~4つ当てはまる場合は、治療が必要なこともあります。

 お気軽にご相談頂ければと思います。

1359.バタフライハグ

2026.03.23

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。

 トラウマを治療するには、EMDRなどの左右交互刺激を用いた方法が有効とされています。私も若い頃、何十万円もかけてPartⅠ、Ⅱの講座を受講し修了しています。
 

EMDRは学会もあるため用語の説明は省略しますが、左右交互刺激を用いて心的外傷を治療していく有効な方法です。
 その中に、バタフライハグというものがあります。

両腕を胸の前でクロスさせ、反対側の肩に手のひらを当てます。
そして、ゆっくりと左右交互に、蝶の羽が羽ばたくように両肩(前胸部)を軽く叩いていきます。とてもソフトなタッチで行うのがポイントです。

これを「大丈夫、大丈夫」と心の中で繰り返しながら、30回程度の交互刺激を数セット行います。すると、トラウマに対する恐怖感が和らぐことがあります。
 

先日も、とても怖い体験をされたお子さんとお母さんがおいでになりましたが、バタフライハグを行うことで、初回診療後から回復の経過を示され、比較的早期に改善が見られました。

もちろん、抗不安薬や漢方を使用することもありますが、しっかりとした心理療法がベースにあることで、ケースによっては短時間で回復される方もいらっしゃいます。
 

私はこのように、可能な限り持っている技術を提供し、全人的な治療に当たれるよう心がけております。

1358.尾骨

2026.03.22

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。

 私は、心療内科医としてボディートークという身体技法を大切に使用しています。
大阪を中心に主に西日本で指導をされている、音楽家・ボディーワーカーの増田明先生(同協会会長)と、副会長の城石明喜子先生に師事しています。

 その中に、尾骨の扱い方というものがあります。

 尾骨は仙骨の下にある骨で、一般には尾てい骨(尾骶骨)とも呼ばれますが、解剖学的には尾骨です。本稿では正式名称である尾骨で通させていただきます。

 一般に、犬など尾のある動物は、機嫌が良ければ尻尾が立ち、しょんぼりすれば尻尾を巻くなど、感情の発露として分かりやすく現れます。

 心療内科に来られる方の中には、DVや被害などにより怖い思いをされた方も少なくありません。先日も暴力被害を受けた方がいらっしゃいましたが、家族や看護師の陪席など安心できる環境を整えた上で、尾骨を診察しました。

 そのような場合、尾骨には圧痛が強くなっていることが多く見られます。

 人間には犬のような長い尻尾はありませんが、退化した形で尾骨が残っています。言い換えれば、人間も怖い思いをすると「尻尾を巻く」ような状態になるのです。
 

 そこで、尾骨周囲を丁寧にほぐしていきます。単にやさしく触れるだけでなく、「怖かったですね。でももう大丈夫ですよ」と心に寄り添いながら、体にも丁寧に働きかけていきます。その結果として、恐怖で固まっていた全身の緊張が緩んでいくことがあります。
 もちろん、EMDRなどの左右交互刺激による治療や、バタフライハグなども有効です。これらを併用することもありますが、今回のようにボディートークによる体へのアプローチは即効性を感じる場面も少なくありません。
 

 必要に応じて抗うつ薬や漢方なども併用しますが、まずは全人的に、心にも体にも寄り添う診察があってこそ、その後の治療がより一層、活きてくるのではないかと考えています。

1357.在宅PSGに対応しました!

2026.03.21

 
 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。

 これまでにも何度か、睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療の重要性について、当ブログでも触れさせていただいてまいりました。

SASの検査には、

・簡易ポリソムノグラフィー(簡易PSG)

・在宅フルポリソムノグラフィー(在宅PSG)

の両方があります。

 SASの

疑いのある方は、まず簡易PSGを検査させていただきます。
鼻元と指先のプローブを使用するだけで簡単に出来る検査です。ご自宅で自分の枕で眠れますし、お薬もいつも通り内服していただいて構いません。お酒は控えていただきます。
検査キットは宅配され、無料返送キット付です。

そこで、無呼吸低呼吸指数(Apnea hypopnea index:AHI)を評価します。
 
AHIは、1時間あたり何回無呼吸や低呼吸が起こるかを示す指標で、5以上で睡眠時無呼吸症候群とされます。

例えばAHIが30ですと、1時間に30回の呼吸停止があることになります。言い換えれば、約2分に1回、息が止まってしまっている状態です。

簡易PSGでもAHIが40以上となりますと、CPAP療法の適用となることが多く、CPAPという、呼吸が止まるとセンサーがキャッチして、自動的に空気を気道に送り込んでくれる機械を使用して治療を行います。
 
数回の使用でも抑うつ症状が改善した方も経験しておりますので、お勧めの治療法です。

 
AHIが40以下の場合でも、在宅PSGでAHI:15以上ですとCPAP治療の適用になる場合がありますので、次の段階として在宅PSGを検査します。

3割負担で12,000円程度ですが、呼吸器科の病院などに入院すると場合によっては10万円ほどかかることもあると聞いていますので、それよりは受けやすい検査です。

これまでは福岡病院など大きな病院でフルPSGという上級検査をお願いしておりましたが、今後は在宅PSGを活用していただくことで、ご自宅で精密検査が可能となります。
頭や顎、胸などセンサーが多いのですが、装着動画などもあり、比較的負担少なく検査を受けていただけます。

 このように当院でも、うつや無呼吸に対して全人的に対応できるよう力を入れておりますので、どうぞ今後もお気軽にお問い合わせくださいますようお願い申し上げます。

1356.したたしか

2026.03.20

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。
 

私は心療内科医として、身体の状態も大切に目を向けています。
その中でも、意外に大切にしているのが「足」です。

足は、皆様の体を支え、踏みつけられても文句ひとつ言わず、一歩一歩、あゆみを運んでくれます。

 「したたか」という言葉があります。
もともとは「下が確かである」ことから生まれた言葉で、土台がしっかりしているために堂々としている様子を表します。
近年では、タフな交渉者といったニュアンスでも使われているようです。

 例えば、足の親趾が不調だと前に進みづらくなり、小趾が不調だと踏ん張ったり退いたりすることが難しくなります。

ぜひ、お風呂の際や寝る前に、一日支えてくれたご自身の「足」に、
「今日も支えてくれてありがとう」という気持ちを届けてみてはいかがでしょうか。

足へのねぎらいを大切にすることが、うつの治療の第一歩になるのかもしれません。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分