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1127.体内時計のリセット

2024.03.14

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 人には体内時計があると言われています。脳の中の「視交叉上核」というところに存在します。
 人の体内時計の1日の周期は平均24時間11分と言われ、人によっては25時間という場合もあります。
 土日祝日など、朝起きる義務がない時に、寝坊しがちなのは体内時計が元々24時間より長いためと言うこともあるようです。

 つまり、体内時計というものは、常にリセットしないと後ろ倒しになりがちだと言うことです。

 それでは、どうするとリセット出来るのでしょう?現代のスマホのように基準時間を電波で受信するなんてことは人間には出来ませんね。そこで重要なのが朝日を浴びること、朝食を摂ることです。光を浴びると眼の奥にあるメラノプシンという光センサー細胞が光を感じて、その情報が脳へ伝えられます。この伝達によって体内時計はリセットされます。同時に、身体が活動状態に入って血圧や体温が上がってきて、メラトニン分泌が止まります。朝日を浴びないとこうしたメカニズムが働かなくなって体内時計が少しずつずれていきます。
 遮光カーテンを引いたまま引きこもって昼間で寝坊したり、せっかくカーテンを開けたけれど雨や曇天であまり光が入ってこなかったりすると、リセットが効きにくいかもしれません。

 とにかく、起きると決めたらカーテンを開けて、なるべく朝の光を浴びるように心がけましょう。

 朝食は、肝臓や腎臓、心臓など末梢にある時計遺伝子をリセットします。アミノ酸と糖質を摂取すると末梢の時計遺伝子がリセットされます。

 このように、視交叉上核の体内時計を光で、末梢の時計遺伝子を食事で、リセットすると朝から新しい体内リズムを刻むことが出来るようです。
 お試し頂いてはいかがでしょう。

1126.メジャースリープ

2024.03.13

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 メジャースリープは訳すと睡眠構築と呼ばれ、ノンレム睡眠とレム睡眠がひと晩の間に交互に現れるというしっかりとした睡眠パターンのことを言います。この、メジャースリープは年齢とともに変化することが知られており、20代の若い頃には中途覚醒があまりなく、40代になると中途覚醒が出て参ります。
 80代になるとさらに深い睡眠が取れなくなってきます。このように高齢者になると、就床時間は長くとも、実際に眠っている時間は短いということになります。その理由の一つにメラトニンという睡眠ホルモンが関係していると言われています。
 よく寝るためには体温の低下が重要となります、体温が高いと体内の化学反応が活発になりますが、低くなると代謝が下がって休息状態になるからです。この動きを制御しているのがメラトニンと言え、松果体から分泌されて夜中に最大になります。しかし、この分泌量は年齢とともに低下していき、年をとると塾民間が得られなくなるのです。具体的には、メラトニンは70歳では20歳の半分くらいと言われています。

 いずれにせよ、中途覚醒が増えてくるのは、病気でも何でもなく生理学的な経年変化のゆえんと言えましょう。

 40代を超えてくると、生殖活動をする必要性も少ない場合が多いため、自分の体の健康さえ維持できれば問題ないと言えますから、睡眠薬等を適量用いて、健康な睡眠を得ていくこともまた大切なことと言えるでしょう。

1125.ジンクス

2024.03.12

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 ジンクス、とは英語で縁起の悪い言い伝えや生活に密着した教訓や法則を指すようです。科学的根拠に基づかずに経験則となるため、迷信のこともあるようです。ただし、近世になってから裏付けが取れた物もあるため、全てが迷信と決めつけられる訳でもないようです。水島新司さんの野球漫画にもジンクスを得意とする選手が描かれていた気がします。
 語源は不明とはいえ、ギリシア語のイユンクスIynx:アリスイ、キツツキの一種に起因するという説もありますが詳細はわからないようです。

 仲の良い友人に、「その人が口にすると必ず実現しない」というジンクスを発見しました。

 そういう現象を、本人が嘘つきと断じてしまえば簡単なのですが、私からは好印象を持っている上に、本人も善意で思いついて発言しているのは明らかでしたから、経験則と言えましょう。もちろん、その人も、契約的な内容については必ず履行してくれていました。

 しかし、全国全県で一緒にワークショップをしようね、なんて言っていたら、まあ実現しませんでしたし、90代で老害と言われるまで学会に顔を出そうよ、とも言われました。自分の家計は長命家系だからと自信満々で言われたのですが、「口にしたら実現しない」ジンクスを考えると、これ、死亡フラグだったなぁと今更思います。後輩1がその先輩の元に就職したらどうかというアイデアも言っていましたが「言ったら実現しないから言わないで」と目の前で注意したのですが、やっぱり実現しませんでした。

 バーベキュー大会をしようね、とか、イタリア旅行に行こうよ、というような話も、どれもこれも水泡と帰してしまい、早世するとは罪なことだと思います。

 逆に、口にされなかったことは、実現しても良いのかもしれません。
 後を頼むとは言われなかったので、勝手に頼まれても、それは実現してもいいのかなと、少し思っています。

1124.学習1

2024.03.11

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 グレゴリー・ベイトソンという哲学者がいます。
 ミルトン・エリクソンについても研究していたことで知られています。

 哲学者でもあり、統合失調症の研究、ダブルバインドにおいても知られ、バリ島の研究、ミルトン・エリクソンの研究、エコロジーなど多岐にわたっているその研究内容から、どんな人だったと言うには少々難しい人でもあります。

 その彼の遺産のなかには学習理論があり、学習1、学習2、学習3などとして知られています。

 学習1は我々が小学校の頃から、親から勉強しなさい、と言われていたことになります。
 漢字の練習、のように、知らないことを知ることです。

 学校制度が普及する前は農民などは読み書きができないのが普通でしたし、文盲率の低さは文明や文化の高度化に不可欠ですから、知らないことを知る、ある程度のことを覚えることは重要です。

 地球が太陽の周りを公転していること、月が地球の衛星であることなどは、今や小学生でも知っていますが、ガリレオを糾弾したヨーロッパ人達よりも今の小学生の方がそういう意味では、公転活動を「知っている」という意味では優位になります。

 ただ、地球が丸いこと自体は、古代ギリシャのエラストテネスの時代に既に知られており、キリスト教の権威化に伴って一部科学が衰退した嫌いもありますし、小学生が地球の公転を「知っている」のは、「習ったから」に過ぎず、厳密な証明をできる能力があるわけではありません。

 そういう意味では1+1=2の証明も、ほとんどの教員が出来ないのではないでしょうか。結構難しい数学の理屈を使うようです。

 しかし、今や、そういう部分もヨビノリの動画など、教育系YouTuberの、活躍により、大学教養レベルの勉強もスマホがあれば出来る時代とも言えます。

 もちろん不要な情報を切り捨てたり、フェイクにだまされないためには、それらを論考する思考力も必要ですが、まずは教科書レベルで知っておいた方が良いことを学習1で知る、と言うことも実は重要なことかと考えています。

1123.ハイヒールの踵

2024.03.10

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 ハイヒールの踵ってピンポイントに体重が載っていますよね。
 満員電車などで電車が揺れた際に、踏まれた方は大変です。
 足の甲に穴が開くんじゃないかと言うくらい痛く感じるわけです。でも、思わずよろけた方は悪意はないし、「あら、ごめんなさい」ということになります。ちょっとよろけただけですし、わざとじゃないですからね。
 この例えば、暴力を振るった側と振るわれた側の受け止め方が全く違うことの例えになります。

 つまり、手を出した方はちょっとかわいがっただけ、と思っても、出された方は、ものすごく怖かった、死ぬかと思った位に感じることがあるわけです。DV等はこのように異なる感性で記録されて行き、離婚の際の問題になっても調停員さんはかなり異なる距離感でこの事象についての陳述を聞くことになります。

 自分にトラウマを与えた対象の人も、そこまで考えていなくて言っていたり、おこなっていたりします。
 よく患者さんに申し上げているのは、そういうものはハイヒールの踵と言いまして、与えた側と与えられた側でずいぶん認識が違う物、と言うことです。いつまでも、「こっちはこんなにきつかったのに」とのにのに、が始まるといつまで経っても解決していかないので、傷付きは傷付きで医師や心理師など専門家にお話し頂いた上で、善後策を検討していければと思います。

1122.死に目に会う

2024.03.09

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 死に目に会う、ということは日本では重視されています。
 しかし、命の灯がが消えていくその瞬間にいるよりは、意識がある内に何らかの御礼を言ったり、大事な言葉を交わすことの方が重要ではないかと思います。

 しかし、重要なやり取りをする間もなくて、死に目になった場合、やっぱり亡くなる前に会いたいというのも人情です。

 私の場合実際には、父親の死に目には会えていません。九州に出てきたというのもあるのですが、病院でぽっくり逝ってしまったので、母も弟も主治医でも、まだまだ今日明日に死なないと認識しており、普通に見舞いに行くつもりにしていたら、夜中にぽっくり亡くなっていたようです。ので、彼に関しては死に目に会った人はいません。

 先日、親戚ではないのですが、親以上の絆を感じている人の死に目に会いました。

 その方はお見舞いを終えて1時間で亡くなってしまいました。

 変わり果てた姿を見たくないような、会っておきたいような、微妙な葛藤があったのですが、声が掛かっただけでもありがたいと考えて思い切って行ってきました。最期は手を握って上げることはできました。
 眼球は上転しており、呼吸も下顎呼吸でしたけれども、話しかけると涙が出ました。脳症もあるなか、耳は聞こえていたのかもしれません。何も返せないのを悔しかったのかもしれません。でも聞こえているんだろうなと思えたのは良かった気がします。

 死に目に会うのが最良とも言いませんし、違う考えの人に押しつける気もありませんが、結局行って良かったと私は思っています。
 ですので、個人的には死に目に会うチャンスがあるのであれば、葛藤があっても一旦駆けつけられては、と思っています。

1121.棚卸しのような

2024.03.08

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 2~3月は実はエアコンが安い月として知られています。
 初夏になると非常に高くなる上に、工事の依頼も頻発して、職人さんに来て頂くのも一苦労となるのです。

 ということもあり、20年ぶりに2部屋エアコンを交換することにしました。
 我が家は中古購入したため、エアコン関係は既に売主さんの遺産が残っていたのですが、それでも20年も住むと古くなってきます。さあ、他人が家に入るとなると、片付けなきゃいけなくなるから大変です。誇りまるけの家のあちこちにダスキンをかけたり掃除機を掛けたり。
 20年近く前に出ていたワークショップの写真だとか、初めて解離性障害を師匠にスーパーヴィジョンしてもらった時の記録だとか、懐かしい物も出てきました。不思議なもので、物をあちらからこちらに移動させるだけでも要らないものが間引きされて捨てられます。

 ようやくある程度きれいになり、エアコン工事も終えることができました。

 皆さんもたまには、棚卸しのようにしてお掃除してご覧になってはいかがでしょう。

1120.ブラームス

2024.03.07

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 クラシックの作曲家にブラームスという人がいます。
 ドイツ・オーストリア系のなかでは、モーツァルト、ベートーヴェンの次の世代に来るわけなのですが、その間にはじつはシューマンという作曲家もおり、ブラームスはシューマンの弟子のようなポジションでしょうか。

 シューマン夫妻と家族ぐるみの交流を持ってかわいがられていたブラームスですが楽聖ベートーヴェンの陰にはおびえていたようで、交響曲第1番の作成に20年も掛かりました。モーツァルトが旅先で交響曲リンツを4日で書き上げた(今でもギネス記録らしい)のは極端な例かもしれませんが、いかに慎重になっていたかわかるでしょう。その甲斐あってか、この第1番は今でもブラームスの中で最も演奏される曲ですし、指揮者のビューローから、「これはベートーヴェンの第10番だ」という最高な評価を受けています。

 第一楽章の深刻で深淵な悩みの中から、第4楽章の光に達する流れは、歓喜の歌第九から確かにバトンタッチされたかのような曲です。

 先日、尊敬してやまない人が亡くなりました。
 全く追いつけず、全く理解し得たと言えないまま、亡くなりました。

 私のような凡人は、ブラームスのような歴史的天才に例えては失礼かもしれませんが、偉大な先人の才能をわかるが故に自分の至らなさに苦悩する彼の姿はちょっぴりですが理解できる気もします。

 そして、ブラームスはベートーヴェンのまねをしたわけではなく、師匠のシューマンから学んだこと、自分のオリジナルなどを加えてその後のたくさんの作品を生み出していきました。

 先人からいかに学んでも、同じにはなれません。引き継げる精神を引き継ぎ、自分なりに咀嚼し消化したものを世に出していくしかないのでしょう。

1119.訪問看護ステーションはるうた様にお越しいただきました

2024.03.06

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 人のご縁とは不思議なものです。
 講演会のご案内をきっかけに、昔の知り合いを通じてつながりました。
 副所長の中村謙吾さんは、優秀な男性看護師です。福間病院で看護助手をしながら学校に通っていて、国家試験合格後も病棟で患者さんに寄り添う看護を実践されてきました。看護を志す学生だった方が立派に訪問看護ステーションの副所長にまでなられて、時間の流れを感じます。
 中村さんのご縁で、スタッフ6名でご訪問頂き、当院のシステムをご説明させて頂きました。24時間電話の対応はされているのと、精神科に特化した訪問看護なので、今後連携してお世話になることもあるかもしれません。

 はるうた様とのご縁が一層深まって皆さんへのよりよい医療を提供できるように心がけて参ります。

1118.求める者は

2024.03.05

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 イタリア語のことわざより。
 求める者は見いだす。
 Chi cerca trova.

 辛抱強く求めていれば、望んでいることが必ずかなうと言うこと。

 優秀な人とはいるもので、少し年上の人だったのですが、20年も付き合っていると、その人の当時の年齢を自分が軽く超えてしまっているのに気づきます。それでも当時のその人に追いつけていないとなると、自分の鈍足を呪わしく思いますし、本物と、後追いする者の差違とはこんなに違うのかと思います。
 きっと藤井聡太八冠に対峙する、A級をはじめとする多くの棋士たちがそんな気分を味わうのでしょう。

 しかし、今年は銀河戦では古豪丸山九段が、藤井八冠を破って優勝しました(それでも当たり前のように決勝戦にいる藤井八冠はおそろしいものがありますが)。

 どんなに相手が圧倒的でも自分ではありませんから、自分の能力を発揮するためには、しっかり準備をして自分なりに一生懸命する、厳しいけれどもそれしかないのでしょう。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分