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649.サリドマイド

2022.11.15

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 妊娠中でも、有益性投与ということで、危険性よりも内服した方が有益な場合、医師は薬を処方する場合があります。

 そんな折、若い人やスタッフと話していても、サリドマイドという言葉自体が全く知られていないことを知りました。
 妊婦の睡眠薬として半世紀以上前に処方されていた薬で、サリドマイドやサリドマイド誘導体の化合物名は、それぞれレナリドミド及びポマリドミドと言います。毒かと言えばお薬であり、今でも多発性骨髄腫やハンセン氏病の一部などには有効な薬として厳格な管理下で使用されているのです。旧西ドイツで開発され1957年に発売、日本でも1958年に発売され、サリドマイド禍が起き、1962年には発売中止になっています。催奇形性があり、日本では309人(ドイツでは3000人)が被害を受けたと言われています。四肢形成が不十分になって手がない子供や奇形の子供が多く生まれました。

 被害者のドキュメンタリーは、「典子は、今」(第4回ジョン・ミュアー医学教育映画祭グランプリ)という映画にもなったと言います。

 現在、催奇形性のある薬は、基本的には投与されないようになっています。

 もちろん、お薬は、むやみに偏見を持ったり服用をためらわず、医師の勧めがあればなるべく内服されることが望ましいと思いますし、やたらめったら添付文書を読み込んで稀少な副作用にビクビクして飲めないというのもいかがなものかとも思います。しかし、お薬を内服される場合、やっぱり少しはご自身のお体への影響も考えながら口にして頂ければと思いました。

 サリドマイド禍についてはWikiや書籍がありますので、こういう時代があった、ということも、ご存じでない方があれば御承知頂ければと思います。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分