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390.処罰感情と鬱の治療

2022.03.02

390.処罰感情と鬱の治療

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。日々元気に営業しております。

 相手方の不正や悪意によって大きな損害を被った場合、当然、法に基づく適正な処罰や賠償・補償といったものが必要になることかと思います。私は法律家ではないので、刑法や民法に基づく、刑罰や賠償についてはここでは言及しません。

 それでPTSDや鬱になったとして、では、治療の現場で何をやっていくかということになるわけですが・・・。

 相手を罰しないと先に進めない、という方の場合、医療やセラピーの世界でそれはどうにもなりません。

 相手方に何らかの処分を下すことが可能なのは裁判等になるからです。

 しかし、セラピーの基本として、相手が変わらないといけない、というスタンスで上手く行った試しはないのです。相手が悪くても、自分が変わるのが治療の基本です。

 飲酒運転に家族を轢かれたとしても、暴力団の誤射で大切な人を奪われたとしても、受け容れたり、乗り越えたりするのは、自らの変化になります。無理して「許す」まではしなくていいかもしれませんが。

 実際に自分がその立場になったら、非常に割り切れずに難しい気持ちになると思いますし、正直消化できる自信は私もありません。

 先日、他の専門家とも話し合ったのですが、やはり、処罰感情を持ったまま治療も進めたい、というのはその治療の進展に無理があるような印象をもちました。

 治療においては、そういう葛藤した気持ちでおられる人を受け留め、支えて参ります。そうしていく内に、少しずつ前に向いて歩み出すのに何かお役に立てれば・・・と思います。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分