1093.聞いて欲しければまず聞く
2024.02.09
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。ギブアンドテイクはまず与えよ、とは申しますが、これも良い言葉じゃないかと思います。
患者さんから聞いた言葉で、家族とコミュニケーションを取るのに、聞いて欲しいがゆえにまず聞くことにしたとのことでした。ひっくり返るほどの価値観の違いなども浮き彫りになり、その上でどうしていくかを考えたのだそうです。
考えてみたら私共、イライラ矢口が募ってくると聞いて欲しくて聞いてくれる相手を探すことがあります。
しかし、家族になるとなかなかお互いの言い分が通らなかったりして、そこにいらついていると衝突ばかりとなる訳です。
家族こそ、上手くやっていきたい相手の最優先でしょうから、家族の対応や配慮があまりにも想定と違う場合は、話し合うと良いでしょうし、話し合う際は、まず相手の言い分を、言いたいことは飲み込んでインタビューするのが良いかもしれません。
聞いて欲しければ、まず聞く。すごいことだと思ったので、私も折を見て実践してみたいと思います。
1092.股関節のお話
2024.02.08
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
前回、膝の痛みの心身医学についてお話申し上げました。それでは、股関節の場合はどうでしょうか?
股関節は、人体における最大の関節です。大腿骨の骨頭は、丸くなっており、少し骨頭から下に首があります。これによって色んな角度に股関節が曲がるように出来ています。
ロボットとは違う構造になっており、生物の進化の優れた所でもあり不思議な所でもあります。
股関節は、人間の場合は、立位を取るために、文字通り股であり、最も大きな分かれ道ということになります。
パラレルワールドなんて考え方がありますが、もしあそこでグーを出していれば、チョキを出していれば、なんてことで人生の結果が全く異なることがあるのかもしれません。股関節の話は大きな分かれ道のお話になりがちです。
また、場所的に性器が近いため、男女を問わず性の間接的表現ということもあります。
股関節の不具合というと、大きな分かれ道に於いて悔恨があるとか、あるいは、性行為やパートナーとの関係が今ひとつである、ということも表しているのかもしれません。
これも前回と同じで絶対的なものではなく、参考資料としてです。
ただ、実際に整形外科医に行っていながら、セラピストや我々にその話をするということは、我々には理学療法士のようなリハビリテーションを求められているわけではないので、やはり象徴言語かもしれないなと思いながら心象風景を想像してお話を聞かせて頂いています。
1091.膝の痛みの心身医学
2024.02.07
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
膝を痛めたなんて書いたら、連絡先を知っている知り合いから大丈夫かと問われましたが、現在は大丈夫で無茶しない限り腫れてくることはありません。
膝というのは整形外科医でもないので大上段からは語れませんが非常に複雑な箇所と言えるでしょう。
大腿骨と脛骨などの接続があり、0~180度近く屈曲が可能です。完全に曲がるのは正座の時なんかがそうでしょうか。
サッカーのシュートなども膝の伸展がいかに速いかで決まると言えましょう。
そこには十字靱帯と言って、切れるとアスリートにとっては致命傷とも言える、複雑な機構があります。
また、半月板という骨と骨の間のクッションがあるわけですが、生き物である以上、タイヤのように古くなったからと言って交換出来ないのが辛い所です。最近は幹細胞を入れ込むと一部再生するという話もあり、そういう診療をされているお医者さんもあるようです。
そして、それとは別に膝蓋骨、いわゆる「お皿」と言われているものがあります。
そこを潤滑擦る関節液も重要な存在であり、関節包に感染などがあると大変なことになります。
このように、簡単に見回すだけでも膝は大事な箇所と言うことが分かるでしょう。
もちろん、整形外科的な診断と治療が最優先という前提ですが、その上で心理的な話の中で膝が出て来た時は、私の場合は「大きな曲がり角」における不具合という風に解釈しておきます。大病をしたとか、離婚したとか、退職したとか、転職したとか、親が死んだとか、色々ありますが、大きな曲がり角で不具合があると膝の痛みを心的訴えと重ねていることがあります。いつもそうとは限らず絶対的なものではなく参考資料としてですが、そんな風に思いながらお話を聞いていると何やら曲がり角の話が出て来るものだから不思議なものです。上記のように、曲がり角でもあり、複雑な因子が絡んでいる場所とも言えます。膝関節は股関節に次いで2番目に大きな関節ですから、かなり大きな曲がり角と取ることも出来るでしょう。
まあ、私の場合は膝が痛くなった時は、開業していましたし、別にそれほど曲がり角の不具合を感じてはいなかったので、この解釈が当て嵌まらないケースだったかもしれませんが・・・。
心身医学的な膝の訴えの聞き方が有効なのは、2週間ぶり、1ヶ月ぶりにお会いして、わざわざ曲がり角の話をするということは心的象徴に何か曲がり角の不具合があるから膝が気になる、と言うことなんじゃないかなと思っています。
1090.脂肪味
2024.02.06
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
脂肪味ってご存じでしょうか?
人間には5つの味覚があり、「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」、「うま味」と言います。
辛味や渋みは刺激の強さであって、種類ではないそうです。
最近は第6の味覚として脂肪味というのが指摘されています。
脂肪味を好むと太りやすいなんていう研究結果もあるそうで、まあ、素人目にもそりゃそうだろうなと予測は可能ですが、こういうものをきちんと研究してデータにしてくれるんですから学者さんとはすごいものです。
ストレスを掛けてネガティブな気持ちになった人は甘味を好むことは知られていましたが、淑徳大学の阿曽菜美先生によりますと、最近の研究では脂肪味も好むことが分かってきたそうです。
また、ネガティブな気分状態では、甘味や脂肪味に鈍感になり、より強い甘味・脂肪味を好ましく感じるということで、ストレスによる気分の変化は脂肪味を欲するなどの影響があるようです。
もちろん、ストレスを感じた場合、自分にご褒美や労いとして甘い物やケーキなどを摂るのは、過剰でなければ良いことではないかと私は思います。その際は、自分を本当に労う気持ちを研ぎ澄まし、その甘味や脂肪味をありがたく食べるようにすることにより、過剰な摂取は防げるように、私は個人的には感じました。
こういう時に大事なのは自分を大切にする精神(そもそも、自分を褒めようと思えなかったり、自分にご褒美を挙げられない人もいます)であり、それを持った上でマインドフル・イーティングの精神でご褒美を味わうのであれば、ストレス解消の上、肥満は予防出来るかもしれません。
1089.爪の垢よりうんこ
2024.02.05
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
糞便移植という言葉があります。最近は医学が進んで、人間の行動や正確には腸内細菌の影響があるということが分かっています。人間様の性格や行動が細菌様に支配されているというのです。
そんな中、良い腸内細菌叢と良くない腸内細菌叢があることが分かってきています。
動物実験では、無菌マウスに様々な1種類だけの菌を植え付けてみて、菌種によるネズミの行動の変化などが調べてられており、落ち着く細菌叢と落ち着かない細菌叢という差違がはっきりと見られるんだそうです。九州大学の心療内科では摂食障害の患者さんの糞便の腸内細菌叢に、何か特徴がないかを研究しており、結果も出始めているようです。
そして、良い細菌叢とはどういうものなのか、と言うのを調べることが最先端の研究となっています。
昔から、爪の垢を煎じて飲む、なんて言いますが、優れた人から頂いて効果があるのは爪の垢を煎じることでもなければ臍のゴマを溶くことでもなく、うんこを菌が生きたまま頂くのが良いようです。良い細菌叢が見つかれば、それをカプセルとして経口接種が出来る日が来るかもしれません。人のうんこを、製剤化されたからと言って飲むのか?!と言う話になるわけですが、性格が良くなるんなら久保先生の細菌叢なら分けてもらいたいなんてちょっと思ったりします。
そういうものを摂取したいという人もあるでしょうけど抵抗のある人もいるとは思いますが、腸内細菌の研究はホットなトピックスであり、今後の研究成果から目が離せません。
1088.医食同源
2024.02.04
1088.医食同源
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
学会のシンポジウムで、波多伴和先生から教わったのですが、割と良く通用している四文字熟語でいかにも中国がルーツっぽいのですが、実はこの言葉は世に出て50年程度で日本発なんだそうです。波多先生は須藤教授から教わったとのこと。
元々漢方にある食薬同源という漢方の言葉があったものが、「薬」というと現代的なお薬と解釈されがちと考えて、健康を考える医学の「医」に置き換えて、医食同源としたそうです。1972年に日本人が料理番組などで使ったのが始まりと言われ、1990年代には浸透して、今では普通に知られている言葉になったようです。ちなみに私のワープロソフトATOKでは食薬同源は一発変換出来ませんでしたが、医食同源はすぐに出ました。でも中国語にすると、医食同源というのは意味をなさないんだそうです。但し、日本文化の逆輸入により、最近は中国語圏でも日本と同様の意味づけで医食同源を用いるケースもあると聞きます。
現代では、腸内細菌の変化には食事も重要とされており、腸内細菌が宿主である人間の性格形成や行動にも影響することが知られています。自分たちが自分の性格だと思い込んでいたものが案外細菌様に支配されていることもあるようです。良い食事を摂れば腸内細菌叢も変化していきますし、腸内細菌叢が良くなれば心身も落ち着きます。自閉症の患者には4-EPSが増えるので腸内細菌の関連が疑われているとも言い、発達障害ですら腸内細菌の影響があるようです。
腸内細菌を良くして行くにはキャベツ等の不溶性の繊維よりはわかめ、ひじき、大麦、らっきょうといったような水溶性繊維の方が望ましいとも言われ、不溶性+水溶性という意味では、人参やジャガイモも良いようです。
性格や行動が今ひとつだなぁなんて自分のことを反省している人は、食生活から見直して頂いてはいかがでしょう。
1087.マインドフル・イーティング
2024.02.03
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
先日は、恩師の野崎剛弘先生大会長の第63回日本心身医学会九州地方会に出席して参りました。
肥満の予防には、認知行動療法が有効と知られており、野崎先生は九大病院で肥満外来をなさっていました。
他方、近年、マインドフルネスという考え方が効果的と知られてきており、瞑想や足るを知るというようなことを活用しています。日本人は不思議なもので、左ハンドル車をありがたがるのか、内観とか良いものを自分たちで持っておきながら、逆輸入車のようにマインドフルネスなんて英語になると途端にありがたがります。マインドフルネス自体が西洋人が東洋思想を彼らなりに実践に組み入れたものです。
まあ、その辺はさておき、実際に効果があるのであればそれはとても良いものだと思います。
マインドフル・イーティングとは、ブログの字数で簡単に説明するならば、しっかり味わって、美味しく食べるという考え方です。丁寧に、おいしさを味合うと、ドカ食いしなくなるというようなことでしょうか。それの感覚を研ぎ澄ますために、瞑想等を用いていくわけです。
私はマインドフルネスの専門家ではないのですが、催眠をやる立場から、自己催眠・変性意識を活用しつつ、感覚を研ぎ澄ます方法については自分なりの考えも持っています。ボディースキャンを行うなどは、別にマインドフル・イーティングでなくても自律訓練法の上級公式にも、空間感覚練習などもあるわけです。もちろん、最新のやり方に習うことも大切ですが、アップデートされた考え方を、自分が熟知した方法に採り入れて活用するのも有効ではないかと個人的には思っています。
私もついつい体重が増えがちなので、これからも、常々、マインドフル・イーティングを心がけてみたいと思いました。
1086.1本の釣り竿
2024.02.02
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
私は釣りの経験がほとんどありません。山の子だったこともあるし、あまり外に出るのが得意ではなかったこともあります。親があまり釣りのことを知らなかったこともあるでしょう。
そういう訳で釣りと言えば鱒の釣り堀なんかで、腹を空かせに空かせた鱒を釣り上げる、なんていう、釣り人からはそんなものは釣りではないとお叱りを受けるレベルの経験しかありませんから寂しいものです。どなたか釣りを教えて上げるという人があったらぜひお連れ下さい。本当はやってみたいんです。
まだ震災の前の頃、学会の合間に福島の海岸で釣りをしたことがありました。
学会から帰った後も釣りを教えてやるなんて言うもんだから3万円の釣り竿を買ったんですよね。
おそらくその公園は津波で流されてめちゃめちゃになったと思いますがその後訪れる機会もないので分かりません。
結局、その仲間からはその後釣りのお誘いは一度もなく、まあ自分からお願いすべきだったのかもしれませんが、素人は素人で0から教わるのが申し訳ないなんて思うので、私にはそういう勇気もなく、狭いマンションに長く置いておいてもしょうがないので、釣具屋さんに持っていけば古い竿として引き取りもあったのかもしれないのですが、いつだったか燃えないゴミとして出してしまいました。その際に知ったのは、その場のノリの口約束はあまり当てにしない方が良い、と言うことでした。その後もその人とはたまに会うのですが、軽く発言したことは覚えていないタイプだと思い、軽い発言はどうせ嘘になると思って真に受けないことにしたら、だいたい実現しませんでした。釣り竿の学びは、それなりに収穫にはなりました。でも、釣り竿を買ったら本当にやりたいことは、対人の学びではなくて、魚釣りです。
1085.リンカーンの言葉
2024.02.01
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
先日、友人と話していて、リンカーンの言葉を思い出しました。
「すべての人を少しの間騙すことはできる。
一部の人をずっと騙すこともできる。
しかし、すべての人をずっと騙すことはできない。」
名言だなと思います。
ある人物に心服していたり、敬愛していると、悪い面が見えなくなり、恋愛で言う所のハネムーン期を過ごすことになります。ハネムーン期の時にさらに、心服を強化するような好意や、訓練、指導などをもらえると、更にハネムーン期は助長され、長い間、その人物を慕うことになります。
その結果、悪い面を全く見なくなったり、指摘されても否認して受け付けなかったりして、中立的とか批判的に対象を見ることが出来ない状態に陥ることがあります。
これが一部の人をずっと騙す状態、とも言えます。
時間が経って、色んな経験をしたり、まずい面に直面したり、情報が増えてきますと、ハネムーン期の人間もだんだん覚めてきて、少し冷静になります。
色んな情報を得て、その中から何が確からしいかを見抜く努力を重ね、少し距離を置いて冷静に判断するって実は難しかったりするのですが、それでもそういう姿勢を持っていきたいものだなぁと思います。みなさんはリンカーンの言葉を聞いてどう思われましたか?