1081.あの人は亡くなった
2024.01.29
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
人の人生とは紆余曲折、悲喜こもごもがあるものです。
人は齢を重ね、時に成長し、時に劣化します。
私も膝も悪いし、腰も痛めました。腰は治ったのですが、自転車に乗るな、膝を曲げて負荷を掛けてはいけないと言われて、今ではあまり階段も使えません。1~2階分上り下りするくらいは出来るので、痛くない程度に使っています。
性格や行動の面でも、より謙虚さを備えていったりより寛容さを深めていったりする人もあれば、より先鋭化したり怒りっぽくなったり傲岸不遜になったりする人もいます。
そうやって経年変化を見ていくと、あの頃はとても良かった、と思えていた人が、この所は恩を仇で返してきたり、配慮に無理解だったり、注意を聞き入れようとしなくなったりと変わってしまったと思うことがあります。
そういう場合は、一度は注意するかもしれませんが、聞き入れない、と判断した時点で、それ以上言えませんし、まして先輩や師匠、目上の人には、上申するにも骨が折れます。そういう時は、精神的な意味で「あの人は亡くなった」と意味づけることにしています。
そうすることで熱くなって関わるのをもう止めて、自愛して、あまり被害を受けないようにしておくのです。被害を受けることがなければ陰性症状も拡大しないので、むしろ、好きな面や尊敬する面があるのであれば、その気持ちを損なわない工夫とも言えるでしょう。
1080.プライベートな時間はプライベートな時間に
2024.01.28
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
もう寝ようかという時に直撃電話してくる人とか、今は大分少ないとは言え、いませんか?
何か話したいとか愚痴を聞いて欲しいとか、寂しいとか、理由はあるのでしょうが、今の時代、SNSも発達しているので、親しき仲にも礼儀ありというか、通話したい場合は予め都合を聞いたり合わせて置いたり、直接話したいにしても一回、メッセージ等でお伺いをするのが丁寧かとは思います。
古い人になってくると、構わず直撃の方が御本人にとっては早いですからね。
プライベートな時間に、相談事をされるのは、私自身はストレスを感じることがあり、よほどの緊急や親友であれば相手をしないこともないのですが、相談事を受けた後は、残業したようなかなりの疲労感になります。
そういう人に限って、当方側のきつさを慮ることが出来なかったり、きちんと御礼を言えなかったり、自分の都合で怒り出したりするので、受ける側は人の気も知らないで、と憤慨したり徒労感を得たりします。
多少の相談に乗るのはお互い様として、ある程度を越えてきたら、専門家に任せるようすべきですし、家族等、関わるべき人が関わる問題になります。御礼を言えない人や、水面下での調整に気づかずに怒り出す人は、親切にしても骨折り損のくたびれもうけになるばかりなので、そっと距離を置くことになるのかもしれません。
1086.1本の釣り竿
2024.01.27
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
私は釣りの経験がほとんどありません。山の子だったこともあるし、あまり外に出るのが得意ではなかったこともあります。親があまり釣りのことを知らなかったこともあるでしょう。
そういう訳で釣りと言えば鱒の釣り堀なんかで、腹を空かせに空かせた鱒を釣り上げる、なんていう、釣り人からはそんなものは釣りではないとお叱りを受けるレベルの経験しかありませんから寂しいものです。どなたか釣りを教えて上げるという人があったらぜひお連れ下さい。本当はやってみたいんです。
まだ震災の前の頃、学会の合間に福島の海岸で釣りをしたことがありました。
学会から帰った後も釣りを教えてやるなんて言うもんだから3万円の釣り竿を買ったんですよね。
おそらくその公園は津波で流されてめちゃめちゃになったと思いますがその後訪れる機会もないので分かりません。
結局、その仲間からはその後釣りのお誘いは一度もなく、まあ自分からお願いすべきだったのかもしれませんが、素人は素人で0から教わるのが申し訳ないなんて思うので、私にはそういう勇気もなく、狭いマンションに長く置いておいてもしょうがないので、釣具屋さんに持っていけば古い竿として引き取りもあったのかもしれないのですが、いつだったか燃えないゴミとして出してしまいました。その際に知ったのは、その場のノリの口約束はあまり当てにしない方が良い、と言うことでした。その後もその人とはたまに会うのですが、軽く発言したことは覚えていないタイプだと思い、軽い発言はどうせ嘘になると思って真に受けないことにしたら、だいたい実現しませんでした。釣り竿の学びは、それなりに収穫にはなりました。でも、釣り竿を買ったら本当にやりたいことは、対人の学びではなくて、魚釣りです。
1079.ダメな人は相手にしない
2024.01.27
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
診療に於いては、弱っている方や行動を時制しづらい方については、いくらでも寄り添って支援して参ります。
ダメな人は相手にしない、というのは、日常生活における知恵としてです。
先日も高級車が私の後ろを軽く通り過ぎて、時間進入禁止に入っていきました。あら、入ったらいけないのに、なんてつぶやいていると同乗していた人から、ダメな人は相手にしない、と諭されました。袖振り合うも多生の縁とは申しますが袖も振れていないダメな人に一々腹を立てていては、確かに生活がイライラしたものになります。
ましてや自分にお月謝もくれない他人様です。
それを関わっていってどうこうさせよう、というのは時代劇のテンプレとは言え、紋所や桜吹雪でもない限りなかなか難しいのではないでしょうか。御老公にも助さん格さんだけでなく、時にお銀や彌七も助けに入るわけでして。前の副将軍でもない限り、そんなに潤沢なガードマンはいませんから、個人で生きていく際には腹立たしいことがあっても、ダメな人は相手にしないでおこうとサッと通り過ぎるのが良いのかもしれません。
1078.新しい命
2024.01.26
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
最近、知り合いの若手のところに次々と赤ちゃんが誕生したり、当院が都市部にあることもあり、妊婦さんが非薬物療法を求めてこられて、その方々がご出産されたり、と新しい命の誕生に触れさせて頂くことがあります。新しい命は、生命力に溢れ、成長を感じることが出来るので、エネルギーがもらえる気がします。
赤ちゃんが生まれたら生まれたで、生活リズムにせよ、使う物品にせよ一新されることは良くありますから、軽い躁状態になっている両親や祖父母も含め、不慣れな生活に突入していくことになります。
それでも赤ちゃんからもらえるエネルギーを元にみなさま頑張られていることだと思います。
新しい命を常に喜んでいけるよう、日々の診療にも力を注いで参りたいと思います。
1077.赤い矢
2024.01.25
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
イタリアの特急はFreccia rossaと言い、デザインの得意な国らしくかっこいいフォルムをしています。
最近は、ミラノ市の地下鉄が日本製になったそうで、先頭はガラス張りの無人、ホームドアもあり、欧州の信号システムに順応しながら、都心と空港を12分で結ぶそうです。
自家用車で30分以上、バスならもっと、渋滞があれば更に読めないという状態が、電車で12分というのは画期的でしょう。
ほとんどが日立製なんだそうです。
イタリアでは今後、時速350km/hで運転する超特急も考えているそうで、日本の鉄道インフラの輸出が成功しているようです。
イタリアは、自分がイタリア好きだからって訳ではありませんが、新型戦闘機も日英と共同開発ですし、日本の技術を信頼してくれている国という印象があります。イタリアの地下鉄は、日本の技術にイタリアのデザインが入り、とてもかっこよかったです。福岡市営地下鉄も、最新のデザインにしてくれたら良いのに!
いつかイタリアに行ってみたいのはオカリナや音楽、美術や遺跡もそうなのですが、移動も楽しめそうとなると、現地の公共交通にも期待です。日本と違って落書きが落としやすい塗装というのも、お国柄と思えました。
イタリアの電車事情、興味深いので良かったら調べてご覧頂ければと思います。
1076.慢心
2024.01.24
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
サッカーの日本代表は先日、イラクに2-1で配線し、10連勝で止まっただけでなく、次負けると決勝のノックアウトステージに進めないというリスクまで背負う羽目になりました。勝ち上がったとしても2位通過では、韓国やイランと言った、アジアでは一筋縄ではいかない競合と当たる茨の道が待ち構えており、1位通過して決勝で韓国を叩けば良いというプランは根底から崩れたことになります。
私はサッカーの指導者でも専門家でもありませんが、サッカーとは非常に面白いスポーツで強い方が勝つのではなく、勝った者が強いのだという論法の成り立つ集団スポーツです。
簡単に言えば、日本選手には球際を追い詰める獰猛さが足りなかったのではないでしょうか。
そういうメンタル面での慢心というのは非常に難しいものです。
決勝を義務づけられるくらいの実力の代表である、ということと、楽勝に優勝出来る、ということは別なのです。
将棋のような個人頭脳スポーツですと、羽生永世七冠にせよ、藤井竜王名人にせよ、簡単な試合などない、次の一局、次の一手に集中するのみだ、という非常に達観した見解を述べられます。サッカーの場合、集団スポーツであるがゆえにその自覚が芽生えにくいですし、そういうメンタルの引き締めや戦略的なシステムや戦術の更新を行うのが監督の指導と言うことになります。
森保監督にも選手達の間にも、イラク戦に於いては慢心があったことは誰も否定出来ないでしょう。
アジアに於いて簡単な国などないのはドーハの悲劇を経験した森保監督にはとうに分かっていたはずです。
それをきちんとチェック出来なかったのは、監督が最終責任とは言え、選手、コーチ全員が認識が甘く、つまりは、慢心に陥っていたと申すべきでしょう。
逆に言えば、裏街道は韓国やイランに苦労するかもしれませんがそれも自業自得と言うことであり、それでも優勝しなければならない、という原点に立ち返り、日本代表は息を吹き返してもらいたいものです。
私共も、狎れた業務の端っことか、ルーティンワークの中に、どこかに慢心を潜ませていないでしょうか。
慢心こそ、致命傷へのきっかけであり、敗北への第一歩なのです。
準備、調査、作戦立案、当日現場のいずれに於いても萎縮はいけませんが慢心を排除し、敵チームをリスペクトし、正確な分析の上での方略を用いるべきでしょう。
今の監督とメンバーであれば、逆境をひっくり返して、優勝にたどり着いてくれるのではないかと、個人的には期待しています。
1075.胎児のポーズ
2024.01.23
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
なかなか寝付けないことってありませんか?
私の場合あまり良くないことですがお酒に頼ってしまうことは正直あります。けれども、飲酒は、睡眠ステージの3~4段階を消失させますし、3~4段階は嫌なことを消化するのに必要な睡眠相であり、飲酒行動はあまり褒められたものとは言えません。
そういう時に睡眠薬、というのが並のクリニックの対応ではあろうと思いますし、それは正しいです。
ただ、他の方法もないわけではありません。
抑肝散や抑肝散加陳皮半夏などは、漢方でありながら不眠の治療薬として承認されていますし、ベンゾジアゼピン系を投与しにくい児童・生徒のみなさんにもこの辺りの薬で対応させて頂くことは良くあることです。
睡眠薬も、漢方薬も出来れば飲みたくない方には、胎児のポーズなどいかがでしょう。
至急に鎮座していた頃のように膝を折り曲げて丸くなり、横臥位で横になり、なるべく自分を安心させながら深く呼吸をするのです。すると胎児のポーズが効果的なのか分かりませんが、案外よく眠れることがあります。
横になって伸びていても、なかなか寝付けない方には、一度、胎児のポーズでお休みになることもご検討頂ければと思っております。
1074.アシスタント
2024.01.22
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
前任病院時代から、書類作成は1~2を争うスピードでしたし、残務書類がないのが私のプライドでもあります。前の病院の偉い先生は、天井に届くほど書類をためてしまう方もおられました。
精神科臨床に於いては、精神障害の診断書、年金の診断書、休業診断書、復職診断書、訪問看護指示書、生保の書類、傷病手当主治医意見書、エトセトラ、エトセトラ。
精神科に於いては書いても書いても書類の山。
かつて将棋の強い棋士が、辿り来て未だ山麓、と名言を残したことがありますが、目を離すといつの間にか書類が数倍に増えるという日常であり、メンタルクリニックの臨床は本当に大変です。
そんな中でも、当院では、お預かりしてから1週間以内に書き上げる、と皆様にお約束しており、遅れたことは一度もありません。
私自身も努力を重ねていますが、それを支えてくれているのは優秀な看護師や心理士のスタッフ達です。書類と言っても、御本人の御氏名、生年月日、ご住所など、誰が書いても良い箇所もあります。そういう部分はスタッフが、非常に熱心に私を助けてくれていますし、私が書けたつもりでいた不備のある書類も、院内でチェックしてくれて完成することも多々あります。
そうやって、当院では寄り添う精神に優れた看護師や心理士が、書類作成の面でも優秀なアシスタントとして私を支えてくれています。皆様にご提供申し上げる書類は、院長以下スタッフ全員の努力で、1週間以内のお返しを成立させています。優しそうな看護師さん、心理士さん達も、患者さんが少ない時や、目立たない陰の仕事でも、とても沢山仕事をしてくれており、皆様の回復を支えようと、実臨床のみならずバックヤードでもアシスタントをしてくれています。私自身、患者さんによりそう精神と、きちんと書類を捌いていく精神を両立させてくれているこのスタッフ達がお気に入りであり、今後も、彼女たちの努力を目に見える形で、皆様に完成された書類としてお渡しするよう務めております。
1073.正義感でご飯は食べられません
2024.01.21
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
電車やバスの待ち列に横入りする輩には腹が立ちますよね。
義侠心のある人はそういうルール違反を犯す人に注意したりします。
それはそれで正しい行動であろうし、誰かがたしなめるべきかもしれません。私はそういった行動が間違っているとは思いませんし、可能であれば空気のように周りにいた人も、望ましい行動があれば、ギャラリーとしても応援して上げて欲しいとも思います。
ただ、注意した人本人の損益を考えますと、だいたい損です。
私自身、父から、「義を見てせざるは勇なきなり」とか、「正しいことを言って上げられるのが真の愛情だ」なんて教育を受けてきたせいか、そういう所で言いに行きがちなキャラクターに育ちました。でもそれって、無益有害といいますか、あまり良いことないんです。
注意を受けた悪漢からは反発されたり、恨まれますし、運が悪いと暴力を受けるリスクもあります。例え暴力がなかったとしても変な理屈で言い返されて議論になるのも、深い感情という意味でも損だし、時間を取られます。
例えば、10分後に自分が責任者の会合があるとしましょう。その時に、悪漢を注意するでしょうか。もちろん、緊急的な場面であればそれもありかもしれませんが、他人であったものが当事者になるほどの労力にリターンはほとんどないと言えるでしょう。刃傷沙汰がなかったとしても、言い返されたり不快になったら、次の会合のメンツに悪影響を及ぼしかねません。
責任者になるということは、次の会合をスムーズに進める責任もあるわけですから、殴られたボクサーみたいな顔で会合には行けません。
他人に正義感を表明しても良いことはあまりありません。
その時は、お月謝精神で、お月謝をくれない人にはアドバイスはして上げない、と考えてスルーするのが時間も労力も無駄が省けます。正義感は腹の足しにならないということです。
萎縮的に生きて、不条理なものをスルーして良いとまでは言いませんが、介入するには時間も労力も掛かるため、一々黄門様のように助さん格さんの助けが得られるわけでもありませんし、葵のご紋と前の副将軍・・・で万事解決するわけでもありません。むしろそういう解決はレアだからドラマになる訳です。
目の前の事象に正義感を振りかざして嫌な思いをした経験のある方は、少し費用対効果も見直して頂いてはいかがでしょう。