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834.ションベンが出ない

2023.05.27

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 男性って、特に、コンサート会場やドライブインなどでは小用を足す便器って沢山並んでいて、まかり間違ってもそこで大をする人はいませんし、チャックを開けてホースを取り出せば用が足せるので、女性に比べて比較的短時間で機能的に小用を済ませることが出来ます。
 そういう意味では、女性は、大きい方も小さい方も、女性の用事も全て個室で行うわけで、プライバシーは確保されているもののそれなりに時間や手間が掛かります。

 虐待されていたり、親が強い圧力を掛けて養育した環境で育った男の子は、上記の小便器が沢山並んでいる環境では、一番奥で用を足したりします。後ろを通られたくないんです。
 なぜ言い切れるかと言えば、私自身がそうだったからです。

 父はとても力が強く、弁も立ちました。野球やゴルフでスイングすれば、場外というかかなりのヤードを飛ばしていたようですし、絶対音感を持ち、ヴァイオリンを弾き、僧侶の傍ら家庭教師業もしていましたが、文系だったくせに理系の数学まで教えていましたし英語にも堪能だったと思います。経済学や政治、法律、漢字や諺の教養もあり、叶わないと思っていました。
 怒れば、今や通告案件級に寿司桶は宙を舞いましたし、ガラス戸も庭を舞っていましたから、破壊力は抜群だったと思います。

 今では父も亡くなり、その怖かった呪いも解けましたから、良い面も悪い面も、似てしまった面も引き継いだ面も、反面教師にした面も冷静に分析しています。

 まあ、亡父の思いではそれくらいで良いのですが、そういう私は30代くらいまで、集団トイレで後ろにおじさんが通るとションベンが出なくなる子でした。嫌なんですよね、目上の人や自分より怖い人が後ろにいると、オシッコ出なくなるんです。

 これをどうやって自分が克服したかと言えば、正直あまり覚えていないのですが、三重県から九州に渡ってきて、実家と物理的な距離を取ったことで、脅威と距離が取れたこともありますし、また、九州で研修会や研究会の仲間を作り、心療内科の久保千春元総長や須藤信行教授を始めとした、素晴らしい人間関係に恵まれたことも挙げられます。自分は自分で道を作ってきたのだから、そんなに人を恐れなくてももう大丈夫だよ、って自分に言えるようになったことで、いつの間にか、後ろに何人いようが平気でションベンが出るようになったんだと思います。

 男性の小用は、機能上、小用もしますが、射精をする器官も兼ねていますから、どうしても、自信や恐れなどの直結しています。萎縮していれば、男性としても萎縮してしまうし、普段の用事である小用も満足に足しにくくなります。逆に言えば、小用が上手く足せない場合は、サバイバーであったり、自信を上手く持てていないなどの問題が潜在していることを考慮する必要があるでしょう。

 でも、どんな方でも、まず自分の居場所を安心安全の場所にしつらえ、少しずつ自分の実績を積み重ねていくことで、後ろに何人人がいても気にしないでオシッコ出来るように、なるはずだ、と思って、弱った方々の援助を心がけています。
 

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分