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579.心療内科医が勧めるダイエットの心得

2022.09.05

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。日々元気に営業しております。

 ストレスを受けて太ってしまったのでダイエットをしたい、というのは時々頂くご相談です。

 ダイエットなどはカロリーのin-outバランスなのでマイナスに向ければダイエットできる、という論調もあるかもしれませんが、ちょっとお待ち頂きたいと思います。

 本稿では、お悩みを抱えている方のダイエットとしてお書きするので、五体満足、心身が充実している方のダイエットとは異なります。全く頑健だけど、体重が超過しているという方は、トレーナーや栄養士の指導を受けて頂いたら良いです。

 随分と昔になりますが、総合病院で働いていた時、鬱と軽い糖尿病がある中年の方がいました。糖尿病内科の専門医と併診していました。当時は糖尿病内科と心療内科はお隣さんで色々親切にして頂いた覚えがあります。

 その中年の方は、寂しさを抱えていたので、糖尿病内科に怒られない程度に、シュークリーム等の甘い物を少しだけ推奨してみました。変わったことをすると、専門医からは驚かれましたが、甘えたいときは甘い物が欲しいものなのです。もちろん、ドカ食いはいけません。
 さみしいんだ、口寂しい、甘えたい、甘い物が食べたい、と思って実行する。
 このことは、アレキシサイミアという、失感情症の回復になります。自分が本当はさみしい、甘えたいと感じていると素直に認めることと、その上で、少しだけ甘い物を口にしてみること(適切な行動を実行する)という意味では、アレキシサイミアの治療が2段階進んでいるわけです。
 自分の中の声が分かってくると、ドカ食いしたいわけではなくて、ちょっと満たされたいだけだったと分かります。吾唯足るを知る、の心境でしょうか。自分の必要な適切な量も感知できるようになれば、カロリーも最適化していきます。

 もう1つ大事なことは、ダイエットするのは、戦争に行くくらいの覚悟が必要と言うことです。

 大きな案件を抱えている弁護士さんが、ダイエットジムに通い出したら心疾患で急死したという話も聞いたことがあります。大きな案件とダイエットに挟み撃ちに遭うと命を失いかねません。

 うつとか適応障害とか、乗り越えるべきものがある時に、ダイエットをすると謂わば、敵が二方面になります。各個撃破が基本ですから、基本的にダイエットは鬱等の治療が落ち着いてからが良いと思っています。

 少なくとも、治療中の方は、自己判断でダイエットせず、一度ご相談下さい。

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