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267.馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない

2021.10.30

267.馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。6月より六本松地区で開業しましたまつばら心療内科の松原慎と申します。
素敵なスタッフに囲まれて、日々、元気に営業しております。

 これは、イギリスの諺で、
 You can take a hors to the water,but you can’t make him drink.

 それが原語だそうです。意味は表題の通りですね。
 Wikiなどでは馬に関する諺として伝わっています。

 セラピーの世界では、催眠を始め、家族療法やブリーフセラピーに大きな影響を与えたと言われている、米国の精神科医で催眠家、ミルトン・H・エリクソンはこの諺を用いていると言います。

 催眠療法などをしていますと、子供に催眠をかけて、(無理矢理)方向を変えて欲しい、という親御様からのお問い合わせを頂戴することがあります。

 催眠は、変性意識を用いはしますが、ご本人の希望に添う物であり、ご本人の意向をねじ曲げるツールではありません。確かにショー催眠では芸能人がわさびを甘いと言って食べることがあります。

 これはなんのメリットがあるのでしょう?

 落ち目の芸人さんも催眠の被験者になることによって、「露出時間を延長できる」という芸能人としての非常に大きなモチベーションがあることをお忘れではないでしょうか。

 わさびをソフトクリームのように甘そうになめるのも、そこまでのメリットがあってのことです。

 結局、極端に見えることも、ご本人の真の願いを実現する中でのことに過ぎません。

 催眠などの技法は、無意識からご本人が本来望む方向に解き放つだけのことであり、治療者がご本人の進路をねじ曲げることは出来ないのです。

 逆に言えば、馬が水を飲むのは、喉が渇いた時だ。そして、そのうち喉が渇くだろう。ということです。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分