1364.小動物幻視
2026.03.27
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
六本松地区で開業しております、まつばら心療内科の松原慎と申します。
近年、精神医学のエビデンスでは、依存性のあるベンゾジアゼピン系(受容体作動薬を含む)の薬を減らし、オレキシン受容体拮抗薬を処方していくような潮流が見られます。
オレキシン受容体拮抗薬は、筋弛緩作用や依存性がなく、高齢者の方にも比較的安全に使用でき、夜間転倒のリスクも比較的少ないとされています。
ところが、悪夢の軽減が期待される薬ですが、副作用として悪夢を見ることがあるという、なかなか難しい側面も持っています。しかし、ほとんどの方は問題なく内服されています。
先日は、オレキシン受容体拮抗薬内服中の方から、天井や壁に虫が這っているという訴えがありました。
添付文書によると、1%未満に幻視が生じるとされています。
虫を含めて、子ウサギが見えたり、蜘蛛が見えたりするものを総じて小動物幻視と申します。
私も臨床実習中に、脳外科手術後のご婦人が術後の体験談を熱心に話してくださったことが忘れられません。
「かわいいうさちゃんがいるの。それでね、こんにちは、かわいいね、って言ったのよ。」
確かこのようにおっしゃっていました。
これは典型的な術後譫妄のエピソードです。学生実習の際には譫妄状態はすでに改善しており、意思疎通も可能でしたが、よほど印象的だったのか、その体験をはっきりと語っておられました。
睡眠薬などを内服している場合、譫妄といい、上記のような小動物幻視を伴うことがあります。もともと脳に大きな問題がない方でも、副作用として起こることがあります。
譫妄を防ぐためには、寝るときは暗くする、睡眠リズムを一定にするなどの工夫に加え、新しく処方された薬で症状が出た場合には、医師に相談のうえ中止や変更を検討することも大切です。
不安なことがございましたら、ご相談いただければと思います。