ブログ

904.シェアレンティング

2023.08.05

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 親が子の面倒を看ることをペアレンティングと言います。また、SNSなどで写真を公開するのをシェアしたりと言ったりします。
 子供の写真を子供自身の意志決定を経ずに公開している父母や祖父母を見かけることがありますが、この行為はシェアとペアレンティングの合体でシェアレンティングなどと言うようです。
 デジタルタトゥーの稿でも述べましたが、子供にはまだインターネットの危険性は独自では乗り越えられませんし、まだSNSという存在すら理解していない子もいるでしょう。

 お子さんが可愛いとは私も思いますが、子供を授からなかったカップルとか、死産・流産の悲嘆に暮れている人だっています。不妊治療に耐えている所もあります。他者の写真を見て、単純に可愛いと思えるなら健康ですが、嫉妬や羨望の対象になるリスクもあります。以前は誘拐のリスクなどについても触れましたが、ちょっとした街角写真でも2ちゃんねるや5ちゃんねるに投稿して同定してみて、といえば5分ほどでどの辺か同定出来てしまったりするようです。写真には、写真だけの情報だけでなく、Exif情報といって、GPSやいつどこで撮影したとか、露光や機種などが分かる情報も含まれています。それにより自宅を同定されるリスクなどもあります。最近はFacebookなどは、自動的にExif情報を削除してくれるようですが、アプリに依存せず、慎重に管理する姿勢を大切にしたいものです。
 

903.Give&take(ギブ・アンド・テイク)

2023.08.04

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 ギブ・アンド・テイクというと、さも何かの取引のようですが、他者との関わりに於いて、何かをしてもらったりして差し上げたりすることは良くあることでしょう。

 私もこれまで医学や音楽の色んな師匠に恵まれてきた訳ですが、その内の一人は、まず与えよ、という哲学でした。
 自分がバイクを買いたい時、まず奥様に自家用車を買ってあげる。ちゃんと与えられていると満足している内に、バイクも買いたいんだけどとやるようです。なるほど。
 
 相手がこうしてくれない、ああしてくれない、という不満は常々色んな方から伺います。

 相手が家族のこともあれば、上司や部下・同僚といったこともあります。
 まだは快適な関係に陥っていない相手で、多少の愛情や親近感があるならば、お願い事をしたい時は、まずは何かご本人の喜ぶものや求めるものを差し上げてみてはいかがでしょう。簡単なようでもなかなか難しいことです。

 何か差し上げると畳みかけて更に要求してくる人はフェアな関係とは言えませんから、他人であれば関係をフェイドアウトするのが良いでしょう。家族の時は距離を取るくらいしかありませんが。

 というわけで、ギブ・アンド・テイクはまず与える、ということを提案してみたわけですが、取り入れられるものであれば実践して頂いてはいかがでしょう。

902.居場所

2023.08.03

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 被害妄想などが嵩じてくると、コミュニティに馴染みづらくなります。
 善意も悪意に感じたり、ありもしない電波の攻撃を受けている感覚があると、周囲に対して先鋭的な態度を取ってしまう場合もあるようです。

 精神病に限らず、原家族と上手く行かなかったり、社会で孤立しがちな時、居場所のない感じに苛まれることがあるかもしれません。

 大学の心理士さん達などは、居場所活動、と言って、子どもたちや大人の居場所を作って差し上げる活動をしている所もあるようです。若い頃はその意義にあまりピンときていなかったのですが、精神科病院でデイケアなどで働く内に、行って居ても良い場所があるとか、何らかの有意義な活動に参加するとか、そういう居場所の存在ってとても大切なんじゃないかと思えるようになりました。
 もちろん、家庭のある人は家族に対して家庭が居心地の良い居場所になるよう心がけることは大切です。

 でも、強烈な関係などになってしまって、家族とそれが難しい場合は、独立したり、ペットを飼ったり、何らかの方法で居心地の良さを改善している人もおられるように思います。

 当院は居場所活動までは出来ていませんが、月に何度か立ち寄る時にほっとして頂ける場所であれたら良いなと思っています。

901.パタニティブルー

2023.08.02

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 女性が妊娠に伴って精神的に不安定に成様をマタニティブルーと言います。これは女性によく知られている物です。
 それに対して産前に父親が不安定になってしまうことを総称して、パタニティブルーと言うようです。

 2020年に報告された日本で実施された33辺の論文結果を用いたメタ解析によると産前に父親が鬱のリスクありと判定される頻度は8.5%、産後1年間では8.2~13.2%とされています。女性の産後うつはホルモンバランスの変化が影響していますが、男性の場合は育児の不安や責任感から来るプレッシャーが背景にあり、妻の出産前から産後1年まで続く人もいるそうです。

 個人的な体験から申し上げますと、新生児って3時間毎に起きたりするので、きっちり世話をしようと思っているお父さんだと、3時間毎に母親と一緒になったりあるいは率先して、児の面倒を見ます。グーグー寝たきりのパパもいるようなのでそれは個人の覚悟や資質にもよりけりだとは思いますが。
 私の場合も率先してみていましたし、病院の後輩の男性医師も産後眠そうにしていました。医師の当直勤務に掛けて、新生児に毎晩起こされるのを「家当直」などと冗談で言っていましたが、本当に終わりのない当直勤務のようです。

 夫婦の形や協力関係は百組百様でしょうから、どれがベストかは双方納得していればそれがベストなのでしょうが、日中仕事しながら家で当直状態になると、流石に男性の産後の鬱には子供の面倒を見ながらの睡眠不足や断眠の影響があるのではないかと推測しています。最近は男性育休も積極的に取るように推奨されています。子育てって生半可には出来ないので、確かにこういう制度を上手に使って男性も女性も子育てしやすい世の中になったらと思っています。

 マタニティブルーであれ、パタニティブルーであれ、専門家の援助が必要なこともあるかもしれません。特に男性の場合は、妊娠や授乳がありませんから、抗うつ薬や睡眠薬を比較的気軽に使用することも可能でしょう。

 パタニティブルー?って思い当たる方があれば、ご相談頂ければと思います。

900.祝900回

2023.08.01

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 開業以来続けてきたブログですが、900回となりました。8月1日の投稿がキリ番というのはなかなか良い気持ちです。
 1000回目指してやっていければと思います。

 他愛ないことも含めて良くも900回も書いてきたものだなぁと思いますが、粘り強いのも自分の良い所でもあるので、それは保っていければと思います。

 だんだんネタを探すのもしんどくなって来つつあるのですが、ぼちぼちまた、みなさまに気づかせて頂いたことなどを、俎上に上げてみたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

899.原家族

2023.07.31

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 原家族(げんかぞく)とは、別に原さんちの家族ではなくて、配偶者を見つけて新しく作った家族ではなく、自分が子供として生まれた自分の両親(片親の場合もあるかもしれませんが、生まれた以上父母はいるはず)と自分やその同胞を含む家族を原家族と言います。

 なかなか配偶者を作ろうとしたがらない人、自信がない人は、原家族との関係に問題を抱えている方も少なくありません。
 親が過干渉であったり、支配的であったり、親の方が子供っぽい場合もあります。虐待事案もあれば、マル・トリートメントということもあります。

 親に手ひどく扱われたのでおそらく自分の子もそうしてしまうだろう、とか、同じような家族は作りたくないので独りで人生を終えていきたいとか、思われるのは自由なことで、それもそれで尊重されるべきかもしれませんが、ちょっと寂しい気もします。

 自分が新しい家族を持ったり子孫を作ることが、幸せのゴールデンスタンダードとは限らないので、多様な価値観の認められる今、必ずしもそうしなければならないわけではありませんが、原家族との葛藤が取れて自由に考えられる中で選択されたのであればそれで良いと思います。ただ、原家族の問題が解消されぬまま、その歪みが色んな選択に陰を落としているのであれば、そこは治療するチャンスがあるのかもしれません。

 原家族の問題を越えていきたい、ということがあれば一度ご相談頂いてみてはいかがでしょう。

898.お祭り

2023.07.30

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 先日は所属しているコミュニティのお祭りがあり、行ってきました。
 食事も美味しかったのと、福引きで美味しいフルーツが当たったので大満足でした。

 コロナ禍でなかなか人が集まれませんでしたし、今も尚、コロナがなくなったわけではありませんが、やっぱり人が集まると、その人の家族の顔を見たり、たまたま近くにいた人と少しおしゃべりしてみたり、20年ぶりに会える人がいたりと、やっぱりリアルでの会合って良いものだなぁと思いました。

 また鋭気を養ったので、皆様のお役に立てるよう務めて参ります。

897.デジタルタトゥー

2023.07.29

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 インターネットに拡散した写真等は、回収して削除することはほぼ不可能と言われており、それを以てしてデジタルタトゥーとも言われます。
 私も医療関係者として、勤務医時代は顔を晒すことには慎重にしていたのですが、音楽活動をする際には拡散したい、という相矛盾する立場があり、気にしないことにはしました。
 しかし、一方で、子供や孫、赤ちゃんや幼児の写真をFacebookやインスタグラムに載せる親があります。

 善意で見れば可愛いのですが、誘拐のリスクや、子供のプライバシーを守っているかという点では慎重でありたいものです。フランスでは親が勝手に子供の写真をFacebookに掲載すると親が刑務所に行くリスクがあるとも言われます。米国でも児童オンラインプライバシー法(通称COPPA)という法律が1998年に制定され、子供の個人情報がインターネット上に拡散するのを防ぐ法整備が進んでいます。オーストラリアでは、女性が自分の写真の無断使用で親を訴える訴訟もあったようです。

 お子さんを可愛いと思うのであればこそ、万が一のリスクも考えて、SNS等への写真や動画の投稿は、可能な限り慎重になって頂きたいと感じています。

896.近寄ってみたら、みんなおかしい

2023.07.28

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 昨日も触れた一乗寺ブリュワリーでは、「近寄ってみたら、みんなおかしい」という哲学があるようです。

 同調圧力で、みんなが画一化していくノリとは真逆の、みんなおかしくてそれで良い、というような、多様性を認めていく考えが底流にあるようです。少しずつ他者とは変わっている自分を、肯定的に認めていくと言うことは、生きづらさを軽減する意味でも、とても良いのではないでしょうか。

 私たちは人と比べて、誰かの方が金持ちだとか、誰かの方が仕事が早いとか、誰かの方が人気があるとか、妬んだり羨んだりしがちです。または逆に、自分はそれより劣る、と劣等感を持ったり自責の念に苦しむことも少なくありません。

 近寄ってみたら、みんなおかしい、なんて思っておくと、すんなり多様性を受け容れられるかもしれません。

895.一乗寺ブリュワリー

2023.07.27

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 友人からお中元だったかに一乗寺ブルワリーのビールをもらったことがあります。
 なかなか美味しく舌鼓を打ちました。

 京都の精神科医高木俊介先生は、精神障害をお持ちの方も地域社会の中で暮らし続けるために医療と福祉を包括した在宅訪問支援を日本ではじめて実践なさいました。
 そして、彼は、彼らのその生活に生きがいをもたらすために、障害をもっていても社会とつながっていられる場をつくとという目標を掲げて、この醸造所を立ち上げました。

 デイケアやデイサービスを提供することはあってもクラフトビールの会社を作ってしまうという発想は、度肝を抜くものです。
 しかも、麦から全て京都産。そのロゴマークも患者さんの作品だとか。
 
 購入者も、生産者も、そこで働く障害を持つ人達も、全てにWin-win-winのプロジェクト。
 すごいことなんだなと思い、尊敬の気持ちを持ちます。

 私は、高木先生ほど飛躍した発想は持てていませんが、まずは、足元を固めてコツコツとやっていければと思います。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分