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1131.そっと養生する

2024.03.18

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 大事な人が亡くなると少なからずショックを受けるものです。

 本来であれば先週末、九大で研修会をする予定だったのですが、講師の急逝によりかないませんでした。
 代講をすべきか悩んだ末に、ショックが大きいととても代講は出来ないだろうと考えて予め、代講には立たずに、研修会自体を中止と致しました。

 それで土日はゆっくりしたのですが、お酒を飲まず、よく寝て、家族と過ごして休む。当たり前のことかもしれませんが、そういう日常を送って養生することも、大崩れしないためには必要なことだと感じています。

1130.キヨスクは街の中?

2024.03.17

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 ちびまる子ちゃんの踊るポンポコリンだったと思うのですが、キヨスクは駅の中、そんなの常識、なんてフレーズがあります。
 しかし、スペイン語ではキヨスクはquioscoというのですが、駅の中より街の中に、コンビニのようにあるのが常識だそうです。

 キヨスクは英語ではkiosk、イタリア語ではchiosco、フランス語ではkiosqueとも言い、割と何語にもありそうです。

子供向けの歌はノリもあるのでしょうが、日本でそんなの常識、と思っていても世界の非常識と言うことは、案外あるのかもしれませんね。

1129.チャウシェスク・ベビー

2024.03.16

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 ルーマニアはかつて、チャウシェスク大統領が独裁的な政治をしていたと言われています。彼は人口増加が経済成長につながるという考えを持っていました。それ自体は悪いことではありませんが、手厚い福祉環境を充実させることなく、1966年に法令770条という法律により、母親が40歳以上や4児以上産んでいる場合以外の中絶を禁止する法律を作りました。
 ケアなしの強制は悪手だったと言え、多くの捨て子を生み出し、悲惨な状況となりました。
 ナタリスト(産児増加提唱者)からの強要により大家族となり、養えなくなった両親が、子供達の養育を放棄することによる孤児が増えたと言います。児童精神病院などは薬や洗浄設備が不足し、子供達は危険拘束をされたり糞尿にまみれて暮らすなど、劣悪なケアがなされていました。1982年に飢餓輸出の方策が止まると、ルーマニアでは電気や暖房が止まることなどもしばしばとなり、食糧も不足しました。

 国家的なネグレクトと言えるこの状態は1989年のルーマニア革命により共産党政権が倒れて明らかになり、EUからも孤児問題を改善するような指示が出ていました。
 養子縁組も当初、ひどい状況だったようで祖父母による物を除いて外国への養子が禁じられました。

 ストリートチルドレンになったり、マンホールタウンの麻薬汚染など、ルーマニアではまだまだ社会問題が根強くありますが、これらのネグレクトについても研究が進んだり、慈善団体の援助がなされたりして、徐々に改善しつつはあります。

 国家がネグレクト的な対応をする、と言うことがいかに悲惨なことになるかという社会実験的な例になるわけですが、その後も様々な研究成果が積み重ねられているようです。

 当院でもこれらの成果から学び、マル・トリートメントを生き延びた方々の支援に生かせればと思っております。

1128.寝る前スマホ

2024.03.15

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 当院では、若い患者さんも受け入れていますので、小中高の方からのご相談も承っています。
 眠れないというのに0時近くまでスマホを見ている方に、もう少し早くスマホを手放せないかとお伺いしたところとっても嫌な顔をされたことがあります。

 しかし、私どもがそのような提案をするには、それなりに理由があります。ハーバード大学の研究によりますと、就寝4時間以内に、紙の本もしくはタブレットを読んで、1時間おきにメラトニン濃度を測定した研究があります。その結果によりますと、タブレットの群は紙の本の群と比較して、明らかに2時間、メラトニン濃度の立ち上がりが遅れたと言われています。
(Chang AM,et al.Proc Nati Acad Sci USA 2016:112:1232)

このような読書を5日間続けた翌日にメラトニンピーク時刻の変化を検討した結果、非常に強い有意差を持って、タブレット群が紙の本のグループより1時間半以上のピークの遅延があったと言います。

 このように、スマホいじりは、睡眠の大敵とも言えます。

 もちろん、医療機関ですので睡眠がうまく出来ない時に、睡眠薬を処方したり増量したりすることは可能なのですが、落とし穴は案外手前にもあるものです。ご自身の寝る前スマホなどが悪影響がないか、見直して頂いてはいかがでしょう。

1127.体内時計のリセット

2024.03.14

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 人には体内時計があると言われています。脳の中の「視交叉上核」というところに存在します。
 人の体内時計の1日の周期は平均24時間11分と言われ、人によっては25時間という場合もあります。
 土日祝日など、朝起きる義務がない時に、寝坊しがちなのは体内時計が元々24時間より長いためと言うこともあるようです。

 つまり、体内時計というものは、常にリセットしないと後ろ倒しになりがちだと言うことです。

 それでは、どうするとリセット出来るのでしょう?現代のスマホのように基準時間を電波で受信するなんてことは人間には出来ませんね。そこで重要なのが朝日を浴びること、朝食を摂ることです。光を浴びると眼の奥にあるメラノプシンという光センサー細胞が光を感じて、その情報が脳へ伝えられます。この伝達によって体内時計はリセットされます。同時に、身体が活動状態に入って血圧や体温が上がってきて、メラトニン分泌が止まります。朝日を浴びないとこうしたメカニズムが働かなくなって体内時計が少しずつずれていきます。
 遮光カーテンを引いたまま引きこもって昼間で寝坊したり、せっかくカーテンを開けたけれど雨や曇天であまり光が入ってこなかったりすると、リセットが効きにくいかもしれません。

 とにかく、起きると決めたらカーテンを開けて、なるべく朝の光を浴びるように心がけましょう。

 朝食は、肝臓や腎臓、心臓など末梢にある時計遺伝子をリセットします。アミノ酸と糖質を摂取すると末梢の時計遺伝子がリセットされます。

 このように、視交叉上核の体内時計を光で、末梢の時計遺伝子を食事で、リセットすると朝から新しい体内リズムを刻むことが出来るようです。
 お試し頂いてはいかがでしょう。

1126.メジャースリープ

2024.03.13

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 メジャースリープは訳すと睡眠構築と呼ばれ、ノンレム睡眠とレム睡眠がひと晩の間に交互に現れるというしっかりとした睡眠パターンのことを言います。この、メジャースリープは年齢とともに変化することが知られており、20代の若い頃には中途覚醒があまりなく、40代になると中途覚醒が出て参ります。
 80代になるとさらに深い睡眠が取れなくなってきます。このように高齢者になると、就床時間は長くとも、実際に眠っている時間は短いということになります。その理由の一つにメラトニンという睡眠ホルモンが関係していると言われています。
 よく寝るためには体温の低下が重要となります、体温が高いと体内の化学反応が活発になりますが、低くなると代謝が下がって休息状態になるからです。この動きを制御しているのがメラトニンと言え、松果体から分泌されて夜中に最大になります。しかし、この分泌量は年齢とともに低下していき、年をとると塾民間が得られなくなるのです。具体的には、メラトニンは70歳では20歳の半分くらいと言われています。

 いずれにせよ、中途覚醒が増えてくるのは、病気でも何でもなく生理学的な経年変化のゆえんと言えましょう。

 40代を超えてくると、生殖活動をする必要性も少ない場合が多いため、自分の体の健康さえ維持できれば問題ないと言えますから、睡眠薬等を適量用いて、健康な睡眠を得ていくこともまた大切なことと言えるでしょう。

1125.ジンクス

2024.03.12

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 ジンクス、とは英語で縁起の悪い言い伝えや生活に密着した教訓や法則を指すようです。科学的根拠に基づかずに経験則となるため、迷信のこともあるようです。ただし、近世になってから裏付けが取れた物もあるため、全てが迷信と決めつけられる訳でもないようです。水島新司さんの野球漫画にもジンクスを得意とする選手が描かれていた気がします。
 語源は不明とはいえ、ギリシア語のイユンクスIynx:アリスイ、キツツキの一種に起因するという説もありますが詳細はわからないようです。

 仲の良い友人に、「その人が口にすると必ず実現しない」というジンクスを発見しました。

 そういう現象を、本人が嘘つきと断じてしまえば簡単なのですが、私からは好印象を持っている上に、本人も善意で思いついて発言しているのは明らかでしたから、経験則と言えましょう。もちろん、その人も、契約的な内容については必ず履行してくれていました。

 しかし、全国全県で一緒にワークショップをしようね、なんて言っていたら、まあ実現しませんでしたし、90代で老害と言われるまで学会に顔を出そうよ、とも言われました。自分の家計は長命家系だからと自信満々で言われたのですが、「口にしたら実現しない」ジンクスを考えると、これ、死亡フラグだったなぁと今更思います。後輩1がその先輩の元に就職したらどうかというアイデアも言っていましたが「言ったら実現しないから言わないで」と目の前で注意したのですが、やっぱり実現しませんでした。

 バーベキュー大会をしようね、とか、イタリア旅行に行こうよ、というような話も、どれもこれも水泡と帰してしまい、早世するとは罪なことだと思います。

 逆に、口にされなかったことは、実現しても良いのかもしれません。
 後を頼むとは言われなかったので、勝手に頼まれても、それは実現してもいいのかなと、少し思っています。

1124.学習1

2024.03.11

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 グレゴリー・ベイトソンという哲学者がいます。
 ミルトン・エリクソンについても研究していたことで知られています。

 哲学者でもあり、統合失調症の研究、ダブルバインドにおいても知られ、バリ島の研究、ミルトン・エリクソンの研究、エコロジーなど多岐にわたっているその研究内容から、どんな人だったと言うには少々難しい人でもあります。

 その彼の遺産のなかには学習理論があり、学習1、学習2、学習3などとして知られています。

 学習1は我々が小学校の頃から、親から勉強しなさい、と言われていたことになります。
 漢字の練習、のように、知らないことを知ることです。

 学校制度が普及する前は農民などは読み書きができないのが普通でしたし、文盲率の低さは文明や文化の高度化に不可欠ですから、知らないことを知る、ある程度のことを覚えることは重要です。

 地球が太陽の周りを公転していること、月が地球の衛星であることなどは、今や小学生でも知っていますが、ガリレオを糾弾したヨーロッパ人達よりも今の小学生の方がそういう意味では、公転活動を「知っている」という意味では優位になります。

 ただ、地球が丸いこと自体は、古代ギリシャのエラストテネスの時代に既に知られており、キリスト教の権威化に伴って一部科学が衰退した嫌いもありますし、小学生が地球の公転を「知っている」のは、「習ったから」に過ぎず、厳密な証明をできる能力があるわけではありません。

 そういう意味では1+1=2の証明も、ほとんどの教員が出来ないのではないでしょうか。結構難しい数学の理屈を使うようです。

 しかし、今や、そういう部分もヨビノリの動画など、教育系YouTuberの、活躍により、大学教養レベルの勉強もスマホがあれば出来る時代とも言えます。

 もちろん不要な情報を切り捨てたり、フェイクにだまされないためには、それらを論考する思考力も必要ですが、まずは教科書レベルで知っておいた方が良いことを学習1で知る、と言うことも実は重要なことかと考えています。

1123.ハイヒールの踵

2024.03.10

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 ハイヒールの踵ってピンポイントに体重が載っていますよね。
 満員電車などで電車が揺れた際に、踏まれた方は大変です。
 足の甲に穴が開くんじゃないかと言うくらい痛く感じるわけです。でも、思わずよろけた方は悪意はないし、「あら、ごめんなさい」ということになります。ちょっとよろけただけですし、わざとじゃないですからね。
 この例えば、暴力を振るった側と振るわれた側の受け止め方が全く違うことの例えになります。

 つまり、手を出した方はちょっとかわいがっただけ、と思っても、出された方は、ものすごく怖かった、死ぬかと思った位に感じることがあるわけです。DV等はこのように異なる感性で記録されて行き、離婚の際の問題になっても調停員さんはかなり異なる距離感でこの事象についての陳述を聞くことになります。

 自分にトラウマを与えた対象の人も、そこまで考えていなくて言っていたり、おこなっていたりします。
 よく患者さんに申し上げているのは、そういうものはハイヒールの踵と言いまして、与えた側と与えられた側でずいぶん認識が違う物、と言うことです。いつまでも、「こっちはこんなにきつかったのに」とのにのに、が始まるといつまで経っても解決していかないので、傷付きは傷付きで医師や心理師など専門家にお話し頂いた上で、善後策を検討していければと思います。

1122.死に目に会う

2024.03.09

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 死に目に会う、ということは日本では重視されています。
 しかし、命の灯がが消えていくその瞬間にいるよりは、意識がある内に何らかの御礼を言ったり、大事な言葉を交わすことの方が重要ではないかと思います。

 しかし、重要なやり取りをする間もなくて、死に目になった場合、やっぱり亡くなる前に会いたいというのも人情です。

 私の場合実際には、父親の死に目には会えていません。九州に出てきたというのもあるのですが、病院でぽっくり逝ってしまったので、母も弟も主治医でも、まだまだ今日明日に死なないと認識しており、普通に見舞いに行くつもりにしていたら、夜中にぽっくり亡くなっていたようです。ので、彼に関しては死に目に会った人はいません。

 先日、親戚ではないのですが、親以上の絆を感じている人の死に目に会いました。

 その方はお見舞いを終えて1時間で亡くなってしまいました。

 変わり果てた姿を見たくないような、会っておきたいような、微妙な葛藤があったのですが、声が掛かっただけでもありがたいと考えて思い切って行ってきました。最期は手を握って上げることはできました。
 眼球は上転しており、呼吸も下顎呼吸でしたけれども、話しかけると涙が出ました。脳症もあるなか、耳は聞こえていたのかもしれません。何も返せないのを悔しかったのかもしれません。でも聞こえているんだろうなと思えたのは良かった気がします。

 死に目に会うのが最良とも言いませんし、違う考えの人に押しつける気もありませんが、結局行って良かったと私は思っています。
 ですので、個人的には死に目に会うチャンスがあるのであれば、葛藤があっても一旦駆けつけられては、と思っています。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分