806.自由連想とアネクドート
2023.04.29
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
日本で有名な精神科医が、フロイトの遺産として最後まで残るのは自由連想であろうと予言したと言います。
精神分析の多くの概念が時代遅れになっても、確かに自由連想だけは人間の自由な発想として残っています。
前稿でAIについて触れましたが、患者さんの相談事に対して、自分の体験や伝聞などについて返すことはアネクドートなどと申しまして、ミルトン・エリクソン以来の重要な治療技法となっています。
AIは人生経験自体がないのでアネクドートを述べることは出来ません。
その場で当意即妙に思いつく、聞き手の体験談などは、押しつけになってはいけないのですが、二人で行う自由連想としてのアネクドートは臨床の場を豊かにし、相談者の発想の硬さをブレイクしていきます。
AI時代に残るのは、医師の温かみと覚悟、そして、技法的には自由連想とアネクドートではないかと、ふと思いました。