481.プロラクチン
2022.05.30
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。日々元気に営業しております。
プロラクチンというホルモンがあります。プロラクチンとは、脳下垂体前葉から分泌されるホルモンです。本来の作用は、お母さんに母乳を出させる作用です。産後、赤ちゃんに授乳する母親は、高プロラクチン血症の状態となり、乳汁分泌します。同時に、月経の発来が停止します。これは生物学的に理にかなった作用で、授乳中に次子の妊娠が発生しないようにしています。これは正常な働きなのですが、精神科や心療内科のお薬で薬剤性の高プロラクチン血症が起こることがあります。
抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などを飲んでいますと、セロトニンが増加した作用でプロラクチン放出が促進されます。授乳に関連するホルモンであるためか、女性だと抗精神病薬を飲んでいる人の47%、男性は18%がプロラクチンの値が上昇していたという報告もあります。女性は月経の遅れ、胸の張り、そして乳汁分泌などが起こり、男性だと性機能不全に陥る方もおられます。いずれもなかなか言いにくい症状かもしれませんが、プロラクチン値が15ng/ml以上だと高プロラクチン血症と言えますし、実際に採血したら高くなっていて、お薬を中止した方もおられます。
女性の方ですと、月経の遅れがないかを再来の度に伺うこともあるのですが、高プロラクチン血症は割と見られる副作用であるため、確認させて頂いています。医師に言いにくい場合は、看護師などに申し出て頂いても構いません。
高プロラクチン血症になったとしても、永久に続くわけではなく、通常は原因薬剤を中止すれば比較的速やかに症状が改善し、元に戻りますので、ご安心頂ければと思います。
思い当たる症状がおありの方は、ご相談頂ければと思います。