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67.転移感情

2021.04.17

67.転移感情

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 以前、ご自身がとてもつらい状況になった方から、いきなり怒りを向けられたことがありました。
 なぜ自分が、会社で理不尽な目に遭わなければならないのか!なぜ自分が(身体疾患の)大病にならなければならないのか!などという悔しさややるせなさがあった時、それを悲しみに変化させる人、怒りに変化させる人、昇華させて社会貢献に変える人、などストレスの消化方法は人それぞれです。自分がストレスを抱えた時、それを周囲に八つ当たりしてしまうことはあり得ることです。自分が八つ当たりをしてしまった時、当たった相手は単にとばっちりで、本当に腹立たしいのは、どうしようもない理不尽な事象かもしれません。八つ当たりのようなものを非効果的コーピングと言いますが、非効果的コーピングを起こしてしまいがちな時に、当院では、何か改めてより建設的な解決を探せるよう、ご相談に寄り添いたいと考えています。
 このようなぶつけどころを変えることを現代では広い意味で転移と呼んでいるようです。
 転移とは、元々は、フロイト博士が提唱した精神分析の概念です。
 では、転移とはどういう感情か、原義と広義の両方を見てみましょう。
 まずは原義。Wikiを紐解いてみましょう。
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⇒フロイトは、面接過程において、患者が過去に自分にとって重要だった人物(多くは両親)に対して持った感情を、目前の治療者に対して向けるようになるという現象を見いだした。これを転移(Transference)という。
 転移は、患者が持っている心理的問題と深い結びつきがあることが観察されたことから、その転移の出所(幼児期の性的生活)を解釈することで、治療的に活用できるとされた。転移の解釈は、精神分析治療の根幹とされている。
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 広義については、一般向けに平易に書かれたサイコタムも見てみます。
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⇒クライエントが、過去に重要な他者(両親など)との間で生じさせた欲求、感情、葛藤、対人関係パターンなどを、別の者(多くの場合は治療者)に対して向ける非現実的態度を転移と呼びます。
--------------------------引用以上
 幼少期の性的生活を解釈するのが妥当かは現在の実臨床では議論がある所かもしれませんが、行動パターンとして、父に取った行動を上司に対しても取りがちですし、精神分析の言葉ではありながら、その人のあり方を知る上では有用です。
 私自身、亡き父と緊張関係にあったことから、上役の男性に何となく苦手意識を持っていました。
 昨日投稿した久保千春先生はもっと大きな安心感を与える人でしたので、そのような私の転移の癖から解放して下さる方でした。
 臨床家としてのトレーニングを積んだり、歳を重ねてい行く内に成長し、私自身は自分の転移について考えたり処理が進んできたように思います。
 常に精神分析の解釈を念頭に置いているわけではありませんが、私どもプロフェッショナルは、ご相談を頂いた際に、その方に起こっている感情の流れが転移なのか、私どもの感情が逆転移なのか、等、時々落ち着いて見直しながら、カウンセリングを進めて参ります。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分