626.CPAP
2022.10.22
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
CPAP(シーパップ)は正式には、Continuous Positive Airway Pressureというものです。日本語に訳しますと、持続陽圧呼吸療法ということになります。
睡眠時無呼吸症候群の治療を行う機械であり、この疾患においては治療の大黒柱であると言えましょう。
睡眠時無呼吸症候群において、呼吸が止まったり、低下したりすると、自動的に呼吸の停止をセンサーが感知し、外から陽圧換気をかけて、寝ている人の起動に空気を送り込む、というものです。初期の頃は鼻も口も覆うタイプのものでしたが、年々改良されて、現在は鼻に装着するものが主流です。私個人は鼻づまりしやすいので、適用される場合は口も覆うタイプなのだろうかと戦々恐々としています。肥満でなる場合があるので太りすぎないように日々注意しています。もちろん、体重の重い方ばかりがなるとは限らず、細身の方は細身の方で生まれつき骨格等の問題で気道が狭い方もいらっしゃいますので、そういう場合でも無呼吸症候群は起こり得ます。
私は福間病院在職時代に、同院で初めて、簡易ポリソムノグラフィー(PSG)の使用を提案し、医局会議や総務を通じて検査が出来るように致しました。その後は、簡易PSGやCPAPの重要性は徐々に精神科医の先生にも理解されるようになり浸透していきました。
当院は入院施設がないためにフル規格のPSGは出来ないのですが、簡易PSGを行ったり、福岡病院等と連携して精査を進めることが出来ます。CPAPの適応となった方の持続的な管理も執り行っております。
夜間の酸素不足が鬱の原因になることも稀ではなく、家庭円満、仕事順調、人間関係問題なしでもどうも鬱っぽいという方は、ひょっとしたら夜間の酸素不足があるかもしれません。夜間の酸素不足が主因とも限らないのですが原因の一つであったとしても、導入後の効果は非常に大きなものがあります。
メンタルヘルスと呼吸管理の両方を一つのクリニックで出来ることは、お掛かり頂く方にとっても利便性が良いと思われますので、CPAPが必要かも、と思い当たる方は、一度ご相談頂ければと思います。
625.ねぎらい
2022.10.21
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
文通、という言葉が死語になるかもしれない今、SNS等のメッセンジャーアプリケーションは、人とのやりとりを容易にしました。手紙と言いますと、拝啓、とかから始まり、時候の挨拶、ねぎらいや感謝、ご機嫌伺い、少し近況報告などと入っていき、要件になることもあります。
時代の流れがスピードアップしていますから、枕の部分の挨拶を省いて、前略から要件に入る方を好む方もあるでしょう。これは読み手も書き手もそうかもしれません。
どんどん省略化されてきているとはいえ、親しい友人であっても、体調伺いや、大変そうならねぎらいの言葉を添えるだけで、随分ほっとするものです。どんな丁寧な文面であっても、ねぎらいの言葉を省略されていると、労う気がないとか、自分の用件だけ伝えたい印象となり、冷たいとか我が儘な、あるいは険のある印象になることがあります。
面倒くさいよ、と思われるかもしれませんが、面倒くさいくらい疲れている時は、あまり他人と交渉しない方が良いものです。疲労していたり、イライラしていたり、心に余裕がなかったりすると、すぐに腹が立ったり、反駁したり、やり込めたりしかねません。他者への攻撃はいずれ自分に返ってくるもの。出来るだけ温かくソフトにすることが望ましいと思います。
発達してきたメッセンジャーアプリケーションの中にも、ワンポイントねぎらいの気持ちや言葉を添えて頂くと、相手の方への敬意や愛情が伝わるのではないでしょうか。
624.やっぱりさん
2022.10.20
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
婚姻や恋愛のもつれの内、浮気や不適切関係は論外として、約束の履行がないというのは危機的な状況を生むことがあります。よくよく話し合って、仲間同士で方針を決めたのに、実際に進行してみると、良い所進んでからやっぱり、決定した方針を翻したい、と言い出す人がいます。やっぱり、と言い出す人はやっぱりさんと称しています。
同居OKだったのにやっぱり嫌、とか、お金を入れる予定がやっぱり入れられないとか、履行されない約束とか、約束事項の変更は慎重にすべきことです。
もちろん、時代や時流の変化に応じて、古い取り決めを変更した方が双方利益があるリーズナブルなこともありましょうから、そこは臨機応変に話し合って再決定することも可能とは思いますが、やっぱりと言われてやっぱりでは困ると相手方が思うようだと問題になってしまいます。
だいたいにおいて、致命的なやっぱりをやる人は、もし婚姻していないのであれば、パートナーにするのは止めた方が良いでしょう。これは、男女に限らずマイノリティの組み合わせであっても同じことであって、人として約束が守れるかと言うことになります。
途中で認識を変えたのに謝罪や認識変更の自覚がないとか、長期的に見ていると主張内容が変遷する方はやっぱりさんである可能性があり、結局は信頼を失ってしまいます。
大きなやっぱりをやられた場合、お付き合いの仕方を見直されるのがお勧めではないかと思います。
623.silently walk out
2022.10.19
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
話の通じない相手を変えたい、という相談を受けることがあります。
まあ、以前から似たようなことは書いたことがあると思うのですが、そういう方っているものです。
先方様が勘違いをされていたり、要求される内容が違法であったり、あるいは歩み寄りのない一方的な内容を100%飲ませようとしてきたりと、色んなケースがあります。
当方側が、法的正当性を持っていたり、正しくても、相手方が感情的になったり、元々相手をねじ伏せないと気が済まないタイプの方だと、こちらが論理的な反論をしたとしても、反論すればするほど逆襲を受けて非効果的になることがあるようです。
話が通じない場合であっても自分が変わるしかなく、時間の費用対効果の所でもお書きしたように、刺激を与えずそっと去るのが一番です。そういうスタンスをsilently walk outと申します。端役の俳優さんのように、そっと静かに舞台から姿を消すのです。
自分が道を譲るなんてとかなんで私の方が正しいのに、とお考えになることはあると思うのですが、そこに拘泥して時間を失うよりsilently walk outを実行し、自由闊達に生き生きと出来る時間帯を増やされる方が、より良い生き方につながるのではないかと思っています。
622.粘着質な人との付き合い方
2022.10.18
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
粘着質な人っているものです。
あからさまに、バカとか死ねとか、禁句を浴びせてくることはありませんが、メッセージに返答を考え中とか保留していると、さらに既読の確認をしたり、他媒体を用いて問合せをしてくる人もいます。慇懃で丁寧でも、督促されるとプレッシャーを感じるものです。
基本的に、メッセージのやりとりというのは、相手方にどう返事するのか、いつ返事するのかは自由が与えられるものであって、返事をしない選択肢もありと言えばありでしょう。この辺はLINEや他のメッセンジャーが発達した今も、古典的な手紙と何ら変わらないはずです。既読判定が付くために、相手は読んだはずなのに返事がないじゃないか!という怒りを生むこともあるようですが、対等な関係における投げかけには、応えるタイミングや方法、内容は本人に任されるものではないかと思います。
ただ、難しいのは、職場の上司から個人的な連絡先を聞かれていたり、そこにメッセージが来たりと、公私の境界が不明瞭になるとだんだんその自由が許されず、怪しくなってきます。
粘着質な人は怒らせると、その絡みも粘着に続くので、対応としては刺激を与えないのが良く、返事のテキスト量や頻度を減らしたり、冗談を言ってきてもそれには乗らないでおいたり、と言うことになるかと思います。
621.金木犀を見つけました
2022.10.17
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
先日散歩をしていたら、金木犀を見つけました。
去年の原稿は270稿でしたから、去年のお散歩はシーズンの始めで、今日は遅めの発見でしょうか。
前職の病院は自然が豊かで、病棟へ向かう際にも必ず草木に触れていましたが、六本松・草香江地区はオフィス街。
緑は意識して置いている観葉植物や多肉植物になりますから、特に木である金木犀は生えている所に足を向けないと、なかなか出会えなくなりました。
自然の金木犀はトイレの芳香剤とはまた違って、ナチュラルな癒やされるような香りがします。
草木に触れることは改めて癒やしになるなと感じた次第です。
秋らしくなってきた今日この頃、みなさんも金木犀を見つけにお出かけになりませんか。


620.ウンベラータから多肉へ
2022.10.16
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
ゴム科の植物ウンベラータは、開業の際、大切な方々から頂いたのですが、この春大いに伸びすぎたため、カットしながら挿し木をお分けしていました。
切りすぎにならない程度まで随分と切ったので、もう今季はこれくらいかなと思います。先日、最後のウンベラータの苗が売れて、この夏のウンベラータのお裾分けはおしまいになりました。
秋は多肉植物が紅葉してくるシーズンです。
セダム、クラッスラ、月兎耳、ルビーネックレス、パリダムが出ています。気になる方はお求め頂ければと思います。
夏頃に、上部をカットした下部の株から、ようやく新芽が出始めました。
結構、大胆にカットをしたのですが、私の胴切りに負けずに新芽を吹き出す植物の生命力には感動します。
というわけで、秋のお裾分けはウンベラータはおしまいになり、多肉に移行して参ります。多肉も慣れるととてもかわいらしいですよ。多肉植物にも紅葉があり秋には赤やら紫に色づいて参ります。お手にとって頂けると幸いです。
619.コンプリメント
2022.10.15
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
セラピーの世界にはコンプリメントという言葉があります。ブリーフセラピーや、行動療法系で用いられているようです。クライエントの頑張りや適切な対処法などを「褒める」時に、コンプリメントが用いられます。
「ぶち切れずに話し合うことにしました」
「良く辛抱されましたね」
みたいな所がコンプリメントでしょうか。
もちろん、クライエントの方を尊重した方が良いですし、非難するよりは良いのですが、コンプリメントは本当にコンプリメントとして機能するのかということを最近考えています。
医師や心理師は専門職ではありますが、知識や介入は専門家として行いますが、人権や人格はお客様と対等です。
専門職がお話を伺ってコンプリメントを行うと、専門家は話し手を評価する、と言う態度に出たことになってしまい、褒められる人、褒める人、と言う関係はフラットな物ではありませんから、そこが難しい所です。
また、露骨なコンプリメントは却って逆効果と言うこともあります。
最近行ったワークショップで、クライエントのリソースを信じる、という意味においては、この人なら何とかなるはずだ、という信頼をしながらお話を聞いていた所、その態度自体が大きなコンプリメントになったようです。
若い頃に習った基本的な技法についても、常に見直し、意味性を考えながら練り直しています。
618.テクニカルターム
2022.10.14
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
先日、臨床家向けのワークショップで講師を務めさせて頂きました。
最近、自分自身でも、また教える際でも意識しているのは、現在の相談者の状態や状況、また、自分が提供しようとしている介入について、精神医学または心理学的な用語等によって陳述できるかと言うことです。
だだをこねたい気分だ、と言われて、退行が起こっているのだなとか、親の詮索や口出しがうるさい、と言うことに対して、「他人を変えたい」という相談内容なのだなとか、自由に陳述されたクライエントの方の言葉を、瞬時にテクニカルタームで把握し、そして、それに対して適切な介入を適切な方法、タイミングで提供していくことになります。
そういう意味でも、自分自身のしていることを陳述できるというのは一つの客観視の方法なのかなと思います。
これらのことが意識化出来るようになり、面接のやり方が効率的になって来たと思っています。
常にセラピーに於いても進化を意識して、日々の臨床に臨んでいます。
617.眠りと入浴
2022.10.13
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
人の体温は、午後から夕方にかけて最も高くなります。それから低下していき、夜明け前に最低となります。入眠しやすいのは体温が下降する時期で、体温が上昇する時期には入眠しにくいことが、研究によって分かっています。
入浴して体温を上げておくと、体温が下がるにつれて、すみやかに眠ることが出来ます。しかし、就寝前30~60分に熱い湯に入ってしまうと、入眠時刻になっても体温が上がったまま下がらず、却って寝入りにくくなります。しかも、熱い湯は身体に負担がかかるばかりか、交感神経系を活性化させますから、入眠の妨げになります。
就寝前30~60分に入浴する場合は、40℃前後のぬるめのお湯がお勧めです。
お風呂に入るにも、生理的リズム、交感神経系にも配慮し、寝やすい条件を整えられるよう、出来ることからして頂いてはいかがでしょう。