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60.睡眠衛生

2021.04.10

60.睡眠衛生

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 先日、睡眠薬を忘れてしまったら、2日間全く寝入れず、大変だった、と言う訴えがありました。睡眠薬を常用されている方の反跳性不眠だと思われます。
 ガイドラインでは、これらには認知行動療法の併用などで漸減中止をしていくように書かれています。
 その中の弛緩法などは、筋弛緩法や臨床動作法、自律訓練法などの併用の方がより効果的と思いますし、当院ではその指導が出来ますので、より積極的に取り組みたいと思っています。
 さて、不眠に対して、睡眠薬を適正に使うことは大切なのですが、その前に睡眠の邪魔になることをしていたらやめて頂いたり、より適切な準備をする援助をしていくのも大事なことです。これらを、睡眠衛生指導と言います。  具体的に見てみましょう。
1.定期的な運動
2.寝室環境
3.規則正しい食生活
4.就寝前の水分
5.就寝前のカフェイン
6.就寝前のお酒
7.就寝前の喫煙
8.寝床での考え事
の8つが挙げられています。
1.定期的な運動とは適度な有酸素運動なので、100mの全力疾走を繰り返すのではなく、ブリスクウォーキングなど酸素を取り入れる運動を適度に入れた方が寝付きやすいと言われています。
2.寝室環境:
 騒音、戸締まり、遮光カーテンで光が入ってこない様にする、温度調整を適温にする、などがあります。遮光カーテンで光を遮ってスマホのブルーライトを見ている様では仕方がありませんから、スマホも見ない方が良いでしょう。
3.規則正しい食生活は、空腹過ぎると睡眠が妨げられるのだそうです。睡眠前に軽い炭水化物を取るのは睡眠の助けになるそうですが、ダイエット中の方にはきついですよね・・・。いずれにせよ消化の良い物が良いのでしょうか。脂っこい物や胃もたれする物は避けるべきと言われています。
4.水分:
 摂りすぎは夜間のトイレ回数が増えてしまい得策ではありません。
5.就寝4時間前からカフェインの入ったものは摂らないようにと言われています。
6.飲酒:
 寝酒は睡眠ステージの深い層に入りづらくなり、熟眠を妨げます。
7.喫煙
 ニコチンには精神刺激作用があります。夜は喫煙を避けましょう。
8.寝床での考え事:
 寝床では考え事はやめましょう。考えるのはよく寝て明日の朝!
 以前のコラムに書いたように、自分によしよししながら、自分がとりあえず何とか寝床に辿り着いたことを褒めましょう。
 お薬の前に必要な睡眠衛生は8つもあることが分かりました。皆さんはどれくらい出来ていたでしょうか。当院では、いたずらに投薬量を増やす前に、睡眠衛生指導を適切に行い、最低限の治療薬や自律訓練法などの活用によって良質の睡眠を確保するように努めて参ります。どうぞご相談下さい。

59.催眠の夜明け

2021.04.09

59.催眠の夜明け

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 今日は催眠療法の最初がどんなものであったか少しお話ししましょう。
 世は18世紀、モーツァルトやマリーアントワネットが生きていた時代。これが近代の催眠の最初になります。
 祓魔術で高名であったガスナー神父という方がいました。
 ガスナー神父は医者では治らない難病を、悪魔祓いによって治す霊験灼かな神父として知られていました。
 それにNoと言って現れたのがメスメルでした。
 メスメルは医者でした。ウィーン大学の医学部を出たと言いますから、日本で言えば東大医学部ですよね。相当に優秀なお医者さんです。しかも、ウィーン大学で医学博士を取っています。その博士論文は、「遊星(=惑星のこと)の磁気が人体に与える影響について」というものでした。
 動物の体に磁気がある、のは、今の時代、MRIなんて撮影道具がありますので、あるっちゃあるのですが、当時の技術で、動物の体にある磁気が、他者や病気に影響するほどの磁力があるとか、その磁力を操作することが可能、ということは立証が不可能だった様に思いますし、今でも、人体内の磁力を他者への治療的影響として使う技術はありませんし、生物の中にある磁力は大したことがなく、そこまでの強さがないと現代では信じられています。
 心電図ならぬ心磁図とか、脳の磁気刺激療法なんて今もありますので、人体に磁場があるのは間違いありませんが、いずれにしてもメスメルのは主張はSFの範囲だったと思われます。
 メスメルは言いました。祓魔術なんてインチキだ。動物には動物磁気があり、それがバランスを崩しているから病気になるのだ。惑星から影響を受けている磁気を調整することが出来れば病気は治るのであって祓魔術ではない、と。
 2人は対決し、メスメルが勝利しました。
 この頃、キリスト教を頂点とする世界から、ヨーロッパ人が地動説や、進化論などに気づきだした流れがあります。欧州では科学が産声を上げてきている時代でした。
 今となればどっちも似非科学になったわけですが、メスメルは大いに受け、ウィーンやパリで大成功を収めます。
 広い円形のプールの真ん中に等の様なポールが立っていて、患者達は、プール(バケー=磁気桶と呼ばれた)の周りにおり、メスメルの登場を待ちます。わらにもすがる思いで遠方から旅してきた患者もいました。
 待ちかねていると、厳かな雰囲気で、シャンシャンと鈴の音を鳴らしてメスメルが登場します。
 そして、メスメルが、バケーの中央のポールに触れると・・・。患者達はありがたがって痙攣を起こしてしまいました。そして、遠くから来た者ほどよく治りました。
 これは、信仰のあまり、ヒステリー性の痙攣を起こしていると考えられます。別に信心以外の何もありません。しかし、これは結果的に痙攣が起きたことによって、現代医学の電気痙攣療法と同じような効果はあったのだと思われます。
 脳が痙攣波を出すと、うつ病や双極性障害、幻覚妄想状態がリセットされて治ることがありますから、あながち、鰯の頭とも言い切れません。
 ただ、メスメルはちょっとやりすぎちゃったようです。あまりにも有名になり、ルイ16世が調査委員会を作りました。そのメンバーはラボアジエやフランクリンという歴史的な科学者によって構成されました。
 その結果、「動物磁気は存在しない」という結論が出ました。しかし、「暗示などの効果はある」とも言われました。
 メスメルは追放されスイスの湖畔で寂しく死んでいく訳です。ルイ16世もギロチンの露となって革命後に消えてしまいますね(ギロチンを作ったのは死ぬ苦しみを味わわせないように、とギヨタン博士が考案し、それがギロチンとして残っています)。
 祓魔術には勝ち、暗示とその効果は認められながらも、結局はインチキ扱いされて、催眠術の黎明を彩ったメスメルは追放されてしまい、催眠が医学の舞台に戻ってくるまでには、ジャン・マルタン・シャルコーという大学者の出現を待たなければなりませんでした。
 催眠術の栄枯盛衰はどういうわけだか、欧州であれ、日本であれ、栄枯盛衰を繰り返します。なぜなのでしょうねぇ。
 さて、今日は長くなってしまったのでここでおしまいです。
 シャルコー周辺のお話はまた別の機会にしましょう。

58.発達障害かもしれない人への対処の工夫

2021.04.08

58.発達障害かもしれない人への対処の工夫

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 労務管理をしている友人から、対象の方は発達障害があるかもしれない、というご相談を受けました。
 診察していない時は一般論でお答えするわけですが。
・話を聞いていないということでトラブルになる
 →聴覚入力が弱い可能性があり、メモを書いて渡す。
・何回始末書を書かせても効果がない
 →効果がないならやめましょう。
  むしろ正しく出来る時に褒めた方が良い。
・指示の数
 →1度に1つ。複数同時の指示は与えない
・誤学習の訂正困難
 →出来る限り最初から正しい方法を教える。訂正が困難なことを知っておく。「やっぱり」とか変更が苦手なので避ける。
・目標は肯定文で与える
 →迷惑掛けない様に、遅刻しない様にとか否定文での目標は理解しづらい(これは一般の人も同じ)
 などが有効ではないかと提案しました。もちろん、地元の病院での受診がお勧めですし、気分障害や衝動制御など異なる問題のこともありますので主治医の見立てに従うのが最良です。
 当院では発達障害で困難を抱えておられる方にもお力になれる様にして参ります。

57.つつじが咲きました

2021.04.07

57.つつじが咲きました

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 桜はソメイヨシノは1-2輪残るかどうかと言うくらい散り、つつじが7-8割の開花となりました。
 桜は八重など別の種類のものはまだ盛んに咲いているものもあるようですが、主役はつつじに移ってきたようです。注意深く見ていると、若い花はまだ緑のつぼみがそっと葉の間から花になろうとしているのに気づくこともあります。日向のつつじは散り始めもあり、日陰のつつじはこれからといった所のようです。
 四季折々の花に癒やされております。

56.将棋の駒

2021.04.06

56.将棋の駒

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 今、毎日新聞に、「無月の譜」という小説が連載されています。楽しみに読んでいます。
 最近は、元名人、永世棋聖の米長邦雄氏の伝記、「名人を獲る」という本も読んでいます。
 その中で、一つ素敵だな、と思ったのは、将棋の駒は、しまわれる時に一つの駒箱にしまわれる、というものです。  考えてみたら、囲碁の碁石は白黒別々ですし、詳しく知りませんがチェスもそのようです(子供の時に碁石を混ぜたら怒られました)。
 敵味方に分かれていた将棋の駒も、試合が終わると、仲良く一つの駒箱に収まるのです、とあります。
 探してみると、日本将棋連盟のコラムにもそのことが詳しく書いてありました。 https://www.shogi.or.jp/column/2017/06/post_167.html
 将棋にはノーサイド精神が、英語で言わなくても英語の入ってくる遙か昔から、日本人の精神として存在していたのですね。
 喧々諤々。色んな意見交換をした後は、駒箱が一つの箱にしまわれる様に、色んな相手と一緒に手を取り合えたら良いな、と改めて思いました。

55.当院のロゴについて

2021.04.05

55.当院のロゴについて

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 今日は当院のロゴのご紹介です。素敵で、私もとても気に入っています。
 まつばら、にちなんで、まつぼっくりがデザインされて、六本松の地で開業するために、まつぼっくりを6つ意匠化して頂きました。
 私も寺の子なもので、煩悩という言葉を良く聞かされて育ちました。
 町の心療内科はまさに煩悩の相談所と言えましょう。煩悩とは、仏教の教義の一つで、身心を乱し悩ませ智慧を妨げる心の働き(汚れ)を言うそうです。その数は沢山と言われて必ずしも108とは限らないようですが、まつぼっくりの茶色の部分、しっかり108にして頂きました。煩悩の数が108かは諸説あるようですが、俗説に従って108の煩悩の解決を六本松の地でお手伝いして差し上げたい・・・。そんな願いです。そして、真ん中には光が射しているようにも見えます。6つは貪・瞋・痴・慢・疑・見の六随眠にも通じますが、六道の意味もあり、ちょうど円になっているので六道輪廻のようにも見えます。
 医学、心理学の力で、様々なご相談に応えて参りたい。そんな願いで地域に貢献して参ります。

54.自殺危険率の高いうつ病患者の特徴

2021.04.04

54.自殺危険率の高いうつ病患者の特徴

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 今日は、自殺危険率のアセスメントについてご紹介してみます。
 Whooleyらが2000年にまとめたものを揚げてみます。
 自殺危険率の高いうつ病患者の基本的特徴は
①男性(女性の5~10倍)
②65歳以上
③単身(特に子供がいないこと)
④自殺に向けた特定の計画(特に致命的な内容のもの)
⑤致死的な方法にアクセス出来ること
 です。男性が多いのは男性の方が男性ホルモンの影響で攻撃的だったり、筋力などが強いために既遂をしやすいとも言われています。未遂は女性の方が多いとも言われています。筋力が弱かったり、子宮のある生き物として保護本能があるなどと言われています。
 病歴や家族歴で必要なのは
①自殺企図の既往
②精神科入院歴
③自殺の家族歴
 合併疾患の観点からは
①アルコール
②薬物依存
③パニック発作
④重度の不安
⑤重症身体疾患
⑥重度の絶望感や快楽欠如
 などがリスクとして揚げられています。
 危険因子が重なって心配な方も、重なりはないが死にたくなったことがある方も、当院でご相談頂ければと思います。

53.ACLS2020

2021.04.03

53.ACLS2020

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 今日はACLS2020を受講してきました。ACLSとは二次救命救急のリーダーになるための講座です。
 総合病院や急患センターで救急の方と対峙していた時には使えましたし役に立っていましたが、最近は精神科の当直もしていませんでしたので、久々のアップデートです。
 昔はインストラクターのお手伝いまでしていたのですが、今は昔、常に現場にいないと落ちてしまいます。
 今後心療内科クリニックなので急患対応はますます減ると思いますが逆に救急医につなぐまでは、院内での急変は院長が責任持って行う必要があると思います。心療内科医である前に医師であることを大切にしようと思い、ACLSを学び直して参りました。
 蘇生時に硫酸アトロピンはデフォルトでは使わなくなっていたり、経皮的ペーシングもしっかり練習させて頂いたり、2012年の時とはコースが更に詳しくなっていた様です。
 若い医師や看護師、救命士に混じって何とか合格させて頂くことが出来ました。
 救急対応にはならないのが一番ですが、なった時に頼りないと言われては面目ありません。
 催眠療法など特殊な治療もしますが、基本的な治療やガイドラインについてもしっかりとついていって皆様に還元出来るように学び続けています。きちんとACLS、BLSのアップデートを続けているクリニックも地域医療には貴重と思います。地域の皆様の信頼を頂ける医院になれるよう研鑽して参ります。

52.救命救急について

2021.04.02

52.救命救急について

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 私が医師になった頃、まだ、研修医としてのローテーション研修は義務化されていませんでした。
 しかし、医師としての対応に自信を持てるようになりたかった私は茅ヶ崎徳洲会総合病院という大変厳しい病院で約2年間研修を受けました。
 その中でも、同院は、今では標準化された、ACLSを日本で先駆けて導入したことで知られています。ACLS協会の青木重憲理事長から直接指導を受けたというのもささやかな自慢の一つです。
 おかげで、心療内科として勤務していても長く福岡市の急患センターの内科などで地域の夜間救急を支えていた時期も数年あります。
 九大心療内科に戻った頃も、九大で当時ACLSの講習が展開していく最初の頃で、今福岡県の感染対策本部でご活躍の、野田英一郎先生らのお手伝いをさせて頂くことも出来ました。
 救命救急での繋がりも大切なご縁です。そのご縁もあり、福間病院へ奉職した際は遅れていた精神科病院での救命救急の発展に野田先生をお招きすることも出来ました。
 私自身、定期的に医師としてACLSのアップデートをしています。
 心の悩みに何でも応えていくのは当然のことですが、一医療人として、命を支えると言うことも普段から怠らずに鍛錬しております。

51.4月になりました

2021.04.01

51.4月になりました

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 早い物で開院まで後2ヶ月となりました。スタッフも揃い着々と準備を進めております。
 内装も鋭意工事中です。内覧会も行いますので、お時間のある方は覗いて頂ければ幸いです。
 皆様にお目にかかれることを楽しみにしております。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分