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679.交通安全と心の余裕

2022.12.15

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 そろそろ交通安全週間ですね。
 昔の話ですが、私も大学生の頃、スピード違反で注意されてしまったことがあります。

 先生も走ると言われる師走、みなさまお忙しくお過ごしかとは思いますが、交通安全は常に意識して頂きたいものです。心を亡くすと書いて忙しいと言いますように、忙しいと心の余裕がなくなってしまうようです。

 そんな時こそ、横断歩道の前はしっかり止まる、一旦停止して確認する、困っていそうな車は入れてあげる、ちょっと乱暴な運転には、ぶつからない限り激怒しないように心がける、等々。

 運転が荒くなったとか、ちょっと事故しそうな感じ、と感じていたら、それは心に余裕がなくなってきたサインかもしれません。鬱や不安障害など自覚のある方は、早めにご相談頂ければと思います。

678.よく寝ることは大事

2022.12.14

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 先日は、ワールドカップの応援をしていたら3時になってしまい、しかも日本代表はPK敗退。寝不足の上、がっかりしながら休みました。翌日も仕事でしたがどうにか持ちました。
 でも明けた翌日は早めに休みました。

 Sleepと言う睡眠の世界では有名な雑誌に掲載されたRoehrsらの論文によりますと、睡眠時間が4時間などで過度の眠気がある人は日本酒2合飲んだ人よりもMLST(睡眠潜時反復検査)という数値が悪いそうです。睡眠潜時が0分というものすごく眠たい状態は日本酒3合飲んだ人よりも悪く、過度の寝不足は飲酒運転より危険かもしれないことが示唆されているようです。

 とはいえ、翌日は流石にぐっすり寝させてもらいましたので復活しています。
 
 寝不足にならぬよう、よく寝るように心がけることはやっぱり大事なんだなと感じました。どうしても眠れない方はご相談下さい。ベンゾジアゼピン系でない睡眠薬、漢方薬、自律訓練法や臨床動作法など色んなご提案が出来ると思います。

Roehrs,T.et al.Sleep 2003:26:981-985

677.ご縁と考える

2022.12.13

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 161稿、「それもご縁」に似たようなことを書きましたが・・・。

 鬱の方は、良く「しなければならない」と言うことを口癖にしておられます。
 しなければならない、
 でも、出来なかった。
 あまえているのだろうか。
 どうして出来ないのだろう。

 と言い出すとうつ病一直線です。

 しなければならないことは、やりたくないなら止めるか休む、それでもやるときは、良し、やろう、が基本です。

 確かにしなければならないことなのかもしれませんが、なすべきことになすべきご縁を頂いた、と思えば、もう少し、そのご縁を大切に、良し、やろうと思えるかもしれません。

 やりたくないことを忌避したり休んだりするのに工夫が必要な方も、なかなか良いご縁と思って切り替えられない方も、ご相談頂ければと思います。

676.千思万考

2022.12.12

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 国民的スーパースターになったと言って良いであろう、将棋の藤井聡太竜王。先日は最高位である竜王位の初防衛に成功しました。第5局が福津市、第6局が指宿市と、九州で戦われていました。
 防衛後一夜明けて色紙をひっさげ、そこに書いてあったのが千思万考。

 恥ずかしながら、この四字熟語は存じませんでした。

 書いた字の通り、とてもよく考えることですね。記録ではなく将棋の真理をひたすら追究する藤井竜王らしい言葉です。

 セラピーの世界では、当意即妙にその場で共感したり助言したりすることも重要なので、持ち時間の範囲で、1時間も2時間も考慮が許される将棋とは異なるため、ご相談内容の一言一言に千思万考することは出来ないのですが、難しいケースは、心理士や看護師とともにカンファレンスを開いて対応を考えることもあります。千思万考には至りませんが、私共も、自分たちなりに各職種の専門性を持ち寄り合って、より良い診療になるよう心がけています。

675.柊南天

2022.12.11

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 柊の花は白いと思っていましたが、大きな葉っぱで黄色い花を付ける柊があるようです。調べてみると、これは柊南天というもののようです。南天のように黒い実を付けるようです。
 普通の柊の花は銀木犀に似て、白い花を付けるのですが、これは黄色いですね。中国が原産で、日本に渡来したのは、1681~1687年(天和・貞享年間)のことで、漢名を十大功労というそうです。柊と南天の特徴を持ち縁起のよい花とされる一方、実は繁殖力が強いために危険な外来種と見る向きもあるようです。

 花束としてあったものですが、割と花がぽろぽろと落ちてくるので、珍しいですが次回は花束に入れないかも・・・。

 まだまだ知らない花や実が一杯あるようです。

 みなさんは冬の花はどんなものを楽しまれますか?

674.心改め代表へ

2022.12.10

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 サッカー日本代表の韋駄天、前田大然選手は、スキンヘッドでお坊さんのような風貌ですが、世界の選手を置いてけぼりに出来るほどに韋駄天です。足の速さもさることながら、最前線から敵のディフェンダーやらキーパーを追いかけ回し、高い位置からのプレッシングというカウンターサッカーの鍵となるフォワードです。彼の特徴は、スピードだけでなく、スプリントをしても90分の最後までスプリントを何度も出来るスタミナにあります。堂安律選手の鮮烈なゴールも、彼がキーパーまで追いかけ回して出たボールを伊東純也選手が守備を捨ててのヘディングから生まれています。

 今や日本代表でもセルティックでも欠かせない存在になった前田大然選手ですが、彼も不遇な時代はあったようです。高校時代に、同級生をからかって部活を除籍され、退寮。奉仕活動として朝5時からパン屋で働き、いつ来るとも分からない復活の日を待って一人でボールを蹴る毎日。ついに許されて、戻ってきた時、一人ではサッカーは出来ないと知り、最前線からチームに献身する選手となりました。いじめ、からかいは慎むべきものですが、反省して立派な選手になったのであれば、生まれ変わった彼の活躍を応援したいものです。

 誰でもストレスを抱えると弱い者に八つ当たりしたり、ストレスのはけ口にしたりするものです。

 それが許されることではないでしょうが、人間はそのように弱い存在です。
 いけないことをした時、きちんと反省し、周りへの感謝の気持ちを持ち直して、自分の能力を提供していくのであれば、それはとても大切なことではないでしょうか。

 一生懸命サッカーに打ち込んで代表に選ばれ、代表でも頑張っている前田大然選手をこれからも応援して行きたいと思います。願わくば決勝トーナメントでゴールを!

673.死生観

2022.12.09

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 武士道とは死ぬことと見つけたり、と言いますが、現代の心理学や精神医学では、通常の相談業務や精神療法の中に死生観が取り入れられることは少ないようです。もちろん、近年は緩和ケアや生殖医療の発展により、専門的なカウンセラーなどがアドバンストとしてそれらの勉強を深めている人もあります。
 しかし、受容・共感・傾聴などという基本の中に加え、死生観というものも必要なのではないかと私個人は思っています。

 私自身、寺の子という育ちですから、どなた様が亡くなった、これから枕経だ、お通夜だ、葬式だと、寺院は途端に忙しくなります。こたつでテレビを見ていた親がバタバタと法衣に着替えて出て行き、枕経・お通夜・お葬式・初七日などをこなしていきます。どんな人が亡くなったのかという話は、帰宅後に、こんなお人柄で、こういう功績があったとか色々こぼれ話を聞くわけです。亡くなった時のプロファイルは、他人から見たその方の人生の要約でもあります。もちろん、話し手の個人的感想というフィルターが掛かっていますが。

 法要というものは、死者の鎮魂を行う場ではなく、人は必ず死ぬものだ、という前提を大切な人が思い起こさせてくれる場であり、大切な人が亡くなった今、残された生きている人達が、仏の教えに触れる機会でもあります。これはキリスト教であれ神道であれ、鎮魂の場であれ、弔いの場であれ、人が大切な人の死に触れるということは変わりありません。

 そしてそこからは、自分の死生観・宗教観などから、自分がどう生きるかを問われる場になります。

 現代社会において、死に触れることは忌避されていて、YouTubeでもよく「タヒぬ」(死ぬを分解している)などと隠語を使っていますが表記を忌避することに何の意味もありません。死は忌避するものではなく、正面から向かい合うものです。向かい合えない自分というのは、平穏な日常について、死生観についてあまりにも回避を続けすぎているということになりますし、いざ死に出会った時に向き合えない、などということになります。

 良く死ぬためには、良く生きていく必要があります。そして、死は希望しなくても突然訪れます。

 いつか来る死ぬ日までに他愛ない日常をどう大切に生きるか、ということを本来常々考えておくことが大切です。

 忙しさにかまけて棚上げしていることの多い死生観ですが、ご自身のやり方で構わないので、時にしっかりと向き合ってみられてはいかがでしょう。

672.神田橋処方

2022.12.08

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 当院には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の方も良くいらっしゃいます。
 PTSDにはフラッシュバックと言って、辛いシーンがあたかもリアルに再生しているかのように感じる想起です。トラウマ場面が再想起されてしまうため、当事者さんご自身はとても辛くなります。

 鹿児島に日本でも指折りの精神科医、神田橋條治先生というご高名な先生がおられます。2007年の臨床精神医学に掲載されてあちこちでも処方されるようになっている処方に、「神田橋処方」というものがあります。
 桂枝加芍薬湯と四物湯を合わせた処方です。

 最初は半信半疑で使ってみたのですが、かなり多くの方にてきめんに効果があることが分かってきました。
 抗うつ薬と併用することもありますが、どうしてもSSRI等を飲みたくなくて漢方で、と仰せの方にはこれを用いることがあります。早い人は数日でフラッシュバックが半減することもあります。

 四物湯は地黄(ジオウ)が含まれていますので、体質によっては下痢をしやすかったり便が緩くなることがあり、その場合は四物湯をスキップしたり、一旦休薬します。下痢に気をつけて用いれば、多くの方で外傷体験が軽減するため、かなり手応えを感じています。ただ、この記事を書いたからと言って漢方のみで治療したいというご希望が的を射ているかと言えばそうではないとも思っています。
 市中の開業医ですので、西洋薬を飲みたくない、と言う気持ちには一旦寄り添って処方もしますが、重度の鬱の場合は抗うつ薬をお勧めさせて頂く場合もあります。それでもためらわれる場合は、納得されるまでは、漢方のみでお付き合いすることもありますが、心理検査などの結果によっては再度抗うつ薬等をお勧めする場合もあります。

 いずれにしても、この神田橋処方は良く出来た処方という手応えがあります。

 PTSDの方にはボディートークや動作法なども有効で適宜使っていますが、処方薬としてはいたずらにベンゾジアゼピン系抗不安薬を増量するよりもこの神田橋処方が活躍することが多く、症状を伺いながら、適宜調整して用いております。
 自分にも該当するのでは、と思われた方は一度ご相談頂ければと思います。
 

671.会社の人とLINE交換は控える

2022.12.07

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 バイト先などですと、LINEグループで連絡しているからLINE教えてよ、と割と気軽に言われているようです。
 LINEは今やスマホを持っている人のほとんどがやっていると思われる連絡ツールですから、なかなか断りづらいこともあります。既読判定も付くので管理者には、従業員を支配するのに便利なツールです。

 確かに、急病や事故、身内の不幸、などで急に出勤できなくなることもあるでしょうから、管理者に携帯電話なり連絡先を押さえられてしまうのはある程度やむを得ないかもしれません。

 しかし、それを良いことに夜中も休日も連絡が来たり、グループで昼夜を問わず検討会やディスカッションが始まることがあります。千歩譲って建設的なものならまだしも、批判や攻撃にさらされることすらあるようです。

 さて、これらは望ましいことなのでしょうか?

 みなさんの雇用契約書には、LINEを読んで返事をするといくらくれるとか、時給等の設定がありますか?

 LINEやメッセンジャーは、家族や恋人、親友などと連絡を取り合うツールではなかったですか?

 会社を休んで在宅にするのに休まらない、と言う人のお話を詳しく聞いてみると、休んでいるのに次々とLINEで問合せや指示が入ってきているようです。

 一旦教えてしまうと、上司のブロックはとてもしづらいですし、ブロックしたとかしないとか、省かれたとか、色々揉める元にもなります。

 雇用契約書にLINEを使うこととか書いてあって、それに署名捺印したのでない限り(もしそんなことがあったらそれはそれでとても奇異なことに思えます)、個人のメッセンジャーツールはプライベートに限るべきです。

 デートしたいとか飲みに行きたいとか、本当に友情が発生してから、友達と思う人とだけ交換する、というのが本来のあり方ではないでしょうか。また、逆に、連絡ツールに安易にLINEを指定してくる企業や委員会等の集団には、あまり関わらないようにし、またそういう勧誘は入り口で断るようにしたいものです。

670.36協定

2022.12.06

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 福岡の人間交差点、六本松には、毎日、沢山のビジネスパーソンが受診に来られます。今や当院、7~8割が適応障害か勤労者の鬱となっています。

 以前、519稿.就職先の見究め、にも少し労働組合のことを書きましたが、ベンチャーとか若い企業には労組がない所も多いです。それはある程度仕方がないのかもしれませんが、もう1つ大事なことに36協定(サブロクキョウテイ)というものがあります。
 36協定とは、労働基準法第36条に基づく労使協定のことです。労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・1週 40 時間以内とされています。これを「法定労働時間」といいます。法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結に加え、所轄労働基準監督署長への届出が必要です。

 また、36協定では、「時間外労働を行う業務の種類」や「1日、1か月、1年当たりの時間外労働の上限」などを決めなければなりません。

 さて、そんなもの見たことがない、と思われた方は、一度ご自身の会社の36協定を確認してみて下さい。
 事業主にとっては罰則つきの規定なので、必ずあるはずです。

 あるのに知らないか、ないかもしれない、となるとその会社はちょっとやばいことになります。
 あるのに知らないとなると、従業員にそれを知らせていないことになりますし、ない、となると労働基準法に違反しているかもしれません(ない、ということはほぼないと思いますが)。
 でも、周知徹底がされていないのであれば、その会社に付いている社労士が、事業主にきちんと勧告していないか、事業主が勧告を実行に移せていないかです。どちらもまずい状況になります。36協定について、説明されたことがないとか、存在を知らないのだけれども、と思われた方、その会社はちょっとやばいかもしれません。

 事業主がブラックな違反をしていないか、無理な理由で過労死ラインを超えて働かされていないか、確認するためにも、会社の36協定については良く確認しておきましょう。 

 指針の全文はhttps www.mhlw.go.jp/content/000350259.pdfをご覧頂ければと思います。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分