ブログ

68.カウンセリングにおけるテンポ感

2021.04.18

68.カウンセリングにおけるテンポ感

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 受容・共感・傾聴などと申しますが、相手に邪魔にならない聞き方をしているにも関わらず話し手がもやっとしてくることがあります。先日も心理士さんの面接をチェックしていてそういうことがありました。
 そのセッションの場合、テンポが速めの話し手に、聞き手がゆっくり待ちながら聞いていたのが一因でした。頭の回転の速い話し手には、ポンポンと良いテンポで返していくのも時には重要なことです。アレグロの相手にはアレグロの返し、ラルゴの相手にはラルゴの返し、と言うわけです。テンポ感を合わせるように助言した所、その後はとても面接がスムーズになりました。
 私どもはお話を伺わせて頂く際に、非言語的サインの観察はもとより、テンポ感にも注意して伺って参ります。

67.転移感情

2021.04.17

67.転移感情

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 以前、ご自身がとてもつらい状況になった方から、いきなり怒りを向けられたことがありました。
 なぜ自分が、会社で理不尽な目に遭わなければならないのか!なぜ自分が(身体疾患の)大病にならなければならないのか!などという悔しさややるせなさがあった時、それを悲しみに変化させる人、怒りに変化させる人、昇華させて社会貢献に変える人、などストレスの消化方法は人それぞれです。自分がストレスを抱えた時、それを周囲に八つ当たりしてしまうことはあり得ることです。自分が八つ当たりをしてしまった時、当たった相手は単にとばっちりで、本当に腹立たしいのは、どうしようもない理不尽な事象かもしれません。八つ当たりのようなものを非効果的コーピングと言いますが、非効果的コーピングを起こしてしまいがちな時に、当院では、何か改めてより建設的な解決を探せるよう、ご相談に寄り添いたいと考えています。
 このようなぶつけどころを変えることを現代では広い意味で転移と呼んでいるようです。
 転移とは、元々は、フロイト博士が提唱した精神分析の概念です。
 では、転移とはどういう感情か、原義と広義の両方を見てみましょう。
 まずは原義。Wikiを紐解いてみましょう。
--------------------------
⇒フロイトは、面接過程において、患者が過去に自分にとって重要だった人物(多くは両親)に対して持った感情を、目前の治療者に対して向けるようになるという現象を見いだした。これを転移(Transference)という。
 転移は、患者が持っている心理的問題と深い結びつきがあることが観察されたことから、その転移の出所(幼児期の性的生活)を解釈することで、治療的に活用できるとされた。転移の解釈は、精神分析治療の根幹とされている。
--------------------------引用以上
 広義については、一般向けに平易に書かれたサイコタムも見てみます。
--------------------------
⇒クライエントが、過去に重要な他者(両親など)との間で生じさせた欲求、感情、葛藤、対人関係パターンなどを、別の者(多くの場合は治療者)に対して向ける非現実的態度を転移と呼びます。
--------------------------引用以上
 幼少期の性的生活を解釈するのが妥当かは現在の実臨床では議論がある所かもしれませんが、行動パターンとして、父に取った行動を上司に対しても取りがちですし、精神分析の言葉ではありながら、その人のあり方を知る上では有用です。
 私自身、亡き父と緊張関係にあったことから、上役の男性に何となく苦手意識を持っていました。
 昨日投稿した久保千春先生はもっと大きな安心感を与える人でしたので、そのような私の転移の癖から解放して下さる方でした。
 臨床家としてのトレーニングを積んだり、歳を重ねてい行く内に成長し、私自身は自分の転移について考えたり処理が進んできたように思います。
 常に精神分析の解釈を念頭に置いているわけではありませんが、私どもプロフェッショナルは、ご相談を頂いた際に、その方に起こっている感情の流れが転移なのか、私どもの感情が逆転移なのか、等、時々落ち着いて見直しながら、カウンセリングを進めて参ります。

66.尊敬する久保千春先生

2021.04.16

66.尊敬する久保千春先生 

ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 昨日は、中村学園大学の久保千春学長のところへご挨拶に参りました。
 私が学生の頃、久保千春先生は、九大心療内科の第3代教授でした。
 若くして教授になられ、はつらつとして気鋭の先生でした。
 三重大学から見学に来た私が、当時、九大心療内科では絶滅していた、催眠をしたいと申し出ると、「今はやる人はいないが、失敗などがあれば僕がしっかり守るから、一生懸命やってみなさい」と仰いました。
 政治家が秘書のせいにして雲隠れするご時世に、どこの馬の骨とも分からない学生に、そこまで言って頂けることで、この人は一生ついていくべき先生だ、と心に決めました。
 私自身は、先祖代々三重県で、母方も東北地方で、九州には縁もゆかりもありませんでしたが、久保先生の愛情と指導力だけを頼りに、九州にやってくることに致しました。我ながら、人を見る目があったと思うのは、その後久保先生は、九大病院長、総長として管理職としての手腕も発揮されたということです。当時は誰も分からなかったと思いますが。
 現在は、九大総長を退任され、中村学園大学の学長として招聘されて指導に当たっておられます。
 久保千春先生の素晴らしい所は、私がコメントするのも僭越ながら、実績は言うまでもなく、人物の大きさと心の純真さと言えましょう。どんな込み入った話をする時も一切邪気がありません。どうしたらこんな風になれるのかと憧れている内に、私はいつの間にか白髪頭になってしまいました。
 私が、診療をする際にいつも心の中で心がけていることがあります。
「いつも心に久保千春」。
 教授室や学長室を訪れると、久保先生は「お、松原君、元気にやっとるか?」とニコニコして迎えて下さいます。  その時の安心するようなほっとするような気持ちを当院にいらっしゃる方にも持って頂きたい。
 さあ、診療を始めよう、という時には、「いつも心に久保千春」。不安を抱えて当院の門を叩く方に、少しでも安心して頂けるように、久保先生と同じ優しい気持ちで、迎え入れられるように心がけています。
※久保先生のお写真掲載はもちろんご承諾を頂戴しております。

65.独立記念日

2021.04.15

65.独立記念日

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 結婚して円満な生活が送れるのはとても幸せなことですが、夫婦というのは不思議なもので、なかなかそう行かないこともあるようです。
 ずいぶん前に非常勤先で診させて頂いた女性がいました。
 ある大都市圏から、地方都市に逃れてきた方で、旦那さんからの酷い扱いから逃げてきたのでした。健康保険も使うと居場所がばれるからと自費で受診されていました。
 その頃、私もまだまだ若手の頃でした。しかし、自分の診療が、自費診療を受けるに値するものでないといけない、という緊張感があったのを覚えています。彼女は、身を持ち崩すこともなく、手堅いアルバイトで、一日の終わりにあちこちのコンセントを抜きながら、倹約して暮らしていました。
 ずいぶん、NLP(神経言語プログラミング)の技法を使用してトラウマケアを行った所、次回の夢では、かなり好転している報告があり、徐々に配偶者への恐怖感が取れていきました。大分気持ちの面でも自立した頃、夫と連絡が取れたことがあり、夫の方から離婚の申し出があり~どうやら「離婚したらお前も困るだろう?」という意地悪な気持ちで離婚を申し出たらしいのですが、彼女にとっては渡りに船。「ありがとうございます。私もそうしようと思ってました」とあっさり捺印して離婚が成立。
 受診してきた彼女は、「この日を、私の独立記念日にしようと思います」と晴れやかに仰いました。その後まもなく終診となりました。
 離婚記念日を独立記念日にしよう、とセラピストがリフレーミングするのはこの場合、業界で言う、「嫌らしさ」がつきまといます。つまり、セラピストが意図的に改善方向に無理に誘導すると言うことです。
 ご自分で決断して、ご自分で独立記念日と名付けられました。主治医に言い換えられて言い含められたのでは真の独立ではないですものね。
 その方が今はどこで何をされているか分かりませんが・・・。お役に立てて良かったと思っています。自費に値する治療、に緊張感を持って臨んだ中、女性の自立に一助を提供出来たのは良かったです。
 当院では、離婚を推奨するわけでもありませんし、婚姻の継続を推奨するわけでもありません。お客様のご相談なさりたい方向に寄り添って、専門家としてベストと思われることについて一緒に考えさせて頂く姿勢です。弁護士事務所ではないので法的なアドバイスは出来ませんが、悩みや不安等心のご相談は何でもご相談頂ければと思います。

64.適切に休むこと

2021.04.14

64.適切に休むこと

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 先日働きすぎてうつっぽくなったと言って受診していらした方がおられました。
 実際にうつ病のスコアはうつ領域でした。まつばら心療内科でもこの方針に従い、しっかりと心理検査をして評価して参ります。
 休業診断書をお出しして、休むようお伝え申し上げた上で、抗うつ薬を初期投与量差し上げました。
 1ヶ月ほどして、ずいぶん改善していました。
 やはり、働きすぎたり、家族との交流の時間を減らしてしまうと、人間うつになるようです。
 当院では、適正な評価を行った上で、必要ならば休業診断書もお出しします。その上で、うつになりにくい考え方のご提案、お薬、生活指導など総合的に治療を提供して参ります。
 新年度が始まり、環境の変化でストレスをお感じの方がいらっしゃったらぜひご相談下さい。

63.鳥と張り合う?

2021.04.13

63.鳥と張り合う?

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 自然豊かな病院でオカリナを吹いていると、小鳥も恋の季節なのか、一生懸命対抗して鳴く鳥がいました。
 彼らのライバルになるくらい綺麗に吹けていたら嬉しいのですが。
 オカリナは表記より実音は1オクターブ高いのが普通です。私自身はオカリナの透き通った音色が好きで吹いています。

 最近は別れを惜しんでか、昼休みの練習に何名かの方がぽつぽつ聞きに来て下さいます。

62.ハナミズキが咲きました

2021.04.12

62.ハナミズキが咲きました

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 つつじが咲いたかと思ったら今度はハナミズキが咲いているのに気がつきました。
 白やらピンクのものやら色々あるようです。
 歌にもハナミズキはあって、人気ですね。
 オカリナのリクエストでも時々頂戴します。
 こんな花だったんだ、こんな季節に咲くんだ、とバラバラの知識がまとまって来るとちょっと嬉しいです。

61.うつ病の維持療法

2021.04.11

61.うつ病の維持療法

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 院長は精神保健指定医・精神科専門指導医でもあるので、うつ病や精神障害にも対応しております。今日はうつ病の維持療法についてご紹介させて頂こうと思います。
 25歳以上の人に関しては、通常、抗うつ薬を使用します。
 効果判定には最大用量にしてから、最大8週間まで経過を観察することにしています。それで上手く行かない場合は通常他のお薬に変更します。最小量から始めて最大量に行くまでに4錠必要な薬は4週掛かりますし、2錠の薬は2週掛かるでしょう。10~12週掛けて効果を判定していくことになり、一つのお薬が効果的かどうかを判断するのにざっくり3ヶ月くらい掛かります。それでダメなら次の薬を同様に、それでもダメならまた同様に、としていくと、3つめのお薬の効果判定が終わるのに9ヶ月ほど頂く場合があります。それでも効かない時は2剤を組み合わせることも検討していくことがあります。
 そして、効果があった時に元気になったから通院をやめてしまうという方が時々おられるのですが、ガイドラインによれば、26週とか、4~9ヶ月以上は、急性期と同じ用量で維持することが推奨されています。
 再発例は2年以上の維持療法が推奨されています。
 このように、維持療法は再発防止に効果的であり重要です。
 当院では精神療法も併用しながら、ガイドライン通りの維持療法を進めて参ります。安心してご相談頂ければと思います。
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/20190724.pdf

60.睡眠衛生

2021.04.10

60.睡眠衛生

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 先日、睡眠薬を忘れてしまったら、2日間全く寝入れず、大変だった、と言う訴えがありました。睡眠薬を常用されている方の反跳性不眠だと思われます。
 ガイドラインでは、これらには認知行動療法の併用などで漸減中止をしていくように書かれています。
 その中の弛緩法などは、筋弛緩法や臨床動作法、自律訓練法などの併用の方がより効果的と思いますし、当院ではその指導が出来ますので、より積極的に取り組みたいと思っています。
 さて、不眠に対して、睡眠薬を適正に使うことは大切なのですが、その前に睡眠の邪魔になることをしていたらやめて頂いたり、より適切な準備をする援助をしていくのも大事なことです。これらを、睡眠衛生指導と言います。  具体的に見てみましょう。
1.定期的な運動
2.寝室環境
3.規則正しい食生活
4.就寝前の水分
5.就寝前のカフェイン
6.就寝前のお酒
7.就寝前の喫煙
8.寝床での考え事
の8つが挙げられています。
1.定期的な運動とは適度な有酸素運動なので、100mの全力疾走を繰り返すのではなく、ブリスクウォーキングなど酸素を取り入れる運動を適度に入れた方が寝付きやすいと言われています。
2.寝室環境:
 騒音、戸締まり、遮光カーテンで光が入ってこない様にする、温度調整を適温にする、などがあります。遮光カーテンで光を遮ってスマホのブルーライトを見ている様では仕方がありませんから、スマホも見ない方が良いでしょう。
3.規則正しい食生活は、空腹過ぎると睡眠が妨げられるのだそうです。睡眠前に軽い炭水化物を取るのは睡眠の助けになるそうですが、ダイエット中の方にはきついですよね・・・。いずれにせよ消化の良い物が良いのでしょうか。脂っこい物や胃もたれする物は避けるべきと言われています。
4.水分:
 摂りすぎは夜間のトイレ回数が増えてしまい得策ではありません。
5.就寝4時間前からカフェインの入ったものは摂らないようにと言われています。
6.飲酒:
 寝酒は睡眠ステージの深い層に入りづらくなり、熟眠を妨げます。
7.喫煙
 ニコチンには精神刺激作用があります。夜は喫煙を避けましょう。
8.寝床での考え事:
 寝床では考え事はやめましょう。考えるのはよく寝て明日の朝!
 以前のコラムに書いたように、自分によしよししながら、自分がとりあえず何とか寝床に辿り着いたことを褒めましょう。
 お薬の前に必要な睡眠衛生は8つもあることが分かりました。皆さんはどれくらい出来ていたでしょうか。当院では、いたずらに投薬量を増やす前に、睡眠衛生指導を適切に行い、最低限の治療薬や自律訓練法などの活用によって良質の睡眠を確保するように努めて参ります。どうぞご相談下さい。

59.催眠の夜明け

2021.04.09

59.催眠の夜明け

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
 福岡市の六本松に2021年6月1日から心療内科のクリニックを開設させて頂きます、松原慎と申します。
 今日は催眠療法の最初がどんなものであったか少しお話ししましょう。
 世は18世紀、モーツァルトやマリーアントワネットが生きていた時代。これが近代の催眠の最初になります。
 祓魔術で高名であったガスナー神父という方がいました。
 ガスナー神父は医者では治らない難病を、悪魔祓いによって治す霊験灼かな神父として知られていました。
 それにNoと言って現れたのがメスメルでした。
 メスメルは医者でした。ウィーン大学の医学部を出たと言いますから、日本で言えば東大医学部ですよね。相当に優秀なお医者さんです。しかも、ウィーン大学で医学博士を取っています。その博士論文は、「遊星(=惑星のこと)の磁気が人体に与える影響について」というものでした。
 動物の体に磁気がある、のは、今の時代、MRIなんて撮影道具がありますので、あるっちゃあるのですが、当時の技術で、動物の体にある磁気が、他者や病気に影響するほどの磁力があるとか、その磁力を操作することが可能、ということは立証が不可能だった様に思いますし、今でも、人体内の磁力を他者への治療的影響として使う技術はありませんし、生物の中にある磁力は大したことがなく、そこまでの強さがないと現代では信じられています。
 心電図ならぬ心磁図とか、脳の磁気刺激療法なんて今もありますので、人体に磁場があるのは間違いありませんが、いずれにしてもメスメルのは主張はSFの範囲だったと思われます。
 メスメルは言いました。祓魔術なんてインチキだ。動物には動物磁気があり、それがバランスを崩しているから病気になるのだ。惑星から影響を受けている磁気を調整することが出来れば病気は治るのであって祓魔術ではない、と。
 2人は対決し、メスメルが勝利しました。
 この頃、キリスト教を頂点とする世界から、ヨーロッパ人が地動説や、進化論などに気づきだした流れがあります。欧州では科学が産声を上げてきている時代でした。
 今となればどっちも似非科学になったわけですが、メスメルは大いに受け、ウィーンやパリで大成功を収めます。
 広い円形のプールの真ん中に等の様なポールが立っていて、患者達は、プール(バケー=磁気桶と呼ばれた)の周りにおり、メスメルの登場を待ちます。わらにもすがる思いで遠方から旅してきた患者もいました。
 待ちかねていると、厳かな雰囲気で、シャンシャンと鈴の音を鳴らしてメスメルが登場します。
 そして、メスメルが、バケーの中央のポールに触れると・・・。患者達はありがたがって痙攣を起こしてしまいました。そして、遠くから来た者ほどよく治りました。
 これは、信仰のあまり、ヒステリー性の痙攣を起こしていると考えられます。別に信心以外の何もありません。しかし、これは結果的に痙攣が起きたことによって、現代医学の電気痙攣療法と同じような効果はあったのだと思われます。
 脳が痙攣波を出すと、うつ病や双極性障害、幻覚妄想状態がリセットされて治ることがありますから、あながち、鰯の頭とも言い切れません。
 ただ、メスメルはちょっとやりすぎちゃったようです。あまりにも有名になり、ルイ16世が調査委員会を作りました。そのメンバーはラボアジエやフランクリンという歴史的な科学者によって構成されました。
 その結果、「動物磁気は存在しない」という結論が出ました。しかし、「暗示などの効果はある」とも言われました。
 メスメルは追放されスイスの湖畔で寂しく死んでいく訳です。ルイ16世もギロチンの露となって革命後に消えてしまいますね(ギロチンを作ったのは死ぬ苦しみを味わわせないように、とギヨタン博士が考案し、それがギロチンとして残っています)。
 祓魔術には勝ち、暗示とその効果は認められながらも、結局はインチキ扱いされて、催眠術の黎明を彩ったメスメルは追放されてしまい、催眠が医学の舞台に戻ってくるまでには、ジャン・マルタン・シャルコーという大学者の出現を待たなければなりませんでした。
 催眠術の栄枯盛衰はどういうわけだか、欧州であれ、日本であれ、栄枯盛衰を繰り返します。なぜなのでしょうねぇ。
 さて、今日は長くなってしまったのでここでおしまいです。
 シャルコー周辺のお話はまた別の機会にしましょう。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分