619.コンプリメント
2022.10.15
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
セラピーの世界にはコンプリメントという言葉があります。ブリーフセラピーや、行動療法系で用いられているようです。クライエントの頑張りや適切な対処法などを「褒める」時に、コンプリメントが用いられます。
「ぶち切れずに話し合うことにしました」
「良く辛抱されましたね」
みたいな所がコンプリメントでしょうか。
もちろん、クライエントの方を尊重した方が良いですし、非難するよりは良いのですが、コンプリメントは本当にコンプリメントとして機能するのかということを最近考えています。
医師や心理師は専門職ではありますが、知識や介入は専門家として行いますが、人権や人格はお客様と対等です。
専門職がお話を伺ってコンプリメントを行うと、専門家は話し手を評価する、と言う態度に出たことになってしまい、褒められる人、褒める人、と言う関係はフラットな物ではありませんから、そこが難しい所です。
また、露骨なコンプリメントは却って逆効果と言うこともあります。
最近行ったワークショップで、クライエントのリソースを信じる、という意味においては、この人なら何とかなるはずだ、という信頼をしながらお話を聞いていた所、その態度自体が大きなコンプリメントになったようです。
若い頃に習った基本的な技法についても、常に見直し、意味性を考えながら練り直しています。