611.抗うつ薬と自動車運転
2022.10.07
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
最近は、SSRI、SNRIを中心に新しい抗うつ薬が出て、また非常に社会復帰にも有効だったりして、各抗うつ薬がしのぎを削ってその効果を競い合っています。
一方で、これらの能書には、「自動車運転等危険を伴う作業等はさせないこと」という注意書きが書いてあります。
厚労省がそう決め、製薬会社も必ず記載しています。こうなると説明しなかったら医師の責任になりますので、私も必ず運転はなさらないように注意喚起させて頂いています。実際には、運転していました、と告白されてしまう方も沢山いらっしゃるのですが、もし事故を起こした場合、通常より重い責任を問われかねませんので、くれぐれも慎重に行動して頂ければと思います。
内服の期間は1年間の維持療法をきちんと守るならば、1年半から2年になることもあり、そんなに長期間運転できなかったら生活できないよという意見もありましょうし、実際に運転しておられる方もいます。車社会の田舎にとっては、非現実的な注意とすら言えるかもしれません。
厚労省や製薬会社も自分たちが訴訟で負けることへの防御だけではなく、現実生活に即した注意喚起や、禁止するならするで、それをカバーするだけの福祉の提供なども一緒に考えてもらえると良いだろうにとは思います。
なお、どうしても抗うつ薬は飲みたくない、という方もいらしており、そういう方には漢方薬や抗不安薬を差し上げて様子を見たり、精神療法とカウンセリングなどで拝見させて頂く場合もあります。もちろんSSRIやSNRIが入った方が治療の足は速いですから、抗うつ薬を忌避した治療は少しゆっくりになるのですが、挙児希望の女性や副作用を目の当たりにした経験がある方などにはそのようなお声にもお応えしながら治療をさせて頂いています。