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1267.時間割引率

2024.07.29

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 マシュマロテストのところで述べた続きです。
 やる気・協調性・リーダーシップという非認知能力は、社会で成功するために重要なことが知られています。最近は経済学でもこれらの能力の効果が分析されています。
 最近の実証研究では、高校時代のリーダーシップの有無や忍耐強さや協調性が所得にプラスの影響を与えることが示されました。
 なので、大学の推薦入試に生徒会長をしていたなどが加味されるのは、根拠のあることと考えても良さそうです。

 このような認知能力の一つに時間割引率があります。
 時間割引率とは、将来のことをどの程度割り引いて考えるかという程度を示すものです。

 実は、学歴が高いほど、所得が高いほど、時間割引率が低いと言うことは実証されてますし(1)、親の貯蓄行動が子供の教育や貯蓄に影響を与えていることを示した研究もあります(2)。米国のデータにて親子の資産間に相関がある(3)ことも明らかになっており、ウガンダのデータでは高学歴者ほど時間割引率が低い(4)ことも示されています。
 ただ、相関関係が因果関係とは限らないので注意が必要です。

 今回は、なかなか普段目にしない、時間割引率という言葉を紹介し、目先の利益を我慢して将来増える利益を狙える身の置き方が行動経済学的にも色々実証データがあるというお話をさせて頂きました。

 詳細をお知りになりたい方は大竹文雄著、「競争社会の歩き方」などご参照頂ければと思います。

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