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1242.効果的な陳述方法

2024.07.04

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 心身医学総会では、行動経済学の先生の話もとても面白かったです。
 医学の世界ではインフォームドコンセントという概念があります、その、インフォームドコンセントには、「患者さんは知識がないだけなので、正しい知識を提供すれば正しい決断が出来るはず」、という前提があります。これは行動経済学の先生が言うのは驚くべきことに古典経済学と同じ考えだというのです。つまりは、古い考え方で今は正しくないと言うことです。
 それどころか、正しい知識を提供しても、情報過剰だったり、参照点のバイアスが掛かると、通常判断を誤り得るという前提の方がリーズナブルだというから驚くべきことです。

 例えば、手術の成功率は90%という事実があったとして、それをお伝えする時に、

「90%成功する手術ですが受けますか?」
と聞いても良いし
「10%は失敗する手術ですが受けますか?」

と聞いても、それは同じことのはずなのですが、なんと陳述の仕方が違うと前者と後者では、実際に受ける決断をするかは統計学的に差が出てしまうのだそうです。

 皆さんもなんとなくは予測されるとおり、90%成功、と記述して提供した方が患者さんは安全に手術を受け、手術を受けて回復するというメリットを享受できるというのです。

 提供する際の陳述の仕方には、結果に差があることがあるため、受けることを促したい場合はポジティブな印象になるような陳述方法が必要だと言うことです。私は催眠療法の専門であり、暗示の効果性という観点からも、できるだけポジティブな言い回しを普段から心がけることが大事と申し上げておりますが、全く別の学問、行動経済学の観点からもそれは根拠のある正しさであったと知り、大いに驚き、感心した次第です。

 著者の大竹文雄先生の本は何冊かアマゾンでポチりましたので、紐解いて読んでみたいと思います。皆様も、常々、脳内言語や独り言も、ポジティブな言い回し、心がけてご覧になりませんか。

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