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1065.選ばない自由

2024.01.13

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 心療内科にお出でに方々は、症状や悩みなど色々事情を抱えてご相談にいらっしゃいます。
 虐待的背景だったり、配偶者や親戚間のトラブルだったり、パワハラ・セクハラだったり、労働基準法を逸脱した使役環境であったり、経済的苦境だったり、学業や成績の問題だったり、消化器症状だったり、と様々です。

 中には事情で、当方が専門医としてベストであろう選択肢を提供しても、お聞き入れ頂けないことはしばしばあります。

 お酒を飲み過ぎる方に控えてほしいと言っても、漁師さんとか、営業の方とか、文化的に飲むのが前提なんて方は、生きてきた文化の否定になりかねないのでなかなかうんと言ってくれませんし、経済的事情で治療を続けられないと述べられる方もおられます。
 医師として患者さんにはベストを尽くすのが当然ではあるのですが、ベストな選択肢は本来これですよ、と申し上げた後は、御本人がそれを選ばない自由もあります。

 SSRIが良いだろうと思っても、飲みたくないとか、漢方薬で何とかならないかというお申出は割と多いです。

 冷静に考えてみますと、休業診断書で休業して頂けるだけでも抑うつ気分が良くなることもままあります。
 開業医というのは毎日やっていて、困った時に頼れるドクターなので、一旦無投薬でやってみて、音を上げた時にまた手を差し伸べると言うのでも良いのかな思っています。

 第2、第3の選択肢を御本人様が採られたとしても、それもその方の決断なので、それはそれで尊重しつつ、関係を維持しつつ、折を見て聞き入れてくれそうな時にまたそっとベストの選択肢を提示することもあります。自己流でお試ししてみて、ダメだった時はこちらのお勧めも受け容れやすくなります。

 当院では、御本人の自由も尊重した上で診療に当たらせて頂いております。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分