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1308.心療内科だからこそ内分泌疾患に注意

2024.09.08

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 当院では、出来る限り初診時の採血をお勧めしています。
 心療内科、精神科でも採血があるの?なんてことを聞かれることがありますがもちろんあります。

 精神科でも例えば、双極性障害の治療薬である炭酸リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなどは血中濃度の定期測定が推奨されています。特にリチウムは過剰になると、腎障害等色々な遺贈障害を起こすため、内服を始めたら、3~4ヶ月連続して濃度測定を行います。バルプロ酸でも肝機能障害や汎血球減少を起こしやすいため、採血は必須になります。

 それだけではなく、初回の採血には、お酒を飲まれていればアルコール性肝障害がないかをチェックする意味もあります。また抗精神病薬は糖尿病を起こすリスクが高いため、血糖値等の測定も重要です。

 よく、健康診断を受けてきた、と主張される方もおられますが、健康診断ではだいたい、甲状腺や副腎皮質機能について測定されることはありません。鬱なんじゃないか、という風に言われても、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能低下症が見つかることもあります。
 初回の当院の採血で、家族性副腎皮質低下症を発見し、大学病院に依頼したケースもありましたし、下垂体に腫れが見つかったケースもあります。甲状腺機能低下症も割と多くて、近所の専門医を紹介させて頂いています。

 逆に他院であまり採血もなく漫然とお薬が出される場合もあるのですが、調べてみたら内科疾患だった、という落ちがたまにあります。見落としを防ぐためにも、採血を行う意義は高く、福岡徳洲会の副院長だった松林先生は、内分泌学の専門医として、この重要性を学会で何度も発表されており、私もそれを拝聴しては、きちんと検査を行って見落としを防ぐよう努力しています。

 どうぞご理解賜りますようよろしくお願いいたします。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分