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1002.親に何を求めるか?

2023.11.10

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 子供を作れば子供が出来ます。もっとも、現在不妊治療を受けているのは10組に1組のカップルがいるそうですから、簡単に出来ない、という議論もあるかもしれません。それは判りますが本稿ではそれについては触れません。

 婚約、結婚、子作りと、正規ルートに乗った子供であっても、親との相性が良くないこともあります。そもそも、性的に活発な時期、人間性が完成していることはありませんから、親自身が未熟なままに親になってしまうのは生物としての宿命とも言えます。授かり婚などで準備状態が付属しているまま親になってしまったケースもあるかもしれません。
 どのような手続きが良いとか悪いとかではなく、命が誕生してきた以上、そこからベストを尽くすことが望ましいでしょう。

 けれど、努力を信じることが出来なかったり、ベストを尽くすことを生きる是としていない人もいますから、子供を疎んじてしまったり育児を上手に出来なかったり、八つ当たりの対象にしてしまう親もいます。

 好ましくない行動を多く取った親に対して、子供の側がどうしても生産的な感情を持てないのも、それも判る話です。

 良くない環境で育っても立派になって、いつの間にか社会的にも経済的にも、能力的にも親を追い越してしまう子が、立派になったのに親を許せないまま生活していることもあります。

 人間何十年も生きていれば、親のまずい所もよく見えてくるものです。

 毒親とか、色んな言葉がありますが、賛同しかねる子育てをしてきた親に何を求めるか?という問題は、自分に孫がいるような歳になった人にも課題として積み残されていることがあります。

 そういう親に何を求めるか?という問題には、1点勝負だと思っています。
 つまり、命をくれたことへの感謝のみ。と言うことです。

 親の側は、十分ではなかったかもしれないながら、ミルクをやったりおむつを替えたりしてきたかもしれませんが、不適切な発言や暴力などがあって、関係がこじれていた場合、親がするべき当たり前のことへの感謝は、なかなか子供の側にカウントされないものです。
 そして、生んでくれたこと(父親なら種をくれたこと)への感謝のみで、後は全く期待しない、という立場を得てみると、少しでもマシなことをしてくれれば、それに関しては良い評価が出来ることもあります。ろくなことをしない、関わるほどしんどいことが増える、という場合もありますから、命をくれたことのみの感謝、と絞っておくのは一つの方略ではないかと思っています。

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