868.記憶の蓋
2023.06.30
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
解離性障害などで、どうしても一部の記憶が取り戻せないという場合があるようです。
自分の姓を旧姓で認識していたりとか、職業も事故以前のものと認知していたりとか。
催眠の天才ミルトン・エリクソンは、贈り物が何だったのか忘れてしまった女性に対して、催眠で自動書字などを用いてあの手この手で記憶の再想起を手伝ったことを論文にしているようですが、大阪城攻略のように外堀を埋めたり、一見関係なさそうな所の断片を集めていくことは出来たようです。
とても嫌な思いや辛い思いがあり、記憶の蓋を開けたくない人には無理に開けようとせずに、現在の治療資源で適応的な行動を取れるような援助をしています。
そうすると、日常が徐々に機能するようになり、その結果として、思い出しても差し支えないことに関しては天岩戸ではありませんが、少しずつ蓋が開いていくようです。一応催眠療法なんて手段もあるにはあるのですが、当院では、心理的な記憶障害の場合は無理なことはせずに、生活を機能的にすることから援助させて頂いています。