130.否認を越えて
2021.06.17
130.否認を越えて
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。
1日より六本松地区で開業しましたまつばら心療内科の松原慎と申します。
精神病の方の行動の一つに否認というものがあります。症状が出ていることを面接時に否認するものです。
精神科医は、否認を鵜呑みにして振り回されているウチはまだ駆け出しで、否認しているなと思えば、あの手この手で次の矢を繰り出していきます。
先日も、複数の医師がある病気だと判断しているのに、ご本人も否認しており、ちょっと紹介状なしではどうだか分からないな、という方がいらっしゃいました。しかし、こちらも、あの手この手で伺っていった結果、実は否認が強いだけで症状はあるらしい、と言うことが分かり、やっぱりお薬をお勧めすることにしました。否認と同時にあるのは、「病識がない」=ご自分が病気だという自覚がないこと、です。
病識がなく否認されるというのは一つのパターンですので、少し掘り下げていくと、矛盾が出てきます。そこを怒ることなく、どちらなのでしょうね、という風に聞いて参りますと、だんだんどっちなのか分かって来ることがあります。
私はそれほど鋭いタイプではないので愚鈍に一つ一つ質問を重ねていくのみなのですが、慎重に精神症状評価を重ねて参りますと、浮き彫りになってくる疾患があります。完璧かは分かりませんが丁寧にほぐした結果自分がその日一番信じられると思ったものを結果に残すことにしています。
愚鈍でも丁寧にやることは天才の神速に勝るのではないかと考えております。