440.辿り来て未だ山麓
2022.04.20
440.辿り来て未だ山麓
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。日々元気に営業しております。
将棋の藤井聡太竜王が、自分の現在地を「森林限界の手前」という言い得て妙な言葉で表現されたのは有名な話です。何とか、「頂点」とか「何合目」、みたいな下世話な数値を引き出したい嫌らしいインタビューを、臆せず、バカにもせず、誠実に、ひたすら自分に対する謙虚さとして表現し、尚且つ、回答することから逃げていない、というのが何ともすごい所ではないでしょうか。
藤井聡太竜王は幼少期、「名人を超す」と言ったといいます。
王将戦で名人相手に差し込み(実際には再現されていないが制度としては差し込み制は残っていて、3連勝すると駒落ちになるという規定)を実現した棋士には、升田幸三と言う人がいます。実力制第4代名人と呼ばれる人でもあります。升田幸三元名人も「名人に香を引いて勝つ」と言い、実際に大山名人を香落ち(ハンディ戦)で勝ってしまいます。
その升田幸三元名人の言葉に、「辿り来て未だ山麓」というのがあります。新手一生という標語を持ち、次々に新戦法を披露していった創造性もある天才升田幸三元名人。その名人相手に香車を引いて勝った人が、森林限界の手前と同じで、そこまで来ても将棋の山の麓に来た程度である、という謙虚さを示します。
私自身は、色々資格は取得してみたものの、人の心を支えたり、変化を生み出す際に出来る技術もまた山麓ではないかと思っています。日々、精進です。