1156.妊娠期の薬物療法
2024.04.09
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
一般的に妊娠期に最も懸念されるリスクは、薬物による催奇形性と思われます。催奇形性のある薬として知られているのは、バルプロ酸、カルバマゼピン、炭酸リチウムです。これらは、てんかんや気分障害の方には重要なお薬として知られています。
先天異常の一般的な発生率は3%とされ、先天異常のリスクが増える割合は、バルプロ酸で3倍、カルバマゼピンが1.3倍、炭酸リチウムが2倍と言われています。
そのため、これらのお薬は第1三半期(妊娠12週まで)には使用しない方が良いと言われています。
また、バルプロ酸は出生後の児の認知機能の低下や自閉スペクトラム症、ADHDと関連することも指摘されています。
これらのリスクから、妊娠可能性のある女性にはバルプロ酸は安易には処方しない姿勢が重要です。
他方、使用しないことによるリスクもあるため、原則的に治療を継続することが重要視される場合もあります。
他の異常も含めて次項に続けて取り上げていければと思います。