978.能力を受け容れるということ
2023.10.17
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
親が高学歴だったら子もそうかと言えば、決してそうとも申せません。逆に鳶が鷹を生むこともあります。
親という生き物は、生殖行為は出来たかもしれませんが、決して人間が出来ているわけではありません。むしろ、生殖活動が活発な時期は、まだ人間性の陶冶が進んでいるとは言いがたいわけで、結婚だって勢いがなければなかなか踏み込めないものです。
医学部なんてとこにいますと、一族郎党皆医者、とか、一族郎党が皆、同じ科なんて人達もいます。それはそれですごいなぁとも思いますが、子どもたちに進路選択の自由があったのかと思えばちょっと空恐ろしい話でもあります。医者にならなければ人間でない、かのような教育をしている所もあるようですし、そこが破綻してご相談にいらっしゃるケースもあります。逆に、医学部でなくても両親高学歴の子供から、普通の子や少し勉強が苦手な子が生まれてくることもあります。
人間、ある程度は努力で何とかなるとは言え、IQ自体が親とかなり異なる(低い)子も中にはいます。
そういう子供の能力を受け容れて、それもその子だと思える親の場合は良いのでしょうが、同様の努力を強いたり、あるいは同胞の兄姉・弟妹と比較したり、同じだけの学習機会を与えたのにお前は・・・、と言う論調になってくると子供は責められるばかりになります。それは虐待とまでは行かないかもしれませんが、子供に、自分の居場所感を家庭内に持てなくさせてしまっている行為となります。
知能検査は何もIQで全てを語る訳ではありませんが、目安にはなるものです。ケースバイケースであって画一的な援助はいたしませんけれども、低めの子に高学歴の親が同様の結果を求めてプロ野球選手に言うような結果を求め続けることもまた問題があります。
能力も、性格傾向も、発達も個性として、その子のものとして能力を受け容れることをして頂くことが、子の安心、親の切迫感を減らしていくことになります。なかなか望み通りにならないことを受け容れるって難しいのですが、そういう時こそその子が自分の頑迷さを改善するための天の使いなのかもしれません。
事実を受け容れるって難しい時もあるのですが、能力や個性を受け容れてあげることでより良い未来につながるものだと思っています。