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977.アレキシサイミア

2023.10.16

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 米国の精神分析家シフネオス先生は、アレキシサイミアという概念を提唱されました。

 失感情症などと訳されていますが、要するに、ご自身の気持ちが本当は腹立たしいのか悔しいのか、悲しいのか、感じる力がない、と言うような意味と解釈して良いでしょう。ない、とまで言い切るのか、鈍くなっている、と陳述するかは余地のある所かもしれません。

 心療内科に来られる患者さんの全てではありませんが一部はアレキシサイミアな傾向があると言えます。

 本当は深い悲しみや悔恨、あるいは義憤や怒り、時に恨みなどを持っているにも関わらず、「お利口さん」な生活態度で過ごし、口では「何ともない」と言います。それどころか、「周りや親は良い人」「むしろ感謝している」などとも言います。親への怒りや反発を、なき物にした結果、反抗期がないなんて場合もあります。

 中には親なども、ストレスに「負けた」と認められなかったり、ストレスに負けるのは弱い奴だ、と決めつけてしまってたりする場合もあります。

 しかし、勝った負けたではないのです。

 嫌なものは嫌だし、辛いものは辛いのです。

 それが表現出来ないでいると、所謂「抑圧」という機制が働いてくるわけです。
 抑圧が嵩じて、そういう内的感情がなかったことになってしまうのをアレキシサイミアと言います。

 アレキシサイミアになって破綻してくると、心因性発熱になったり、ちょっとしたことで食中毒に陥りやすかったり、IBS(過敏性腸症候群)になったりします。

 そういう方にはヴェンチレーションと言って、感情の風通しを良くしたり、発散させることもあれば、ご自身の感情面にアクセスして解放していくこともあります。一般の方より少し骨が折れるわけですが・・・。

 様々な生い立ちや環境によって、アレキシサイミアになっているのではないか、と思われた方、ご相談頂いてはいかがでしょう。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分