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970.アネクドート

2023.10.09

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 アネクドートは逸話、と称するもので、ミルトン・エリクソンに端を発するものと言われています。
 エリクソン自身は、技法の解説を行わなかったことが有名なので、弟子と称する人々が、メタファーだとかアネクドートだとか色々技法に名前を付けて伝承しています。

 メタファーに関しては、実はオワコンであることが知られています。

 たとえ話っていうのは、始めた瞬間に、それに内包される「説教臭さ」が聞き手であるクライエントにバレバレになってしまい、効かないどころか反発されるという結果を生みます。

 アネクドートは、自分の知っていることや自分の体験した実話を話すことです。自己開示とも少々違うのですが、クライエントの相談内容に即して、自身の連想した事実について開陳します。すると、不思議なことに、クライエント側はそれに反応して自身の連想を深めることがあるらしく、膠着していた面接が進むことがあります。

 先日もセラピストへの集団スーパーヴィジョンをしていたのですが、アネクドートを使ってみると、驚くほど面接の膠着状態が解除されることがありました。アネクドートはなかなか使えるなあと実感した次第です。

 注意点としては、武勇伝などにならないことが重要です。俺はこうして上手く行ったからお前もこうすべきだ、的な論調ですと、アネクドートではなく、単なるお説教になってしまいますから、これは聞く側もげんなりしてしまいます。あくまでもフレンドリーな雰囲気で、尚且つ、クライエントの話を聞いていたからこそ連想した事実について開示するというのが大事になってくるかと思います。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分