1272.親近感バイアス
2024.08.03
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
行動経済学には親近感バイアスという概念があるようです。
シンガポール国立大学の周らは北京の大学生に対して、以下の2つの質問をしました。
①過去のある日の北京の最高気温が偶数か奇数か当てられれば1000円もらえる。
②同じ日の東京の最高気温が偶数か奇数か当てられれば1200円もらえる。
日本人なら②を選びそうな物だと思いながら読んでいましたら、北京の大学生ということで、39.6%が①選んだようです。
これの表すことは人間は多少経済的に損をしても親近感のある物を選ぶ傾向がある、といいます。
このような性質を持つ人達は脳内の伝達物質であるセロトニン受容体に関わる遺伝子の特定のパターンが関与していると、周らは主張しています。
大竹はこの例を引いて、ご当地グルメには、どこにでもありそうだがちょっとだけ違う物が見られやすいのは、この親近感バイアスによるのだと述べています。
確かに九州のご当地グルメとか言うと、門司港焼きカレーなんてありますけど、カレーライス?ドリア?のような物に外からバーナーで焼け焦げを作り香ばしくして提供するような物で、本質的にはカレーですから、みんなが親近感を覚えますい、カレーに間違いなしということで安心して手を出せる代物です。宇都宮餃子なども、どこがご当地なのか今ひとつよく分かりませんが一大消費地というだけで、要するに餃子でしょ、という風な妙な安心感はあります。つけダレがちょっと変わっていたとしてもご愛敬であり、ロシアンルーレットのように激辛餃子などが混じっていたらちょっと引きますから、ご当地グルメはやっぱり親しみを持ってもらえる物が良さそうです。焼き鳥などに至っては、ご当地と言いうるかどうかがだんだん怪しくなってきている気すらします。
親近感バイアス、というのが関与していたとしても、親近感を持ち、食欲をそそられればやっぱりちょっと食べてみたいと思う物です。暑い夏、皆さんはどんな物を召し上がって夏を乗り切って行かれますか。