1122.死に目に会う
2024.03.09
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
死に目に会う、ということは日本では重視されています。
しかし、命の灯がが消えていくその瞬間にいるよりは、意識がある内に何らかの御礼を言ったり、大事な言葉を交わすことの方が重要ではないかと思います。
しかし、重要なやり取りをする間もなくて、死に目になった場合、やっぱり亡くなる前に会いたいというのも人情です。
私の場合実際には、父親の死に目には会えていません。九州に出てきたというのもあるのですが、病院でぽっくり逝ってしまったので、母も弟も主治医でも、まだまだ今日明日に死なないと認識しており、普通に見舞いに行くつもりにしていたら、夜中にぽっくり亡くなっていたようです。ので、彼に関しては死に目に会った人はいません。
先日、親戚ではないのですが、親以上の絆を感じている人の死に目に会いました。
その方はお見舞いを終えて1時間で亡くなってしまいました。
変わり果てた姿を見たくないような、会っておきたいような、微妙な葛藤があったのですが、声が掛かっただけでもありがたいと考えて思い切って行ってきました。最期は手を握って上げることはできました。
眼球は上転しており、呼吸も下顎呼吸でしたけれども、話しかけると涙が出ました。脳症もあるなか、耳は聞こえていたのかもしれません。何も返せないのを悔しかったのかもしれません。でも聞こえているんだろうなと思えたのは良かった気がします。
死に目に会うのが最良とも言いませんし、違う考えの人に押しつける気もありませんが、結局行って良かったと私は思っています。
ですので、個人的には死に目に会うチャンスがあるのであれば、葛藤があっても一旦駆けつけられては、と思っています。