1062.視床下部ー下垂体ー副腎系
2024.01.10
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。
視床下部ー下垂体ー副腎系(hypothalamic-pituitary-adrenal axis)をHPA系とかHPA軸などと言いまして、心療内科の世界では非常に重要視されている心身相関の科学的な根拠となっています。医学書並みに詳細に記述してしまうと一般向けのこのブログの趣旨に反するのと読むのが嫌になると思うので簡潔にしたいと思います。
視床下部からはCRHとかバソプレシンなどが分泌され、下垂体からはACTHはTSHなどが出ます(他にもあります)。甲状腺系はHPA軸とは別ですが重要なホルモンです。そして、ACTHの刺激を受けて、副腎ではコルチゾールが生産されます。
HPA軸はストレスに応答して、免疫、摂食、睡眠、情動、繁殖行動に影響します。
当院では初診の方に出来るだけHPA系と甲状腺系の血液検査を受けて頂けるようにお勧めしております。
これまで、橋本病・バセドウ病の発見、無症候性甲状腺炎の発見などをして参りました。また、大きな病院に紹介した結果、副腎が萎縮していることが発見された方や、下垂体に腫脹があった方などの報告が返ってきています。みなさん、心身が不調だから心療内科にいってみよう、というケースだったり、一般内科の先生から「一般採血には問題がないので心療内科に」紹介された人達です。
当院では、優しく傾聴するだけではなく、きちんと内分泌学的疾患も見逃さぬよう、気をつけています。一般内科の採血には、HPA系や甲状腺系の除外がなされていないことがほとんどで、総合内科の先生でかなり出来る先生からでも甲状腺までで止まることが多いです。
実際に採血した人の1~2割にHPA系か甲状腺の異常を発見しており、また、入院精密検査になった方もいました。
今後も、これらの疾患を見逃さないように精密に検査して参りますので、ご理解とご協力のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。