167.ウィリアム・ファー
2021.07.24
167.ウィリアム・ファー
ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。 6月より六本松地区で開業しましたまつばら心療内科の松原慎と申します。 素敵なスタッフに囲まれて、日々、元気に営業しております。
ウィリアム・ファーとは統計学者で、英国で、1830年代に活躍したと言います。戸籍庁で初の「適用編纂者」として働きました。ファーは、人口動態統計、出生と死亡を記録するシステムを確立し、現在、国際疾病分類ICD-10/11として知られる疾病分類の基礎を構築しました。このデータのおかげで、誰が、いつ、どこで、なぜ死亡したかのパターンを知ることが出来るようになりました。
さらに、ファーは、データを掘り下げました。
社会階級・宗教・職業、あるいは特定の病気にかかった人の死亡率を計算し、「生命表」の先駆けを作り、特定の年齢の人がその年に死亡するリスクを示しました。
1841年3月15日に「狂人の死亡率に関する報告書」と言う研究をロンドンの統計学会で発表しました。ロンドンの狂人~当時で言う深刻な知的障害・精神疾患の人~を収容する病院の状況に、議会が関心を持つようになったことからこの調査をしたようです。
貧窮社の27%がいずれかの精神病院で死亡していることがわかり、「ペストがロンドンを空き家だらけにした時、ロンドンの人口に」示されたのと同じくらい高い死亡率である、と驚きとともにコメントしています。
何気なくICDによって書類を書いたりしておりましたが、こんなに古くから先駆的な仕事をしてきた人がおり、その集積の上にあるのだなぁと改めて思いました。
出典:ヘレン・ピアソン著 ライフ・プロジェクト(みすず書房)