ブログ

173.こぼすなよ

2021.07.30

173.こぼすなよ

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。 6月より六本松地区で開業しましたまつばら心療内科の松原慎と申します。 素敵なスタッフに囲まれて、日々、元気に営業しております。
 亡き父は、僧侶と学習塾長をやっていた割には、人を育てると言う意味において疑問の多い人と言わざるを得ませんでした。
 まだ小さい頃、私は、水の入ったコップを運んでいました。
 それを見た父が、応援するつもりだったのだとは思うのですが、「大丈夫か?ほら、こぼすなよ、こぼすなよ」と言うようなことを言いました。
 言われた瞬間私はとても緊張し、手が固まり、こぼすはずもない水をこぼしてしまいました。
 父は勝ち誇った顔で予言通りだと言わんばかりに、ほらこぼした、と言うのでした。
 予言が当たれば、当たった方は良い気になるのでしょうが、失敗させられた方はたまりません。
 催眠の勉強をした後だと、これが暗示になっていたのがよくわかります。
 こぼさないように、運び終えて欲しければ、「お、今日は行けそうだな」とか言いながらごちゃごちゃ言わずに見守ることです。
 「こぼすなよ」ということばには「こぼす」と言う言葉が含まれています。脳はnotを受け取るのが苦手な器官ですから、こぼすなは、こぼす、と変換されて入力されます。こぼすこぼす、と言われれば、被暗示性の高い子供はこぼします。つまり、これは父がこぼさせた、と言っても良いわけです。
 こけるなよ、とかも、こけることを意識に強くインプットしてしまうので、こけます。
 否定命令形を成就させたい場合、こけるな、ではなく、走りきる、ゴールへ行ける、等別の単語で言う必要があります。こけるな、こぼすな、は、こける、こぼす、を実現させやすくなります。
 今更亡き父をなじってもしょうがないのですが、もし親業をしておられる方がおられましたら、お子さんへのお声かけは肯定文が効果的ではないかな、と思っています。

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分