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1321.中毒財

2024.09.21

 ブログを読んで下さるみなさま、いつもありがとうございます。六本松地区で開業していますまつばら心療内科の松原慎と申します。

 大阪大学の池田新介教授の研究によると、たばこを吸う人の多くはギャンブルもやるし酒もやる、と言うことだそうです。さらに、たばこを吸う人は吸わない人よりも不幸であり、その不幸の程度は年収が200万円減ったのと同じだと言います。スモーカーやギャンブラーは、住宅ローン以外の夫妻を抱えている比率も高いと言います。

 池田教授が、何を以て「不幸」といっているのか?という疑問は残るものの、経済的・精神的豊かさが減っているということを言いたいのかなとざっくり理解しておこうと思います。

 もちろん例外はありますし、個人の主観も大切ですから、決めつけることは良くありませんが、俯瞰的に見た場合大体そうだという理解で良いでしょう。

 喫煙、飲酒、ギャンブルは依存症になりやすいという共通項があります。こうした財を経済学では「中毒財」と言うそうです。
 中毒財の特徴は、中毒財を今消費することからの満足度は、過去に中毒財をより多く消費していれば消費しているほど大きくなることにあります。池田氏によれば過去の喫煙量が多いほど、今日の一本はうまく、同様に今日の一本は明日以降のたばこをさらにおいしくする、とのことです。

 中毒財による害を減らす方法は主として2つが提案されており、一つは販売の禁止、一つは価格引き上げです。

 たばこなどはずいぶん価格が上がったようです。購入を困難にすることに加え税収が増えるメリットもあります。
 福岡大学の万軍民准教授によれば、たばこ価格の10%上昇は1年後の喫煙量を6.56%減らしたと言います。WHOでもたばこの課税が有効と報告しているようです。

 当院では色々困っている方のご相談を受けていますが、経済的にしんどいはずの人が、結構飲酒喫煙が多かったり、心配になるケースも少なくありません。これらも、上記に述べたような中毒財の消費と不幸な度合いの関連といえば、そうなのでしょう。

 医療機関なので、お薬をお飲み頂く場合には、禁酒のお願いをすることになりがちです。

 禁酒が出来、医療に乗っかって内服が出来ると、少しずつ幸福度が上がっていくようにも見えます。

 中毒財の使用、中止などについては今後も、より良い生活への導入という観点からも注視していきたいと思います。

データの引用元:競争と公平感(大竹文雄著)

地下鉄七隈線「六本松駅」徒歩5分